Presentation Information
[T18-P-17]Conodont biostratigraphy and depositional environmental changes recorded in the Carnian (Upper Triassic) Kamura Limestone, Takachiho, Miyazaki Prefecture, Japan
*Naoki Beppu1, Kosei Hisatsune1, Kento Motomura1, Tetsuji Onoue1 (1. Kyushu Univ.)
Keywords:
Late Triassic,conodont,limestone,Carnian Pluvial Episode,Chichibu belt
三畳紀には,超大陸パンゲアの広大な内陸域を中心に乾燥的な気候が広がっていた. しかし後期三畳紀カーニアンでは, 200万年に渡る一時的で大規模な湿潤化が生じたことが知られている(Simms and Ruffell, 1989). この気候変動はカーニアン多雨事象(CPE:Carnian Pluvial Episode)と呼ばれ, 陸上では脊椎動物相の転換,海洋では炭酸塩生産や生物群集の変化など,陸上と海洋の生態系に大きな影響を与えたと考えられている(Dal Corso et al, 2020). CPEの原因としては, 超海洋パンサラッサにおいてランゲリア洪水玄武岩を形成した大規模火成活動による温暖化・湿潤化が提案されている. また, CPE期間では世界各地の地層に負の炭素同位体比異常が記録されており, これは大規模火成活動に伴う二酸化炭素の放出が原因であると考えられる. 一方,これらの生物群集の変化や炭素同位体比異常の記録は,主にテチス海周辺の浅海〜陸棚堆積物に基づいており,パンサラッサ海遠洋域,特に海山頂部の浅海炭酸塩岩にCPE時の堆積環境や生物相の変化がどのように記録されているのかについては,十分に明らかにされていない.そこで本研究では, 宮崎県高千穂町に分布する秩父帯の上部三畳系上村石灰岩を対象に,コノドント化石層序,薄片観察に基づく堆積相解析,および有機炭素同位体比分析を行い,パンサラッサ海遠洋域の海山頂部に発達した浅海炭酸塩岩に記録されたCPE期間の堆積環境と生物相の変化を検討した.
調査を行ったセクションは,層厚約15mで, 暗灰色石灰岩, 灰色石灰岩, 明灰色石灰岩から構成される. 産出したコノドント化石についてはRigo et al(2018) の化石帯区分に基づいて年代決定を行った. その結果, 下位から上位に向かって,ジュリアン(前期カーニアン)前期のParagondolella polygnathiformis帯, ジュリアン後期のParagondolella praelindae帯, チュバリアン(後期カーニアン)前期のQuadralella tuvalica帯, ラキアン(前期ノーリアン)のEpigondolella quadrata帯が確認された. これらの結果から,本セクションはCPE期間に相当するジュリアン後期からチュバリアン前期の年代を保存していることが明らかになった.
薄片観察に基づく堆積層解析の結果, 本セクションは3つの岩相層序ユニットに区分されることが示された. 最下部のユニット1では, 薄殻二枚貝を主体としウミユリや藻類の化石を含むcrinoidal bivalve packstoneやbivalve wackestoneが特徴的にみられる. これらの堆積相は水理エネルギーの低い比較的静穏な堆積環境で形成されたと推定される. ユニット1は化石層序の結果から,中期三畳紀末期からジュリアン後期に比較される. ユニット2ではイントラクラストを多量に含むintraclast grainstoneが特徴的に確認される. イントラクラストは同一堆積盆内の炭酸塩堆積物が波浪や潮流により再堆積した粒子と考えられる. そのためユニット2は,流れや波浪の影響を受けた高エネルギー浅海環境で形成されたと解釈される. ユニット2は, ジュリアン末期からチュバリアン中頃に相当し,CPEの時期と一致する. ユニット3は,石灰泥基質に少量の化石を含むlime-mudstoneが特徴的である. この堆積相はユニット1と同様に静穏環境で堆積したと考えられる.
有機炭素同位体比は,本セクションにおいて2回の明瞭な低下を示す. 1回目の低下はユニット2に認められ,約4〜5‰の負のシフトを示す. 2回目の低下はユニット3に認められ,同様に約4〜5‰の負のシフトを示す. 以上の結果から, 上村石灰岩には,低エネルギー環境から一時的に高エネルギー環境へと変化し, 再び低エネルギー環境へ戻る堆積環境の変化が認められた. CPEはジュリアン末期からチュバリアン初頭にかけて発生したと考えられているため, 本セクションのユニット2に認められた高エネルギー環境を示す岩相は,CPE期間に対応している可能性がある. さらにユニット2からユニット3にかけて有機炭素同位体比の低下が認められることから,上村石灰岩はCPEに伴う炭素循環変動を記録している可能性がある.
引用文献
Simms, M.J., Ruffell, A.H., 1989, Geology 17, 265–268.
Dal Corso, J. et al., 2020, Sci. Adv. 6, 1–13.
Rigo, M. et al., 2018, The Late Triassic World: Earth in a Time of Transition 46, 189–235.
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