Presentation Information
[T4-P-16]Genesis of Jadeitite in Hashidate Area (Itoigawa), central Japan : SiO2-Leaching from leucocratic igneous Rock
*Hinata NISHIZAWA1, Hana OKADA1, Hayato UEDA1, Kou Takenouchi2, Takahiko Ogawara2 (1. Graduate School of Science and Technology, Niigata University, 2. Fossa Magna Museum)
Keywords:
Jadeitite,Albitite
ひすい輝石岩の成因には,熱水から沈殿したPタイプと,何らかの原岩がひすい輝石岩に交代されたRタイプがあり,糸魚川産のひすい輝石岩は,ほとんどがPタイプとされている(椚座・後藤,2010).しかし,糸魚川地域では,中心部に曹長岩,周縁部にひすい輝石岩という累帯構造を持つひすいが産出することから,曹長石からひすい輝石が生じたとする根拠とされた. Shido (1958)は,曹長石からひすい輝石が生じる反応は,石英に不飽和であればひすい輝石+石英の安定領域より低圧でおこることを指摘するとともに,シリカがかんらん石の蛇紋石化や蛇紋石の滑石化に消費される間は曹長石の脱シリカが進行する可能性を論じている.しかしこれらの指摘は近年のひすい形成論では十分顧みられていない.これらを踏まえ,糸魚川産のひすい輝石岩の成因について再検討を行った.
今回、橋立地域産ひすい輝石岩(フォッサマグナミュージアム所蔵)の観察を行った.この岩石はジルコンの微量元素測定で火成岩由来に近いジルコンであるという結果が得られている.また,この岩石には蛇紋岩との反応縁とみられる角閃石,緑泥石,滑石からなる皮がついている.ひすい輝石は,反応縁に近い外側では結晶が密集して多く存在しているのに対し,内側では独立した結晶が少量存在する.また,ひすい輝石は曹長石とゆうれん石を包有する.曹長石は粗粒で,ゆうれん石を包有し,外側から内側に向かうにつれて多くなっている.また,曹長石の内部にはオリゴクレースが残存している.ひすい輝石,曹長石,ゆうれん石の包有関係とオリゴクレースの存在から,オリゴクレースが曹長石とゆうれん石に分解された後,曹長石が外側から脱シリカ反応によってひすい輝石に置換された(NaAlSi3O8 → NaAlSi2O6 + SiO2)ことが考えられる.その他の鉱物として,角閃石,金雲母,ジルコンが見られる。角閃石は曹長石に包有され,縁にひすい輝石を伴っている.金雲母は角閃石を切ったり,角閃石に切られたりしている.ジルコンは角閃石や曹長石に包有されている.角閃石,金雲母,ジルコンとひすい輝石,曹長石の包有関係から,これらの鉱物はひすい輝石,曹長石ができるより前に存在していたと考えられる.これらの鉱物の包有関係からできた順番を考察すると、①原岩(角閃石,金雲母、ジルコン,オリゴクレースを含む)があった.②オリゴクレースが曹長石とゆうれん石に分解した.③曹長石が脱シリカ反応によってひすい輝石に置換される,と考えられる.また,外側ほどひすい輝石が多く,内側ほど曹長石が多いという様子から,より蛇紋岩側に近い外側で,曹長石がひすい輝石に変化する反応(NaAlSi3O8 → NaAlSi2O6 + SiO2)がより進行したと考えられる.一方,内側ではこの反応が起きにくかったために,曹長石が多く残っていると考えられる.以上より、ジルコンの微量元素測定結果から原岩が火成岩とすると,糸魚川市橋立産のひすい輝石岩は,火成岩の曹長石成分がひすい輝石に置換することで形成され,岩石の外側ほど曹長石のひすい輝石への置換がより進行していると考えられる.
引用文献
椚座圭太郎・後藤篤,日本列島の誕生場― 古太平洋の沈み込み開始を示す飛騨外縁帯の520 Ma の熱水活動―,地学雑誌,2010
Shido Fumiko, Calciferous Amphibole rich in Sodium from Jadeite-bearing Albitite of Kotaki, Niigata Prefecture, 地質学雑誌,1958
今回、橋立地域産ひすい輝石岩(フォッサマグナミュージアム所蔵)の観察を行った.この岩石はジルコンの微量元素測定で火成岩由来に近いジルコンであるという結果が得られている.また,この岩石には蛇紋岩との反応縁とみられる角閃石,緑泥石,滑石からなる皮がついている.ひすい輝石は,反応縁に近い外側では結晶が密集して多く存在しているのに対し,内側では独立した結晶が少量存在する.また,ひすい輝石は曹長石とゆうれん石を包有する.曹長石は粗粒で,ゆうれん石を包有し,外側から内側に向かうにつれて多くなっている.また,曹長石の内部にはオリゴクレースが残存している.ひすい輝石,曹長石,ゆうれん石の包有関係とオリゴクレースの存在から,オリゴクレースが曹長石とゆうれん石に分解された後,曹長石が外側から脱シリカ反応によってひすい輝石に置換された(NaAlSi3O8 → NaAlSi2O6 + SiO2)ことが考えられる.その他の鉱物として,角閃石,金雲母,ジルコンが見られる。角閃石は曹長石に包有され,縁にひすい輝石を伴っている.金雲母は角閃石を切ったり,角閃石に切られたりしている.ジルコンは角閃石や曹長石に包有されている.角閃石,金雲母,ジルコンとひすい輝石,曹長石の包有関係から,これらの鉱物はひすい輝石,曹長石ができるより前に存在していたと考えられる.これらの鉱物の包有関係からできた順番を考察すると、①原岩(角閃石,金雲母、ジルコン,オリゴクレースを含む)があった.②オリゴクレースが曹長石とゆうれん石に分解した.③曹長石が脱シリカ反応によってひすい輝石に置換される,と考えられる.また,外側ほどひすい輝石が多く,内側ほど曹長石が多いという様子から,より蛇紋岩側に近い外側で,曹長石がひすい輝石に変化する反応(NaAlSi3O8 → NaAlSi2O6 + SiO2)がより進行したと考えられる.一方,内側ではこの反応が起きにくかったために,曹長石が多く残っていると考えられる.以上より、ジルコンの微量元素測定結果から原岩が火成岩とすると,糸魚川市橋立産のひすい輝石岩は,火成岩の曹長石成分がひすい輝石に置換することで形成され,岩石の外側ほど曹長石のひすい輝石への置換がより進行していると考えられる.
引用文献
椚座圭太郎・後藤篤,日本列島の誕生場― 古太平洋の沈み込み開始を示す飛騨外縁帯の520 Ma の熱水活動―,地学雑誌,2010
Shido Fumiko, Calciferous Amphibole rich in Sodium from Jadeite-bearing Albitite of Kotaki, Niigata Prefecture, 地質学雑誌,1958
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