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[T6-O-2]New Outcrop of the Itoigawa-Shizuoka Tectonic Line along the Hayakawa River central Japan★2026年度学生優秀発表賞受賞★

*Masamu HASUNUMA1, Yuzuru YAMAMOTO2 (1. Department of Planetary Sciences,Faculty of Science,Kobe University, 2. Graduate School of Science,Kobe University)
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Keywords:

Itoigawa-Shizuoka Tectonic Line,Fault outcrop


 日本列島の中央部を南北に縦断し、フォッサマグナの西縁を画する糸魚川-静岡構造線(以下、糸静線)は、日本列島の形成史およびテクトニクスを解明する上で極めて重要な地質境界である。本研究では、南部フォッサマグナ西縁に位置する山梨県南巨摩郡早川町湯島の、湯島の湯から約200 m下流の早川流沿いにおいて断層露頭を見出した。その産状を報告する。
 調査地域周辺において糸静線両側の地質体は、岩相・変形構造の面で大きく異なる。小山(1984)および小坂ほか(1969)によると、西側(上盤側)には、下部中新統の瀬戸川層群雨畑川累層が分布する。これは、千枚岩状の泥岩優勢砂泥互層からなり、顕著なスレート劈開が発達するほか、褶曲様の変形を示す石英脈やレンズ状に引き伸ばされた砂岩など、複雑な延性あるいは脆性・延性遷移領域の変形構造を示す。一方、東側(下盤側)には中部中新統の巨摩層群仙城層が分布し、主に塊状無層理で緑色〜赤紫色の安山岩質凝灰角礫岩(礫径3〜15 cm)や玄武岩質溶岩などの火山性砕屑岩類から構成されている。
 断層露頭は、南北数100 mにわたる連続露頭の中で約20 mの範囲に見られる。断層では、上盤の黒色岩類と下盤の明緑色火山性砕屑岩類が接しており、色彩・岩相的に極めて明瞭なコントラストを呈している。
 主断層面は走向N2°E、傾斜57°Wの明瞭な剪断面として観察される。主断層面は、粉砕したカタクレーサイトから成り、厚さ3 cm程度の軟弱な断層粘土を伴う。また、上盤側にも同様の派生した軟弱な剪断面が発達する。黒色の断層ガウジは、一部で10 cm程度上盤下盤両側に貫入している。主断層面から上盤約1 mは、層厚数 cmの砂岩を含む砂泥互層が、非対称な剪断変形を被っている。さらにこれより構造的上位では、黒色粘板岩と砂岩が混在した様相が見られ、褶曲軸が水平な横臥褶曲が局所的に認められる。一方で下盤側にはリストリックな正断層が複数確認されたが、これらは軟弱な断層粘土を伴わない。また、上盤下盤いずれにおいても断層擦跡は確認できなかった。  
 岩相分布から、本断層は糸静線であると判断される一方で、上述した特徴は、これより1.5 kmほど北で見られる糸静線の断層露頭や、さらに北の西山温泉近傍で見られる断層露頭とは大きく異なる。これらの断層露頭では西傾斜76~83°と高角であり、断層の破砕帯は完全に固結している。このことから、本露頭における断層の運動方向や時期は、これらの地点で見られる糸静線とは異なっていると判断される。
 糸静線の運動像については、逆断層運動や左横ずれ運動など、複数回にわたる断層運動の可能性が議論されてきた。狩野(2002)によれば、北方の西山温泉近傍の露頭において、伊豆弧衝突による糸静線の左横ずれ運動を示す構造が報告されている。また、唐沢・狩野(1992)は、この伊豆弧衝突の最盛期が過ぎ、糸静線沿いの水平圧縮が緩和されたことで甲斐駒ヶ岳花崗岩等が貫入したとしている。さらに佐藤ほか(1989)は、この花崗岩体を再び糸静線が切断していると報告している。また、小山(1984)は、早川流域における断層粘土の硬度の違いから、糸静線の変形ステージを区分している。新規の糸静線の断層運動は、早川集落を境により南の区間特有のものであるとし、それより北部では糸静線に平行する東方の断層に活動が遷移するとしている。本露頭が、早川町北部に分布する糸静線の主断層露頭の運動ステージと明確に異なるステージを示すことは、糸静線の複数回の活動履歴を裏付け、それが比較的最近まで継続していたことを示す。  

参考文献
小山 彰 (1984) , 地質学雑誌90 第1号 ,p.1-16
小坂共栄・角田史雄 (1969) , 地質学雑誌75, p.127-140
唐沢・狩野(1992), 地質学雑誌98 第8号 ,p.761-777
狩野 (2002)  , 地震研究所彙報 vol.77 p.231-248
佐藤ほか(1989), 地質学雑誌95 第1号 ,p.33-44

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