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[T12-P-12]Micromorphology of Hearth Deposits in Cave Archaeological Sites and Their Experimental Replication

*Etsuko Obu1, Yoshiro Ishihara2, Ryo Gushiken3, Shinji Yamasaki4 (1. Department of Earth System Science, Graduate School of Science, Fukuoka University, 2. Fukuoka University, 3. Amagi Town Board of Education, 4. Okinawa Prefectural Museum and Art Museum)
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Keywords:

Cave site,Hearth Deposits,Micromorphology,Anthropogenic deposits,Experimental Replication


 野外遺跡に比べ,環境変化が少ない洞窟遺跡では,堆積物の保存性が高い(Gillieson, 2021).そのため地層中には,踏み跡,炉跡などの痕跡が保存される場合があり,これらを解析することで,当時の自然環境や人類の活動記録を復元できると考えられている(石丸,2020).しかし,人為的痕跡は露頭観察だけでは識別が難しく,形成過程や多様性の実態も十分に解明されていない.とくに炉跡は層相が多様で,その違いが燃料,燃焼温度・時間,事後の整地行為といった人間活動に由来するのか,環境に起因するか未解明である.そのため,現地での観察,土壌薄片による微細形態学的観察,再現実験による検証が不可欠である.徳之島の下原洞穴遺跡,伊計島のクルカーガマ遺跡は,自然堆積物と人為的痕跡が良好に保存された洞窟遺跡である.本研究では,両遺跡で採取された試料を微細形態学的に検討した.さらに炉跡の再現実験を行い,実験試料と遺跡試料を比較することで,炉跡の形成過程および人為的行為の影響を検討した.
下原洞穴遺跡は,鹿児島県大島郡天城町西阿木名の標高約90 m付近に位置する洞窟遺跡である.下原洞穴の考古学的堆積物からは,25,000年前~7,000年前の年代が得られており,土器,石器,人骨,動物骨などの遺物が多産する(天城町教育委員会,2024).クルカーガマ遺跡は,沖縄県うるま市伊計島北西部の標高約30 m付近に所在する洞窟遺跡である.約2,800~2,700年前の人骨や,約4,400~1,000年前の炉跡が産出する(山崎,2024).
両遺跡から得られた炉跡試料は60℃のオーブンで乾燥後,不飽和ポリエステル樹脂,硬化促進剤,アセトンを100:1:100で混合したものを試料に注ぎ,真空チャンバー内で浸潤させた.その後切片を作成し,スラブ・薄片の観察を行った.再現実験では,ステンレス製バット上に土壌を詰め,薪を長時間燃やす燃焼実験を実施した.燃焼中は,表層と深部の温度を計測した.燃焼終了後,定量的に押しつけや掃き出しを行い,サンプリングし,遺跡の試料と同じ手順で薄片を作成し,微細形態を観察した.
下原洞穴遺跡の炉跡は,0層,III上層,V層でみられる.微細形態学的に観察すると,燃焼残渣を含む層・炉跡周辺層・炉跡の3種に細分することができた.燃焼残渣を含む層:細粒均質で淘汰が良い.0.5 mm未満の炭片・焼土粒?が少量散在する.炉跡周辺層:細粒な基質で,淘汰が悪い.1 mmの炭片,焼けた貝片,骨片が多く散在する.空隙を埋めるような脂肪由来の構造もみられる.燃焼残渣層と同じく灰層はみられないが,人為的痕跡が多くみられるため,炉跡周辺層だと考えられる.炉跡:細粒な基質で,淘汰が悪い.灰層の上部に薄い木炭片層がみられる.一般的に,炉跡は焼土,炭,灰の順に堆積するとされている(Mentzer, 2014).焼土を欠き,灰層の上に炭片層が堆積しているため完全な状態のまま保存された炉跡ではないと考えられる.
クルカーガマ遺跡では,I層,III層,IV層で炉跡がみられ,今回はI層から産出した炉跡試料(約1000年前)を対象に検討を行った.微細形態学的に観察すると,3 cmほどの黒褐色から赤色に変化する分厚い焼土・炭片が累重する構造がみられる.分厚い焼土層が保存されている事例は少ないため,長時間あるいは集中的な燃焼が行われた可能性や,洞窟底質の性質により焼土層が良好に保存された可能性が考えられる.
再現実験は実施中であり,実験試料と遺跡試料を比較することで,燃焼およびその後の人為的作用が炉跡の微細構造に及ぼす影響を検討中である.
両遺跡では,焼土・灰・炭の保存状態や層構造に違いがみられ,燃焼条件や燃焼後の人為的作用,さらに堆積環境の違いを反映している可能性が示唆された.今後,再現実験試料との比較により,これらの形成過程についてさらに検証を行う.

引用文献:天城町教育委員会,2024,下原洞穴遺跡総括報告書:平成28年~令和5年度町内遺跡発掘調査等事業に係る発掘調査報告書,316p.; Gillieson, S. D., 2021, Caves: Processes, Development, and Management, 2nd ed. 508p.WILEY Blackwell.;石丸恵利子,2020,季刊考古学,第151 号,60-62.; Mentzer, S. M. 2014, Journal of Archaeological Method and Theory, 21, 616-668.;山崎真治,2024,伊計島クルカーガマ発掘調査概要.南島考古だより,122.

謝辞:本研究では,2026年度笹川科学研究助成 洞窟遺跡における人為的堆積物の微細形態の解析:特に炉跡とその周辺構造のキャラクタリゼーション(2026-6019)を利用した.

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