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[T6-O-3]Deformation Mechanisms and Rheology of Subduction Mélange near the Downdip Limit of the Seismogenic Zone

*Reina ONOZAWA1, Kohtaro UJIIE1 (1. University of Tsukuba)
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Keywords:

Quartz,Flow law,Rheology,Slow earthquake,Pressure solution creep


 プレート沈み込み帯では,巨大地震やスロー地震に代表される多様なすべり現象が発生する.南海トラフのような若く暖かいプレートが沈み込む地域では,地震発生帯下限の温度は約350 ℃であることが知られている.しかし,地震発生帯下限付近における変形機構の遷移および歪速度変化については,未だ十分に理解されていない.そこで本研究では,350 ℃前後の温度条件下で変形した沈み込み帯メランジュに着目し,変形機構の特定とレオロジー解析に基づいて,地震発生帯下限付近における剪断強度と歪速度の変化を検討した.
九州東部から中央部に分布する四万十付加体槙峰メランジュは,海岸部で約330 ℃,内陸部で約370 ℃のピーク変成温度を示し,プレーナイト-アクチノ閃石相から緑色片岩相に至る変成条件での変形を記録している(Ujiie et al., 2018; 2022).海岸部の槇峰メランジュを構成する泥質片岩では,圧力溶解シームやプレッシャーシャドウが卓越することから,主要な変形機構は圧力溶解クリープであると考えられる.プレッシャーシャドウを伴う石英粒子の粒径測定に基づき,Fisher and Hirth (2024)で示された石英の圧力溶解クリープ流動側を用いて剪断強度を算出した結果,歪速度が10-15 s-1では4 MPa,10-14 s-1では39 MPaとなった.一方,有効摩擦係数0.03を仮定して求めた摩擦強度は13 MPaとなった.したがって,圧力溶解クリープによる変形が卓越するには歪速度が10-15 s-1程度である必要があり,プレート沈み込みに対応する歪速度(例えば厚さ100 mのメランジュ剪断帯を仮定すると10-11 s-1程度)を考慮すると,すべり欠損が生じることになる.海岸部の槇峰メランジュでは,シュードタキライトのような地震性すべりの証拠はこれまで見出されていない.一方で,クラックシール脈の濃集は,静岩圧に近い間隙水圧が繰り返し発生したことを示している(Ujiie et al., 2018).間隙水圧が静岩圧の99%に達すると摩擦強度は1 MPaまで低下し,圧力溶解クリープ時の剪断強度を下回る.したがって,静岩圧に近い間隙水圧条件下でepisodic tremor and slipのようなイベントが繰り返し発生することで,すべり欠損が解消されていた可能性がある.
一方,内陸部の槇峰メランジュでは, デュープレックス構造の形成に伴って塩基性片岩と泥質片岩が繰り返し出現し,極細粒曹長石の拡散クリープおよび石英の転位クリープが主要な変形機構である(Tulley et al., 2020; Ujiie et al., 2022).曹長石の拡散クリープ流動則(Offerhaus et al., 2001)および石英の転位クリープ流動則(Hirth et al., 2001)を用いて剪断強度を見積もった結果,歪速度が10-13 s-1では曹長石の拡散クリープが19 MPa,石英の転位クリープが31 MPaとなった.一方,歪速度10-12 s-1では曹長石の拡散クリープ時の剪断強度(190 MPa)は,石英の転位クリープ(55 MPa)を大きく上回ることが示された.Ujiie et al. (2022)では, 曹長石の拡散クリープと石英の転位クリープが同一剪断応力下で進行したと仮定し,歪速度を10-13 s-1と見積もっている.海岸部の槇峰メランジュと比較すると,内陸部では歪速度が約2桁増加しており,これによりすべり欠損が低減された可能性がある.また,内陸部の槇峰メランジュでは高流体圧発生に伴う脆性破壊の証拠は認められないことから,長期的スロースリップのような微動を伴わないすべりによってすべり欠損が解消されていた可能性がある.

文献
Fisher and Hirth., 2024, Sci. Adv., 10, eadi7279.
Hirth et al., 2001, Int. J. Earth Sci., 90, 77–87.
Offerhaus et al., 2001, Deform. Mech. Rheol. Tectonics, 124, 107–131.
Tulley et al., 2020, Sci. Adv., 6, eaba1529.
Ujiie et al., 2018, Geophys. Res. Lett., 45, 5371–5379.
Ujiie et al., 2022, Geochem. Geophys. Geosyst., 23, e2022GC010569.

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