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[T4-P-11]Emplacement depth of the Yagyu granite distributed in the Ryoke belt of the Kinki district based on the pseudosection modeling of the contact metamorphic rocks

*Hiroaki SAITO1, Tetsuo KAWAKAMI1, Fumiko HIGASHINO1 (1. Kyoto Univ.)
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Keywords:

Ryoke belt,contact metamorphic rocks,pseudosection,emplacement depth


 領家帯は白亜紀のフレアアップイベントにより形成された深成岩と変成岩とからなる深成変成コンプレックスである。近年の領家帯における研究の結果,柳井地域や三河地域では花崗岩質マグマの定置深度が時代とともに浅部-深部-浅部の順に規則的に変化することがわかった[1][2]。こうした花崗岩質マグマの定置深度の変化は,広域的な応力場の変化が部分的に制御している可能性がある[3]。そこで,領家帯の形成過程を解明する上で,他地域でも花崗岩体の固結深度・年代を決定し,規則性の有無を明らかにする必要がある。
本研究では近畿地方領家帯和束-笠置地域から青山高原地域にかけて分布する柳生花崗岩の周囲に発達する接触変成域を例に,シュードセクション解析を用いて見積もられた接触変成時の圧力条件について議論する。柳生花崗岩は主として塊状で中-粗粒の黒雲母花崗岩と花崗閃緑岩から構成され,木津川以北に分布する柳生花崗岩体の西部には,菫青石帯に変成分帯される約2 km幅の接触変成帯が形成されている[4]。同帯に産するホルンフェルスには,堆積構造と考えられる泥質層と砂質層の互層が露頭および薄片スケールで認められ,泥質層にのみ菫青石斑状変晶が生じている。
本研究で用いた試料は泥質層から採取した。粒径約1 cmの菫青石斑状変晶を含み,マトリクスは石英,斜長石,カリ長石,黒雲母,白雲母,炭質物と少量のチタン鉄鉱,燐灰石,電気石から構成される。黒雲母(XMg=0.40-0.46)や炭質物の配列によって定義される片理面は砂泥の岩相境界にほぼ平行である。菫青石中には炭質物の配列による内部片理が認められ,外部片理と平行で連続的である。また,主として黒雲母(XMg=0.39-0.45)+石英+白雲母からなる楕円形の集合体(以下,楕円形集合体)が多産し,その長軸は片理面にほぼ平行で,菫青石形成前から存在していたと考えられる。菫青石斑状変晶(XMg=0.55-0.61)はデンドライト様の外形を示し,黒雲母(XMg=0.43-0.49),白雲母,石英,炭質物のほか,楕円形集合体を包有する。菫青石中の楕円形集合体中ではチタン鉄鉱とMgに富む黒雲母(XMg=0.42-0.47)が共存する。菫青石直近のマトリクスには片理を構成する黒雲母が産せず,カリ長石が多産する。これらの産状は,マトリクスの黒雲母および楕円形集合体の黒雲母が消費され,菫青石,カリ長石,チタン鉄鉱が生成したことを示す。白雲母は自形結晶として菫青石や黒雲母集合体中,マトリクスにランダムな方向を向いて産するため,後退変成期に生成した可能性がある。以上の産状や組織から,菫青石,黒雲母,カリ長石,斜長石,石英,チタン鉄鉱が接触変成のピーク時に平衡共存したと考えられる。
本試料について, MAGEMin [5]を用いてMnNCKFMASHT系においてシュードセクション解析を行った。熱力学データセットはds62[6],活動度モデルは[7]を用いた。薄片を作製した部分と隣接する,同様の組織を持つ岩石片の全岩化学組成をXRFで決定し使用した。H2O量は1.0-3.0 wt%の範囲で変化させた。その結果,H2O量にかかわらず約3.0 kbar以下かつソリダスより低温側で菫青石+黒雲母+カリ長石+斜長石+石英+チタン鉄鉱+H2Oの共存領域が認められた。
一方,菫青石のXMgおよびマトリクスに産する黒雲母のXMgのアイソプレスは先の鉱物組み合わせに紅柱石または珪線石を加えた,より低温かつ3.3 kbar以下の領域で一致する。従って,菫青石はこのP-T領域で成長し,菫青石およびマトリクスの黒雲母は成長時の組成を保持している可能性が高い。また,菫青石中に包有される楕円形集合体中の黒雲母のXMgは,上述の菫青石形成時に平衡共存可能な黒雲母のXMg値(0.30-0.41)とは一致しなかった。これが変成ピーク後の菫青石―黒雲母間の再平衡によるものか,実効バルク組成の影響であるのかは今後検証する必要がある。
以上から,木津川以北の和束地域に産する柳生花崗岩による接触変成作用は約3.3 kbar以下で生じたと言える。この圧力条件を定置深度に換算すると,大陸地殻の平均密度を2.7 g cm-3とした場合,約12 km以浅となる。

参考文献: [1] Skrzypek+ (2016) Lithos. [2] Takatsuka+ (2018) Lithos. [3] Okudaira+ (2024) Elements. [4] 尾崎ほか(2000) 地質調査所. [5] Riel et al. (2022) Geochem. Geophys. Geosyst. [6] Holland & Powell (2011) JMG. [7] White+ (2014) JMG.

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