Presentation Information
[J-P-5]Tadami River Fog Formations and Predictions in Aizu, Fukushima
*Fukushima Prefectural Aizu Gakuho High School -1 (1. Fukushima Prefectural Aizu Gakuho High School)
研究者氏名:進藤慶 髙木芳仁 吉田貴羅 岩橋良磨 髙橋颯太 成田柊冴 早川優羽
1.背景・目的
福島県南会津郡只見町から同大沼郡三島町にかけての只見川では,特異な地形と気象条件が重なって川霧が生じ,一部地域は「霧幻峡」として奥会津地域の観光資源となっている。しかし川霧の発生条件や発生時期の情報は経験則に基づいたものが主である。先行研究[1]では,この特異性は地形・上流ダム群の放流や気象条件が複雑に絡み合って成立していることが示唆されているが, この地域での川霧の発生条件の解明・予測を試みた研究は未だ無い。そこで本研究では,只見川における川霧発生状況の観測・分析による発生条件・特徴の解明,その結果に基づく川霧予測モデルの構築の2点を目的とした。
2.研究1 川霧の観測と分析
(1)方法
先行研究[1]の手法を参考に,「川の防災情報」[2]を用いて1時間毎に川霧・雲・天候等を記録した。分析には湿数,風速,降水量,水温のデータを使用した。先行研究[1]で降水量は湿度を上げる間接的な条件とされているため,降水量は1時間前の値を採用した。気象庁アメダスの気象データと東北電力株式会社会津ダム管理センターより提供を受けた只見川の水温データを対応させ,気象条件と川霧発生傾向の関係を分析した。さらに,川霧が発生しやすいと考えられる気象条件を実験装置内で再現し(図1),レーザー光散乱の有無により霧発生を確認する再現実験で分析結果の妥当性を評価した。
(2)結果
分析の結果,「湿数が小さく、風速が約0.5 m/sの微風であること」が川霧発生と強く影響することが確認された(図2)。気温と水温の差が約3 ℃と小さくても川霧が発生する事例も見られた。再現実験では,蒸気霧を想定した条件でチンダル現象が確認されたが,移流霧を想定した条件では気温低下・水温上昇は見られたものの湿度変化やチンダル現象は確認できなかった。
(3)考察
強風時は霧が拡散し、無風時は霧の成長が停滞する傾向が見られた。ダム群と融雪水の影響で只見川は年間を通じ水温が低いことが先行研究[1]で報告されており、確認された霧の多くは移流霧と考えられるが,温度差が小さくても発生する要因としては,気象データの観測地点と実際の水面直上との乖離や,湿度の影響が気温と水温の差以上に大きい可能性などが考えられる。また再現実験については,本研究での実験で再現できていない条件として大気と河川水間の熱収支や気圧,地形,空気の継続的な供給などが挙げられる。この結果から,実際の只見川での川霧発生は単なる湿数や風速,水温だけではなく,前述の条件が影響している可能性があることが明らかになった。
3.研究2 予測モデルの構築
(1)方法
複数の気象条件が絡む非線形関係の予測に適し,安定した予測精度を持つランダムフォレスト(多数の決定木の多数決による予測手法)を用いてモデルを構築した。気象条件は研究1と同様のものを使用した。時間の周期性を反映させるため,時刻の値を三角関数に変換して周期性を数値化する特徴量エンジニアリングを施した。また、時系列を考慮した交差検証手法(TimeSeriesSplit)を用いるとともに,自然現象のデータでは「発生無し」が圧倒的多数を占める不均衡データとなるため,少数派である霧の発生を学習時に見落とさないための仕組みを加えた。また実際に試験使用し,その実用性を確認した。
(2)結果
本研究のアルゴリズムを用いることで,構築したモデルと気象予報API(Open-Meteo)を連携させ,最大16日先までの地点別・日別の川霧予測グラフを作成するシステム実装を行うことができた。
(3) 考察
機械学習アルゴリズムを用いることで,3つ以上の複雑な気象条件についても地点・時間・霧の濃度や種類ごとに発生予測を行える点,グラフ化が可能で視覚的に川霧の発生が読み取りやすい点で有用であると考えられる。今後の課題として,標高・地形情報の追加,勾配ブースティングなど他のアルゴリズムとの比較検証を行い,より強固な予測モデルの実装を目指す。また,数値による制度評価を行う際,川霧のような自然現象は単純な「正解率」のみを評価指標とすると,多数派である「発生無し」と予測し続けるだけで高い数値が得られてしまい,モデルの実力を適切に評価できない。そこで適合率と再現率の調和平均である「F1値」を評価指標として用いての精度評価も行いたい。
4.参考文献
[1] 後藤光亀, 櫻井勇三.只見川・川霧の謎解き.会津嶺.2024年4月号-2026年3月号
[2] 国土交通省.川の防災情報.https://www.river.go.jp/index
