Presentation Information
[T7-P-24]Two types of magma compositions identified in dolerite sills of the Shimokawa ophiolite in the northern Hidaka belt, Hokkaido
*Satomi KATO1, Hayato Ueda2, Sumio Miyashita3 (1. Samani town office, 2. Niigata Univ., 3. Non-Profit Organization Hokkaido Research Center of Geology)
Keywords:
assimilation,dolerite,vesicle,Hokkaido,Paleogene
1.はじめに
玄武岩質枕状溶岩の発泡は噴出深度とそのマグマが有していた揮発性成分の量に支配されていることが明らかにされており,N-MORBは揮発性成分に枯渇している.日高帯北部の古第三紀の付加体の陸源砕屑岩に貫入する下川オフィオライトのドレライト類は,N-MORBとしての特徴を有している(Miyashita and Watanabe,1988).これらは全般的に発泡に極めて乏しいが,深海堆積物中に貫入したにもかかわらず,一部に発泡痕に富むものがあり(宮下1999),その原因については未解決となっていた.著者らはドレライト中の発泡痕に富む部分において,斜長石‐カリ長石脈(以下,長石脈)を発見し,この脈が外部から岩床内部へ揮発性成分を運んだ可能性を指摘した.
2.長石脈
長石脈は厚さ1mm~2mmであり.母岩との境界が不規則であることから,完全に固結していないマグマに貫入したと推定される.これら長石脈は主に自形のPlと他形のKfsで構成される細粒な等粒状組織をなし,優白質である.等粒状の組織に加えて,累帯構造を示す斜長石があることや,発泡痕を伴う場合があることから,長石脈は熱水沈殿物ではなくメルトが固結した火成岩であると推定される.長石脈はQAPF図ではモンゾニ岩,TAS図では粗面岩に分類され,海洋島に産する粗面岩と異なり非調和元素が濃縮していない.
3.セグリゲーションベシクル
ところで一般的に火山岩の気泡を埋める鉱物は沸石や緑泥石などであるが,下川オフィオライトでは,気泡がハイアロピリティックな石基状の組織によって充填されるセグリゲーションベシクル(以下、SV)(Smith, 1967)が観察されていた.SVの大部分は母岩ドレライトの石基粒間の残液と同じ組成(以下、SVタイプ1)であったが,石基残液とは異なる組成のSV(以下、SVタイプ2)も見出された.本発表では(1)SVタイプ2の成因を薄片観察と組成から考察することと,(2)隣接する堆積岩の化学組成との比較から長石脈とSVタイプ2の成因を議論したい.
4.下川オフィオライトの地質概説
下川オフィオライトは北海道中央部の北部に位置する.不完全ながらオフィオライト層序を有し,下位から蛇紋岩化したハルツバージャイト,斜長岩質はんれい岩,主体部下部はドレライトと堆積岩との厚い互層・上部は枕状溶岩・中部は両者の中間,最上部は角礫岩から構成される.未固結堆積物中でマグマが貫入した産状を示す.ドレライトと堆積岩が繰り返す産状を示し,3か所で発泡痕に富むドレライト岩床が見られ,いずれもPl,Cpx,不透明鉱物からなるドレライトである.ドレライトに接する堆積岩は黒色の泥岩であるが,一部に野外で灰色に見える箇所があり,以下では「珪化泥岩」と呼ぶ.
5.検討
SVの粒間メルトには2つの組成がみられた.SVタイプ1はドレライトの分化の残液の組成を示した.SVタイプ2は非調和元素に富み,HREEに富むことは長石脈と同じ傾向で,多くの元素ではSVタイプ2のほうが長石脈よりも濃度が高い.このことからSVタイプ1とSVタイプ2が混合すると長石脈となる可能性がある.
隣接する堆積岩はドレライト,SVタイプ1とSVタイプ2に比べて非調和元素存在度が高い.堆積岩は長石脈と同様に非調和元素存在度が高い.このことから堆積岩がドレライトに取り込まれ融解したことがタイプ2および長石脈の成因に関係があると考えられる.ドレライトと泥岩の境界に形成された珪化泥岩は,元の泥岩に比べてBaとRbが乏しい傾向があり,これはドレライトの接触の際に雲母が分解・消失したことを反映していると考えられる.長石脈よりもSVタイプ2のRbとBaは低いため,珪化泥岩の影響を受けた可能性も考えられる.
6.まとめ
今回,下川オフィオライトに産するドレライト岩床から2種類のマグマ組成が見いだされた.隣接する堆積岩が,SVタイプ2と長石脈の成因に関係する可能性がある.
