Presentation Information
[T3-O-11]Deformation-induced protoenstatite–clinoenstatite transformation and microcrack development in enstatite polycrystals
*Miki Tasaka1, Maya Iwago1 (1. Shizuoka univ.)
Keywords:
Enstatite,Deformation-induced phase transformation,Microcracks
鉱物の相転移は、結晶構造や体積を変化させるだけでなく、局所的な応力場やひずみの分配にも影響を与えるため、岩石の変形挙動を理解するうえで重要である。特に輝石は、上部マントルや下部地殻を構成する主要鉱物であり、その多形転移が変形中にどのように進行し、微細組織にどのような影響を与えるのかを明らかにすることは、輝石を含む岩石の低温変形機構を考えるうえで重要である。本研究では、プロトエンスタタイト(PEn)を主成分とするエンスタタイト多結晶体を対象に、室温・常圧下で micro-Vickers indentation 実験を行い、変形に伴う PEn–CEn 相転移と微細組織変化を調べた。試料には 20 vol.% のフォルステライトを含むエンスタタイト多結晶体を用い、異なる荷重条件で圧痕を形成した後、EBSD により相分布、結晶方位、粒径、粒内方位差を解析した。また、一部の圧痕については、変形後の時間経過に伴う相分率の変化を追跡した。その結果、圧痕周辺では PEn からクリノエンスタタイト(CEn)への相転移が認められ、CEn の割合は荷重の増加とともに高くなった。相転移は試料全体で均一に進行するのではなく、圧痕の縁や角部など、ひずみが集中する領域に選択的に発達した。また、変形後も CEn の割合は時間とともに増加し、圧痕形成後にも相転移が継続することが分かった。圧痕周辺では、粒内方位差の増加に加えて微小クラックの発達も観察され、PEn–CEn 相転移が単なる相変化ではなく、局所的な損傷形成を伴うことが示された。PEn–CEn 相転移には体積変化が伴うため、変形中に蓄積した格子ひずみや局所応力が相転移を促進し、その進行がさらに微小クラックの発達やひずみの再分配を引き起こした可能性がある。本研究の結果は、輝石における変形誘起相転移が、低温条件下での損傷形成や変形局在化に関与しうることを示しており、輝石を含む岩石における変形と反応の相互作用を理解するための重要な手がかりとなる。
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