Presentation Information
[T14-P-7]Petrological and geochemical study of welded tuff known as a stone material in Kagoshima Prefecture
*Shunta NAGATA1, Hafiz U REHMAN1, Junne KIKATA1, Kimihiko OKI1 (1. Kagoshima University)
Keywords:
Stone asset,Kagoshima Prefecture,Welded Tuff,Volcanic rocks,Cultural heritage
鹿児島県は北から加久藤・姶良・阿多・鬼界の4つのカルデラを有しており、おもに新生代第四紀に噴出した大規模火砕流由来の溶結凝灰岩が広く分布している。溶結凝灰岩は気泡が多いため、軽く、加工しやすいことから、石垣・石塀・石橋・石蔵・墓石などに使用され、現在でも鹿児島県内のいたるところで溶結凝灰岩を利用した中世以降の石造物を見ることができる。県または国の指定文化財に登録されている凝灰岩からなる石造物も多くあり、採取された地域や石切り場が存在する場所の地名を使い、例えば、鹿児島市の吉野大地に分布する吉野火砕流堆積物から採った岩石はたんたど石・花棚(けだな)石、姶良市に分布する鍋倉火砕流堆積物は二瀬戸(ふたせど)石・加治木石、鹿児島市北西部に分布する下門(しもかど)火砕流堆積物は河頭(こがしら)石・小山田石、指宿市山川に分布する福元火砕岩類の凝灰岩は山川石と呼ばれている。
鹿児島県下に分布する溶結凝灰岩は、噴出年代や噴出源の違いによって岩相・岩質が異なっている。鹿児島地域における石材文化はこのような多種多様な溶結凝灰岩を用途に応じて使い分けることによって発展してきたが、近年では採取時の近隣住民との兼ね合いや後継者不足、海外からの安価な石材の輸入などがあり、石切り場を持つ石材店は徐々に数が減ってきている。それに伴い、石切り場や石材の知識も廃れていく恐れがあるという状況にある。
本研究の目的は、鹿児島県に古くから存在する石造物の保全、補修や再開発に向けた取り組みや、地域の若い世代に県内の採石可能な石材を紹介するとともに、石質の岩石学的及び地球化学的データを構築することである。
大木(2015)の鹿児島県に分布する火山堆積物および凝灰岩類の石材に関する報告を参考に、鹿児島県下の主な凝灰岩を対象に野外地質調査を実施し、石材として知られている岩石を採取し、岩石学的及び全岩の化学組成分析を行った。野外調査では、鹿児島市の郡山町、花尾町、皆与志町、伊敷町、日置市の伊作(いざく)町、南さつま市の加世田町、赤水、南九州市川辺(かわなべ)町の高田において溶結凝灰岩露頭観察を行い、各箇所から代表的な岩石試料(計20個ほど)を採取した。持ち帰った試料からチップを切り出し、Bruker社のハンドヘルド蛍光X線分析装置を用いて化学組成分析を行った。組成結果は主要元素を含有量weight%と微量元素をμg/gで算出した。さらに、採取した試料から薄片を作成し、顕微鏡観察を行うことでそれぞれの地域に分布する凝灰岩の岩石記載と特徴的な組織を記録した。
顕微鏡観察では、すべての溶結凝灰岩がおもに火山ガラスからなることがわかり、とくに阿多火砕流(花尾石)の試料では火山ガラスが90%を占めていた。一方で、下門火砕流(河頭石)の試料は比較的結晶(斜長石や輝石など)が発達しており、薄片内の50%程度を占めていた。また、結晶の含有量が多いものだけでなく、火砕流堆積物が堆積の際に高温・高圧によって内部の軽石がガラス質に変質することによってできるユータキシティック構造が確認できた他、加久藤火砕流の試料には異質岩片もみられた。
化学組成分析では、SiO2含有量が比較的多く(65~78%)、Al2O3の量は(12~19%)、K2Oの量は(1~4%)を示し、FeOやMgOなどは概ね少量であることが明らかになったが、特に目立った相関は見られなかった。また、同じ地点で採取した試料の中で最も色の変化が顕著であった加久藤火砕流(郡山石)については、やや赤色を帯びた試料のFeO含有量が4%を越えているのに対し、灰色や灰褐色の試料は4%以下の値であった。しかし、同様に赤色を帯びた阿多火砕流(赤水石)のFeO含有量は3%前後であったため、郡山石と赤水石の薄片を顕微鏡で観察・比較したが、大きな違いは確認されなかった。
今回、鹿児島地域における石材の石質について調べた結果、溶結凝灰岩でも河頭石(下門火砕流)と花尾石(阿多火砕流)のようにガラス質の割合が明らかに異なることや、郡山石(加久藤火砕流)のように火砕流堆積物の層準によって見た目の色が赤と灰・灰褐色と大きく異なるなど多様な岩相を示すことがわかった。今後も分析を続けることで石材文化の記録に貢献していきたい。
参考文献
大木公彦,2015,鹿児島に分布する火砕流堆積物と溶結凝灰岩の石材,鹿児島国際大学考古学ミュージアム調査研究報告書,12,17-30,
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