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[G-P-7]Living deep-sea benthic foraminifera off the eastern coast of Kikai Island

*Chika ONAI1, Ryo NAKANISHI2 (1. Chiba University, 2. National Institute of Advanced Industrial Science and Technology)
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Keywords:

Benthic foraminifera,Kikai Island,Deep sea,Sedimentary environment,Living assemblages


 深海において,斜面から海盆へと堆積物が移動し再堆積するプロセスは,底生有孔虫の分布と種組成を規制する一因である.底生有孔虫群集に対する堆積環境の明確な影響が見られた例として,カップフェレ海底谷(フランス,Fontanier et al., 2005),ラカゼ・デュティエ海底谷(地中海,Schmiedl et al., 2000),カップ・ブルトン海底谷(フランス,e.g., Anschutz et al., 2002),ナザレ海底谷(ポルトガル,Koho et al., 2007)などが挙げられる.これらの先行研究では,年間を通じて有機物や堆積物が継続的に再堆積する海底谷軸部と開けた斜面とでは群集組成や多様性が異なることが指摘されている.一方で,高頻度で重力流などが発生する場所では,平穏な海盆で見られる群集より多様性が低く,定着能力の高い分類群が占有することが示されている.本邦周辺では三陸沖地震に伴う海底の擾乱による群集の破壊と回復過程について検討されており,回復初期には競争力の強い種が先に定着することが確認されている(Tsujimoto et al., 2020).本邦周辺の大陸縁辺域を構成する斜面から海盆にかけても,地震や台風等に伴う物質移動や底層流により,海底の堆積環境は空間的に多様であると考えられる.しかし,こうした堆積物の移動・不均質性を反映した環境において,現在そこに生息している生体群集が,微地形や底質の違いから受けている影響については,ほとんど検討されていない.深海生底生有孔虫の化石記録から当時の海洋環境を復元する際には,堆積環境の影響を評価した基礎的な情報が不可欠である.そこで本研究は,局所的な堆積環境との関連性を明らかにするため,喜界島東方沖の7地点(水深約1500–2800 m)における深海生底生有孔虫の生体群集を検討した.対象とした地点は,過去に地震動などの突発的な重力流イベントを経験しつつも,現在は半遠洋性泥が定常的に堆積する(Nakanishi et al., 2025; Nakanishi et al., 2026),斜面から盆地底にかけて堆積環境が連続的に変化している海域に位置する.
本研究では,2025年4月13日から4月20日にかけて実施された新青丸KS-25-2次航海にて得られた海底堆積物を使用した.試料は,喜界島東沖の海盆および凹地において,マルチプルコアラーおよびアシュラコアラーを用いて採取された.これらの上部10 cmを1 cmごとに切り分け,生体と遺骸を判別するためにローズベンガルエタノールを用いて生体染色した.下船後,桑野(1956)に基づいて処理・乾燥させた試料から,63 μm以上の個体を拾いだした.
その結果,検討した7地点の距離が互いにそれほど離れていないにもかかわらず,地点ごとに生体の産状が異なった.特に,海底面でリップルが確認された地点では,生体がほとんど産出せず,同程度の水深に位置する別の地点では産する管状膠着質種も認められなかった.その他の地点では,主に膠着質種の生体が見られたが,水深などによって,多産する分類群に若干の違いが見られた.例として,水深1727 mの地点では,管状膠着質種に加え,膠着質種のRemaneicella gonzaleziおよびLagenammina属が,水深2753 mの地点では管状膠着質種と,膠着質種のReophax属およびLagenammina属が比較的多く産出した.浮遊性有孔虫に交じり,石灰質種のCassidulina属やBolivina属の遺骸が普遍的に認められるにもかかわらず,石灰質種の生体についてはCassidulina 属などがわずかに産出するのみであった.同等の水深でも堆積物の構成粒子の異なる地点で,群集が大きく異なったことから,この海域における底生有孔虫の生体群集の分布は,堆積環境の違いに強く支配されていると推定される.今後,より詳細に種同定を進め,堆積環境と種構成について,さらに比較検討する予定である.

参考文献:
Anschutz et al. (2002). Journal of Marine Research, 60.
Koho et al. (2007). Marine Micropaleontology, 66, 27–51.
Nakanishi et al. (2025). Marine Geology, 487, 107593.
Nakanishi et al. (2026). Marine Geology, 497,107777.
Schmiedl et al. (2000). Marine Micropaleontology, 40, 167–188.
Fontanier et al. (2005). Deep Sea Research Part I: Oceanographic Research Papers, 52, 1189–1227.
Tsujimoto et al. (2020). Marine Geology, 419, 106045.
桑野幸夫 (1956). 資源科学研究所彙報, 41–42, 67–75.

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