Presentation Information
[J-P-11]How the Geological Factors Affect the 222Rn Concentration in Groundwater
*Tokyo Gakugei University Senior High School *1 (1. Tokyo Gakugei University Senior High School)
研究者氏名:野沢郁乃
先行研究では、国分寺崖線下の湧水を対象として地下水中の222Rn(以下ラドン)含有量を測定した結果、地点によってラドン含有量に差があることが報告されている。また、貫井神社・お鷹の道など東京西部の湧水ではラドンが検出された一方、六郷用水など東京東部から南東部の湧水では検出されない地点があることが示された。このことから、東京西部ではラドンが検出されやすく、東部では検出されにくい傾向が示唆されていた。しかし、その地域差が地質の違いによるものなのか、地下水の流動や採水地点の気象条件等、環境の違いによるものなのかは明らかになっていなかった。そこで本研究では、国分寺崖線沿いの湧水を対象に地下水中のラドン含有量を測定するとともに、各地点の地質との対応を比較することで、ラドン含有量に影響を及ぼす地質的要因の解明を目的とした。さらに、地下水中のラドン含有量を、ボーリング調査をせずに地質を調査する際の指標として利用できる可能性について検討した。調査は国分寺崖線沿いにおいて地下水が湧出する地点で実施した。各地点で地下水8Lを採水し、そのうち2Lずつを測定に使用した。2Lの地下水から400mLを別容器に移した後、残り1.6 Lを密閉したペットボトル内で1分間激しく振とうし、地下水中の222Rnを気相へ移行させた。続いて、ペットボトル内の気相を、活性炭を充填した注射器を用いて通過させることで、ラドンを活性炭に吸着させた。吸着後は活性炭をラップで密封してGM管前に設置し、ラドンの壊変によって生成される214Pbおよび214Biから放出されるβ線を一定時間測定した。測定値からバックグラウンドを差し引いて1分あたりのβ線測定回数(CPM)を算出し、その時間変化をラドンの成長・壊変理論曲線に近似させることで、地下水中のラドン含有量を推定した。その結果、地点によってラドン含有量に差が認められ、またラドンが検出されなかった地点もあった。先行研究では、東京東部の湧水ではラドンが検出されにくい傾向が示唆されていたが、本研究では東京東部に位置する田園調布せせらぎ公園においてもラドンが検出された。これは、先行研究の仮説を否定するものである。ラドンが検出された地点における地層を詳しく調査すると、1地点(田園調布せせらぎ公園)を除いて武蔵野ローム層および立川ローム層が分布していた。また、地理的に近接しているお鷹の道と貫井神社においてもラドン含有量に差があった。ラドンが多く含まれていたお鷹の道では武蔵野ローム層と立川ローム層が分布していた一方、貫井神社では主に立川ローム層が分布していた。武蔵野ローム層は箱根火山由来の酸性火山灰を主体とするためSiO₂に富む。長い時間をかけて冷やされたマグマ中のSiO₂には、ラドンの親核種であるウランが多く溶け込みやすいということがわかっている。そのため、SiO₂に富む酸性岩はウランを比較的多く含むと考えられる。つまり、酸性岩にはウランの壊変によって生成されるラドン含有量も多くなるのである。一方で、立川ローム層は富士山由来の塩基性火山灰を主体とし、ラドン含有量が比較的小さいと考えられる。以上より、地下水中のラドン含有量は地理的位置よりも地質の影響を強く受けることが示唆され、特に武蔵野ローム層との関連が強いと考えられる。武蔵野ローム層が分布する等々力渓谷とお鷹の道のラドン含有量を比較したところ、お鷹の道における湧水の方がラドンを多く含んでいた。そこで武蔵野ローム層の層厚との関係性を調べるため、武蔵野ローム層の起源である箱根火山からの距離を比較したところ、約63kmとほぼ等距離であった。このことから、火山からの距離よりも武蔵野ローム層の層厚や地下水の流動経路などの地質条件がラドン含有量に影響していると考えられる。今後は武蔵野ローム層と立川ローム層がラドン含有量に及ぼす影響の違いをより明確にするため、立川ローム層のみ分布する地域、そもそも関東ローム層が分布しない地域にも調査範囲を広げる。また、武蔵野ローム層と立川ローム層を実際に採取してGM管前に設置し、β線測定回数を比較する。この際に、実際に水を二つのローム層に通し、フィルタ実験も行う。さらに、関東ローム層が分布しないと推定される田園調布せせらぎ公園においてラドンが検出されたことから、他の地質的要因を検討するとともに、この地点の地層を明らかにしていく。