[3] 山内美琴.2021.川霧の発生条件.日本学生科学賞入選論文
キーワード:只見川 川霧 川霧発生条件 予測モデル ランダムフォレスト
1.背景・目的
福島県南会津郡只見町から同大沼郡三島町にかけての只見川では,特異な地形と気象条件が重なって川霧が生じ,一部地域は「霧幻峡」として奥会津地域の観光資源となっている。しかし川霧の発生条件や発生時期の情報は経験則に基づいたものが主である。先行研究[1]では,この特異性は地形・上流ダム群の放流や気象条件が複雑に絡み合って成立していることが示唆されているが, この地域での川霧の発生条件の解明・予測を試みた研究は未だ無い。そこで本研究では,只見川における川霧発生状況の観測・分析による発生条件・特徴の解明,その結果に基づく川霧予測モデルの構築の2点を目的とした。
2.研究1 川霧の観測と分析
(1)方法
先行研究[1]の手法を参考に,「川の防災情報」[2]を用いて1時間毎に川霧・雲・天候等を記録した。分析には湿数,風速,降水量,水温のデータを使用した。先行研究[1]で降水量は湿度を上げる間接的な条件とされているため,降水量は1時間前の値を採用した。気象庁アメダスの気象データと東北電力株式会社会津ダム管理センターより提供を受けた只見川の水温データを対応させ,気象条件と川霧発生傾向の関係を分析した。さらに,川霧が発生しやすいと考えられる気象条件を実験装置内で再現し(図1),レーザー光散乱の有無により霧発生を確認する再現実験で分析結果の妥当性を評価した。
(2)結果
分析の結果,「湿数が小さく、風速が約0.5 m/sの微風であること」が川霧発生と強く影響することが確認された(図2)。気温と水温の差が約3 ℃と小さくても川霧が発生する事例も見られた。再現実験では,蒸気霧を想定した条件でチンダル現象が確認されたが,移流霧を想定した条件では気温低下・水温上昇は見られたものの湿度変化やチンダル現象は確認できなかった。
(3)考察
強風時は霧が拡散し、無風時は霧の成長が停滞する傾向が見られた。ダム群と融雪水の影響で只見川は年間を通じ水温が低いことが先行研究[1]で報告されており、確認された霧の多くは移流霧と考えられるが,温度差が小さくても発生する要因としては,気象データの観測地点と実際の水面直上との乖離や,湿度の影響が気温と水温の差以上に大きい可能性などが考えられる。また再現実験については,本研究での実験で再現できていない条件として大気と河川水間の熱収支や気圧,地形,空気の継続的な供給などが挙げられる。この結果から,実際の只見川での川霧発生は単なる湿数や風速,水温だけではなく,前述の条件が影響している可能性があることが明らかになった。
3.研究2 予測モデルの構築
(1)方法
複数の気象条件が絡む非線形関係の予測に適し,安定した予測精度を持つランダムフォレスト(多数の決定木の多数決による予測手法)を用いてモデルを構築した。気象条件は研究1と同様のものを使用した。時間の周期性を反映させるため,時刻の値を三角関数に変換して周期性を数値化する特徴量エンジニアリングを施した。また、時系列を考慮した交差検証手法(TimeSeriesSplit)を用いるとともに,自然現象のデータでは「発生無し」が圧倒的多数を占める不均衡データとなるため,少数派である霧の発生を学習時に見落とさないための仕組みを加えた。また実際に試験使用し,その実用性を確認した。
(2)結果
本研究のアルゴリズムを用いることで,構築したモデルと気象予報API(Open-Meteo)を連携させ,最大16日先までの地点別・日別の川霧予測グラフを作成するシステム実装を行うことができた。
(3) 考察
機械学習アルゴリズムを用いることで,3つ以上の複雑な気象条件についても地点・時間・霧の濃度や種類ごとに発生予測を行える点,グラフ化が可能で視覚的に川霧の発生が読み取りやすい点で有用であると考えられる。今後の課題として,標高・地形情報の追加,勾配ブースティングなど他のアルゴリズムとの比較検証を行い,より強固な予測モデルの実装を目指す。また,数値による制度評価を行う際,川霧のような自然現象は単純な「正解率」のみを評価指標とすると,多数派である「発生無し」と予測し続けるだけで高い数値が得られてしまい,モデルの実力を適切に評価できない。そこで適合率と再現率の調和平均である「F1値」を評価指標として用いての精度評価も行いたい。
4.参考文献
[1] 後藤光亀, 櫻井勇三.只見川・川霧の謎解き.会津嶺.2024年4月号-2026年3月号
[2] 国土交通省.川の防災情報.https://www.river.go.jp/index
[3] 山内美琴.2021.川霧の発生条件.日本学生科学賞入選論文
キーワード:只見川 川霧 川霧発生条件 予測モデル ランダムフォレスト
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