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[T3-O-1]Development of a carbonation reaction–transport model incorporating mass transfer at the crust–mantle interface★2026年度学生優秀発表賞受賞★

*Shunya OKINO1, Benjamin MALBOISIN2, Atsushi Okamoto1 (1. Graduate School of Environmental Studies, Tohoku University, 2. University Grenoble Alpes)
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Keywords:

Reaction-transport model,Carbontion,Metasomatism,Mantle wedge

[背景] 沈み込み帯にはプレート運動に伴って年間60Mtの炭素が持ち込まれている[1].その一部はCO2流体として放出され,マントルウェッジに固定されると考えられている.しかしながら,一般にマントル岩への炭素固定反応は体積膨張反応であるため,特にマントルウェッジのような高圧下では空隙が閉塞し反応が自己停止する[2].一方で,三波川変成帯のマントルウェッジ由来の蛇紋岩体には多数の炭酸塩鉱物+滑石脈が形成され,泥質片岩との境界部には緑泥石岩が分布している.これはマントルから地殻へのMg交代作用が起きたと解釈され,マントルの体積が減少することで自己促進的な炭酸塩化が起きたことを示す[3].しかしながら,従来の反応-輸送モデルは単一の可動成分を仮定しており[3],CO2の流入とMgの流出という二つの可動成分が連動する系を反応速度論的に扱った研究は限られている.また,物質移動が炭素固定量にもたらす定量的な変化や,その反応速度論的条件は検討された例がない.本研究では,マントルウェッジの温度圧力において,マントル炭酸塩化とMg交代作用を組み合わせた1次元反応-輸送モデルを構築し,これらの問題について検討を行う.

[方法] 本研究ではMalvoisin et al. (2021)のモデルを拡張した.このモデルは,反応による密度,空隙率,流体圧それぞれの変化および鉱物の変形を統合的に扱うことが特徴的である.質量保存則,CO2とMgの移流拡散方程式,および炭酸塩化の反応速度則より方程式を得たのち,熱力学計算ソフト(Perple_X)を用いて,任意の状態(流体圧,流体中のCO2濃度,固相のMg/Si比)における固体と流体それぞれにおける密度,組成および鉱物モードを得た.炭酸塩化反応は反応速度則(Damköhler数)で表す一方,Mgの溶解・沈殿は局所平衡で扱った.これらの変数と空隙率の時間変化について,得られた連立方程式をpseudotransient iterations法で解くことによって求めた.

[モデル設定] 計算領域は蛇紋岩体を1次元で表し,一端に泥質片岩との境界(地殻側)を置いた.この境界には,CO2に富む流体の流入と,溶脱したMgの流出をそれぞれ境界条件として与え,天然に見られるマントルから地殻へのMg交代作用を再現できるようにした.この系では,炭酸塩化による体積増加(空隙の減少)と,Mgの溶脱・流出による体積減少(空隙の増加)という二つの過程が競合し,空隙閉塞の有無ひいては炭酸塩化反応の持続性を左右すると考えられる.系を無次元化すると,炭素固定の挙動を支配する量として,反応速度と拡散速度の比を表すDamköhler数,初期空隙率,および流体圧勾配(Darcy流量)が抽出される.本研究では特に,物質移動を担う機構として濃度勾配による拡散と,流体圧勾配に駆動される移流(Darcy流)とを比較し,パラメータを系統的に変化させてその影響を調べた.

[結果と考察] 予察的な計算結果として,拡散が支配的な条件下において,Mgの移動を固定した場合には炭酸塩化に伴って空隙が閉塞するのに対し,マントルから地殻へのMg交代作用(地殻側への流出)を許した場合には空隙の閉塞が回避されることが分かった.ただし,この閉塞回避が成立するか否かは,Damköhler数と初期空隙率に依存する.なお,移流を加えた場合の炭素固定量への影響については,現在解析を進めている.以上の結果は,物質移動が空隙閉塞を緩和し炭素固定を持続させる鍵となることを示唆する.このモデルは,天然試料で見られる炭酸塩+滑石脈や緑泥石岩の形成条件を定量的に制約し,マントルウェッジにおける炭素固定量を見積もるための枠組みを与える.本発表では,これらのパラメータ依存性に関する計算結果を詳しく示すとともに,天然の産状および高温高圧実験の結果との対応関係を議論する.

[1] Clift, P.D., 2017. Rev. Geophys. 55, 97–125.
[2] Zheng, X. et al., 2018. Geochem. Geophys. Geosyst. 19, 2661–2672.
[3] Okamoto, A. et al., 2021. Commun. Earth Environ. 2, 151.
[4] Malvoisin, B. et al., Earth and Planetary Science Letters 563, 116859.

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