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[T3-O-8]Microboudin Paleopiezometer: Estimation of the Differential Stress–Strain Histories of the Sanbagawa Metamorphic belt Using a Glaucophane and Piedmontite

*Kazuya Toyama1, Katsuyoshi Michibayashi1,2 (1. Graduate School of Environmental Studies, Nagoya University, 2. Volcanoes and Earth's Interior Research Center, IMG, JAMSTEC)
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Keywords:

Microboudin,Paleopiezometer,Glaucophane,Piedmontite,Sanbagawa Belt


 藍閃石や紅簾石のような柱状の変成鉱物には、変成作用を受けると応力で破断し、列車が連なったようなマイクロブーディン組織を形成する。著者らは、最近、マイクロブーディン組織を有するメタチャート(珪質変成岩)に含まれる藍閃石を対象として、変形時の差応力と歪履歴を復元するマイクロブーディン古差応力計を提案した[1]。本研究では、和歌山県の四邑川地域や神路谷川地域および徳島県眉山地域のメタチャート中の藍閃石や紅簾石に着目し、マイクロブーディン古差応力計を用いて各地域の差応力歪履歴の空間的差異を比較検討した。
藍閃石マイクロブーディンを含む試料を、四邑川地域から2試料、神路谷川地域から1試料、眉山地域から1試料採取し、紅簾石マイクロブーディンを含む試料を四邑川地域から1試料採取した。片理に直交し伸長線構造に平行なXZ面の研磨薄片を作成し、顕微鏡観察を行ったところ、主要構成鉱物は、石英、曹長石、赤鉄鉱、白雲母、藍閃石、紅簾石であった。マイクロブーディン組織について、ブーディンのアスペクト比(長軸/短軸)およびブーディン間距離を、Pythonによる画像解析プログラムを用いて数100粒子規模で計測した。さらに、電子線後方散乱回折(EBSD)法により石英の結晶方位ファブリックおよび動的再結晶粒径を求めた。
藍閃石の破断前の平均アスペクト比は、四邑川地域で5.80~7.32、神路谷川地域で13.4、眉山地域で9.84であり、ブーディン間距離の平均値はそれぞれ71.5~74.0 µm、12.0 µm、23.7 µmであった。また、石英のc軸ファブリックや波動消光から全試料で転位クリープでの変形が確認され、動的再結晶粒径の二乗平均平方根値(RMS)は四邑川地域で9.96~11.24 µm、神路谷川地域で22.80 µm、眉山地域で47.25 µmであった。これらを基に動的再結晶粒径差応力計[2]を適用した結果、差応力は四邑川地域で107~116 MPa、神路谷川地域で64.6 MPa、眉山地域で39 MPaと推定された。得られた差応力に対応するアスペクト比を、ロジスティック回帰を用いて各試料で決定し、差応力とアスペクト比の関係式[1]から引張強度を計算した結果、四邑川地域で1203~1614 MPa、神路谷川地域で1616 MPa、眉山地域で1215 MPaであった。この引張強度を一定と仮定し、マイクロブーディン古差応力計[1]へ適用することで応力歪履歴を復元した。その結果、四邑川地域では、約50 MPaから約100 MPaへと差応力の上昇が確認されたが、神路谷川地域および眉山地域では、約40~50 MPaの低差応力を保持していたことが確認された。また、最大歪量は四邑川地域で0.6~0.9、神路谷川地域および眉山地域ではでは0.2と、大きな差が認められた。さらに、同様の分析を四邑川から採取された紅簾石マイクロブーディンを含む試料でも行ったところ、同地域の他の試料と同様の応力歪履歴が確認され、紅簾石の引張強度は1379 MPaであった。一方、ヤング率から推定される引張強度は、藍閃石で約360 MPa[3]、紅簾石で約390 MPa[4]である。本研究で引張強度が高く推定された理由として、石英の動的再結晶粒径差応力計から計算された差応力と柱状鉱物に作用した剪断応力が異なる可能性が考えられる。そこで、両者の値を比較した結果、石英の差応力の25〜30%が柱状鉱物に作用した剪断応力として見積もられた。
本研究により、三波川帯内でも差応力―歪履歴に大きな地域差がある一方で、同地域内では鉱物種に関係なくほぼ同様の応力―歪履歴を示すことが明らかになった。また、同じ鉱物種では地域に関係なくほぼ一定の引張強度を持つこと、石英の流動応力の一部が内部の柱状鉱物に作用したことが示唆された。従って、マイクロブーディン古差応力計が、変成岩に記録された差応力―歪履歴の空間的差異を通じて、地域間のテクトニックな違いを解明する有効な手法であり、基質のレオロジー特性を理解する上でも有効であることが示された。
引用文献:[1] Toyama & Michibayashi 2026 Tectonophysics. 231202., [2] Cross et al 2017 Geophys. Res. Lett. 44., [3] Bezacier et al 2010 Tectonophysics. 494., [4] Junsheng et al 2025 . Geosci. Front. 101933.

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