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[T7-P-23]Cooling history of a mafic dike intruding the Hiei Granite pluton

*sadayuki inoue1 (1. waseda univercity senior high school)
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Keywords:

dyke,cooling history

 京都府東部、比叡山周辺に分布する白亜紀の比叡花崗岩体には、ドレライトや玄武岩などの苦鉄質岩脈が多数貫入している。これらの岩脈については、これまでに産状の記載やK-Ar年代測定(71.9±1.8 Ma)が行われ、後期白亜紀の火成活動史における位置づけが議論されてきた(貴治・周琵琶湖花崗岩団体研究グループ, 2014; 周琵琶湖花崗岩団体研究グループ, 2008)。しかし、これらは岩体全体の広域的な評価が中心であり、単一の小規模な岩脈内部において、マグマの貫入から固結に至る冷却履歴や、接触面から中心部にかけての結晶成長・化学組成の空間的変化を詳細に検証した例は少ない。小規模な岩脈におけるマグマの定置後の組織変化に関しては、斑晶の分布に着目した野外観察の先行研究が存在する。Ross (1986) は、岩脈内における plagioclase 斑晶のサイズやモーダル組成の空間分布を測定し、中心部に向かう斑晶の大型化と濃集が、冷却速度の違いではなく、マグマ流動時の力学的集積作用に起因すると結論付けている。しかし、このモデルは早期晶出物の機械的移動を主眼としたものであり、定置後の液相からの晶出物である石基の成長挙動や、それに伴う残液の化学組成変化のメカニズムを説明するには不十分である。そこで本研究では、比叡花崗岩体西部に貫入する幅約120 cmの苦鉄質岩脈を対象とし、母岩との接触面から中心部にかけての冷却過程と分化プロセスの解明を目的とした。岩脈の接触面から約1cm刻みで連続的に9点で蛍光X線分析(XRF)による全岩主成分・微量成分元素の定量分析を行い、接触面から中心部にかけて複数地点で薄片を作成し顕微鏡観察を行った。さらに、実測された結晶組織の空間分布を物理的に検証するため、差分法を用いた熱伝導冷却モデルを応用し、岩脈の冷却シミュレーションを実施した。薄片観察の結果、岩脈の接触面から中心部に向けて、石基を構成する鉱物の平均サイズが 0.02㎜から 0.1㎜へと顕著に増大する連続的な組織変化が確認された。また、XRFによる化学組成分析の結果、不適合元素であるKが縁辺部の 1.23 wt.% から7.68 wt.% へと中心部に向かって明瞭に増加する傾向を示した。対照的に、適合元素であるCaやMgは中心部に向かって減少する傾向が認められた。これらの結果は、本岩脈内の組織・組成変化が、Ross (1986) の提唱した力学的集積作用のような流動時の斑晶集積のみで形成されたものではないことを示している。すなわち、低温の母岩(花崗岩)に接した縁辺部が急速に固結して急冷縁を形成した後、中心部に向かって熱伝導により徐々に冷却が進行する過程で定置後の分別結晶作用が起こり、中心部の液相がより進化した残液に富む組成へと変化したというモデルを強く支持する。実測された石基サイズの空間分布は、冷却速度シミュレーション(初期条件:マグマ温度 1100 ℃、母岩温度 20 ℃を仮定)から得られる冷却曲線と良好な相関を示した。この一致は、本岩脈が複数回のマグマ貫入によって形成された複合岩脈ではなく、単一の貫入イベントの後に連続的な熱伝導冷却を経て固結した単一岩脈であることを裏付けるものである。引用文献貴治康夫・周琵琶湖花崗岩団体研究グループ (2014) 比叡花崗岩体にみられる苦鉄質岩脈のK-Ar年代. 地球科学, 68巻, 149-150.周琵琶湖花崗岩団体研究グループ (2008) 比叡花崗岩体の形成史と白亜紀火成活動史における位置づけ. 地質学雑誌, 114巻, 2号, 53-69.Ross, M. E. (1986) Flow differentiation, phenocryst alignment, and compositional trends within a dolerite dike at Rockport, Massachusetts. Geological Society of America Bulletin, 97(2), 232-241.

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