7.引用文献
宮下(1999)地質学論集,Miyashita and Watanabe(1988)Mining Geol. Spec,Smith(1967)American Journal of Science
玄武岩質枕状溶岩の発泡は噴出深度とそのマグマが有していた揮発性成分の量に支配されていることが明らかにされており,N-MORBは揮発性成分に枯渇している.日高帯北部の古第三紀の付加体の陸源砕屑岩に貫入する下川オフィオライトのドレライト類は,N-MORBとしての特徴を有している(Miyashita and Watanabe,1988).これらは全般的に発泡に極めて乏しいが,深海堆積物中に貫入したにもかかわらず,一部に発泡痕に富むものがあり(宮下1999),その原因については未解決となっていた.著者らはドレライト中の発泡痕に富む部分において,斜長石‐カリ長石脈(以下,長石脈)を発見し,この脈が外部から岩床内部へ揮発性成分を運んだ可能性を指摘した.
2.長石脈
長石脈は厚さ1mm~2mmであり.母岩との境界が不規則であることから,完全に固結していないマグマに貫入したと推定される.これら長石脈は主に自形のPlと他形のKfsで構成される細粒な等粒状組織をなし,優白質である.等粒状の組織に加えて,累帯構造を示す斜長石があることや,発泡痕を伴う場合があることから,長石脈は熱水沈殿物ではなくメルトが固結した火成岩であると推定される.長石脈はQAPF図ではモンゾニ岩,TAS図では粗面岩に分類され,海洋島に産する粗面岩と異なり非調和元素が濃縮していない.
3.セグリゲーションベシクル
ところで一般的に火山岩の気泡を埋める鉱物は沸石や緑泥石などであるが,下川オフィオライトでは,気泡がハイアロピリティックな石基状の組織によって充填されるセグリゲーションベシクル(以下、SV)(Smith, 1967)が観察されていた.SVの大部分は母岩ドレライトの石基粒間の残液と同じ組成(以下、SVタイプ1)であったが,石基残液とは異なる組成のSV(以下、SVタイプ2)も見出された.本発表では(1)SVタイプ2の成因を薄片観察と組成から考察することと,(2)隣接する堆積岩の化学組成との比較から長石脈とSVタイプ2の成因を議論したい.
4.下川オフィオライトの地質概説
下川オフィオライトは北海道中央部の北部に位置する.不完全ながらオフィオライト層序を有し,下位から蛇紋岩化したハルツバージャイト,斜長岩質はんれい岩,主体部下部はドレライトと堆積岩との厚い互層・上部は枕状溶岩・中部は両者の中間,最上部は角礫岩から構成される.未固結堆積物中でマグマが貫入した産状を示す.ドレライトと堆積岩が繰り返す産状を示し,3か所で発泡痕に富むドレライト岩床が見られ,いずれもPl,Cpx,不透明鉱物からなるドレライトである.ドレライトに接する堆積岩は黒色の泥岩であるが,一部に野外で灰色に見える箇所があり,以下では「珪化泥岩」と呼ぶ.
5.検討
SVの粒間メルトには2つの組成がみられた.SVタイプ1はドレライトの分化の残液の組成を示した.SVタイプ2は非調和元素に富み,HREEに富むことは長石脈と同じ傾向で,多くの元素ではSVタイプ2のほうが長石脈よりも濃度が高い.このことからSVタイプ1とSVタイプ2が混合すると長石脈となる可能性がある.
隣接する堆積岩はドレライト,SVタイプ1とSVタイプ2に比べて非調和元素存在度が高い.堆積岩は長石脈と同様に非調和元素存在度が高い.このことから堆積岩がドレライトに取り込まれ融解したことがタイプ2および長石脈の成因に関係があると考えられる.ドレライトと泥岩の境界に形成された珪化泥岩は,元の泥岩に比べてBaとRbが乏しい傾向があり,これはドレライトの接触の際に雲母が分解・消失したことを反映していると考えられる.長石脈よりもSVタイプ2のRbとBaは低いため,珪化泥岩の影響を受けた可能性も考えられる.
6.まとめ
今回,下川オフィオライトに産するドレライト岩床から2種類のマグマ組成が見いだされた.隣接する堆積岩が,SVタイプ2と長石脈の成因に関係する可能性がある.
7.引用文献
宮下(1999)地質学論集,Miyashita and Watanabe(1988)Mining Geol. Spec,Smith(1967)American Journal of Science
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