キーワード:地下水、ラドン、国分寺崖線、関東ローム層
先行研究では、国分寺崖線下の湧水を対象として地下水中の222Rn(以下ラドン)含有量を測定した結果、地点によってラドン含有量に差があることが報告されている。また、貫井神社・お鷹の道など東京西部の湧水ではラドンが検出された一方、六郷用水など東京東部から南東部の湧水では検出されない地点があることが示された。このことから、東京西部ではラドンが検出されやすく、東部では検出されにくい傾向が示唆されていた。しかし、その地域差が地質の違いによるものなのか、地下水の流動や採水地点の気象条件等、環境の違いによるものなのかは明らかになっていなかった。そこで本研究では、国分寺崖線沿いの湧水を対象に地下水中のラドン含有量を測定するとともに、各地点の地質との対応を比較することで、ラドン含有量に影響を及ぼす地質的要因の解明を目的とした。さらに、地下水中のラドン含有量を、ボーリング調査をせずに地質を調査する際の指標として利用できる可能性について検討した。調査は国分寺崖線沿いにおいて地下水が湧出する地点で実施した。各地点で地下水8Lを採水し、そのうち2Lずつを測定に使用した。2Lの地下水から400mLを別容器に移した後、残り1.6 Lを密閉したペットボトル内で1分間激しく振とうし、地下水中の222Rnを気相へ移行させた。続いて、ペットボトル内の気相を、活性炭を充填した注射器を用いて通過させることで、ラドンを活性炭に吸着させた。吸着後は活性炭をラップで密封してGM管前に設置し、ラドンの壊変によって生成される214Pbおよび214Biから放出されるβ線を一定時間測定した。測定値からバックグラウンドを差し引いて1分あたりのβ線測定回数(CPM)を算出し、その時間変化をラドンの成長・壊変理論曲線に近似させることで、地下水中のラドン含有量を推定した。その結果、地点によってラドン含有量に差が認められ、またラドンが検出されなかった地点もあった。先行研究では、東京東部の湧水ではラドンが検出されにくい傾向が示唆されていたが、本研究では東京東部に位置する田園調布せせらぎ公園においてもラドンが検出された。これは、先行研究の仮説を否定するものである。ラドンが検出された地点における地層を詳しく調査すると、1地点(田園調布せせらぎ公園)を除いて武蔵野ローム層および立川ローム層が分布していた。また、地理的に近接しているお鷹の道と貫井神社においてもラドン含有量に差があった。ラドンが多く含まれていたお鷹の道では武蔵野ローム層と立川ローム層が分布していた一方、貫井神社では主に立川ローム層が分布していた。武蔵野ローム層は箱根火山由来の酸性火山灰を主体とするためSiO₂に富む。長い時間をかけて冷やされたマグマ中のSiO₂には、ラドンの親核種であるウランが多く溶け込みやすいということがわかっている。そのため、SiO₂に富む酸性岩はウランを比較的多く含むと考えられる。つまり、酸性岩にはウランの壊変によって生成されるラドン含有量も多くなるのである。一方で、立川ローム層は富士山由来の塩基性火山灰を主体とし、ラドン含有量が比較的小さいと考えられる。以上より、地下水中のラドン含有量は地理的位置よりも地質の影響を強く受けることが示唆され、特に武蔵野ローム層との関連が強いと考えられる。武蔵野ローム層が分布する等々力渓谷とお鷹の道のラドン含有量を比較したところ、お鷹の道における湧水の方がラドンを多く含んでいた。そこで武蔵野ローム層の層厚との関係性を調べるため、武蔵野ローム層の起源である箱根火山からの距離を比較したところ、約63kmとほぼ等距離であった。このことから、火山からの距離よりも武蔵野ローム層の層厚や地下水の流動経路などの地質条件がラドン含有量に影響していると考えられる。今後は武蔵野ローム層と立川ローム層がラドン含有量に及ぼす影響の違いをより明確にするため、立川ローム層のみ分布する地域、そもそも関東ローム層が分布しない地域にも調査範囲を広げる。また、武蔵野ローム層と立川ローム層を実際に採取してGM管前に設置し、β線測定回数を比較する。この際に、実際に水を二つのローム層に通し、フィルタ実験も行う。さらに、関東ローム層が分布しないと推定される田園調布せせらぎ公園においてラドンが検出されたことから、他の地質的要因を検討するとともに、この地点の地層を明らかにしていく。
キーワード:地下水、ラドン、国分寺崖線、関東ローム層
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