Presentation Information
[T4-P-21]Relationship between metamorphic temperature distribution and geological structure in the Sanbagawa Metamorphic Belt, Toba area, Central Japan
*Seira KATAGIRI1,2, Takayuki Uchino1 (1. AIST, Geological Survey of Japan, 2. Department of Earth and Planetary Sciences, GSES , Nagoya University)
Keywords:
Sanbagawa metamorphic rocks,Mikabu green rocks,Raman CM geothermometer,Albite
三重県志摩半島北部に位置する鳥羽地域では三波川変成岩類を挟んで南北両側に御荷鉾緑色岩類が分布し,その大局的な地質構造は,南北方向に横臥褶曲した両岩が更に南北圧縮を受け背斜となった部分を表していると想定されている(内野ほか, 2017).また,本地域東部の安楽島町と船津町西部では,横臥褶曲の下翼で向斜状背斜を示す三波川変成岩類が高角逆断層に沿って上昇・露出していると考えられている.本研究では,炭質物ラマン温度計を用いて変成温度解析を行い,この地質構造と温度構造との関係を検討した.今回,背斜構造を示す朝熊山北側地域と向斜状背斜構造を示す安楽島町にて,堆積岩起源の結晶片岩を19試料採取し,炭質物ラマン温度計を用いて変成温度推定を行った.炭質物ラマン温度計の解析にはKaneki et al.(2024)とKaneki & Kouketsu (2022)のPythonプログラムを使用した.両地域で採取した泥質片岩の鉱物組み合わせは石英+曹長石+緑泥石+白雲母+炭質物±アパタイト±チタン石であった.これらの試料中の石英包有炭質物に対してラマン分光分析を行った結果,炭質物ラマン温度計は264±28℃から289±27℃を示した.また,褶曲構造の軸部から翼部にかけて明瞭な温度差は認められなかった.一方,安楽島町の試料では炭質物のD1-FWHMは51.5から75.0 cm-1の範囲を示し,解析プログラムによる推定温度は339±28℃であった.しかし,D1-FWHMヒストグラムがバイモーダルな分布を示し,最高被熱温度を一意に推定することは困難であった.また,高結晶化度・低結晶化度のいずれのグループも朝熊山北側地域の試料より高い結晶化度を示した.さらにSEM-EBSD分析の結果,曹長石の粒径分布について粒子数積み上げ分率ヒストグラムにおける最頻粒径と,面積積み上げ分率ヒストグラムにおけるピーク粒径との差は,安楽島町試料ではlog10スケールで0.9を示したのに対し,朝熊山北側地域の泥質片岩ではいずれも0.1と小さい値であった.この差は,安楽島町試料において粗粒な曹長石の面積寄与が相対的に大きいことを示しており,肉眼では点紋片岩的特徴は認められないものの,薄片スケールで曹長石の斑状変晶への発達を反映している可能性がある.これらの結果から,朝熊山北側地域の結晶片岩は低変成度でかつ変成温度差は認められない一方,安楽島町のものは朝熊山北側地域と比較してより高変成度を示すと考えられ,鳥羽地域に推定される横臥褶曲と変成温度分布の関係を推定する上で重要な制約を与えると期待される.
[引用文献] Kaneki and Kouketsu (2022) Island Arc, 31, e12467; Kaneki et al. (2024) Progress in Earth and Planetary Science, 11, 35; 内野ほか (2017) 地域地質研究報告(5万分の1地質図幅)「鳥羽地域の地質」, 産業技術総合研究所 地質調査総合センター.
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