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[G-P-11]Redox conditions at the bottom of Lake Biwa based on the geochemical characteristics of the sediment core

Tatsuya USUKI1, *Hanako DOMITSU1, Naoshige GOTO1, Shinya OCHIAI2, Shinji TSUKAWAKI2 (1. The University of Shiga Prefecture, 2. Kanazawa University)
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Keywords:

Suboxic,Sulfur-oxidizing bacteria,Thioploca,Vertical circulation,Total sulfur,Total organic carbon

 琵琶湖は亜熱帯湖に属する温暖1回循環湖である.夏季の琵琶湖北湖では表層と底層とで20°C程度の水温差が生じ強い成層状態が形成されるが,冬季にはこれが消滅し湖水が表層から底層まで鉛直混合する.例年1月から3月にかけて起こるこの冬季全循環によって酸素が琵琶湖の表層から底層まで広く供給されることから,全循環は琵琶湖の生態系維持に欠かせないシステムである.しかし1990年代後半以降,北湖深部底層水の溶存酸素濃度は貧酸素の目安となる2 mg/Lを頻繁に下回るようになり,2019年には観測史上初めて冬季全循環が観測されず,2020年も全循環が確認されなかった.このような北湖底層水の貧酸素状態は,魚類や甲殻類といった底生動物相のみならず堆積物中のバクテリア相にも大きな影響を与え,1990年代後半からは還元的環境下の北湖深部湖底に硫黄酸化細菌Thioploca属が広く分布するようになっている.
このように,過去30年間に北湖深部底層の酸化還元環境は大きく変化したにもかかわらず,その変遷史と堆積物の地球化学的特徴との関係については十分な研究がおこなわれていない.そこで本研究では,北湖最深部で採取された堆積物コアを試料として,湖沼の生物生産や酸化還元の有用な代替指標となる全有機炭素(TOC)・全窒素(TN)・全硫黄(TS)の含有量を調べた.コアの年代モデルは210Pb・137Cs法にもとづき構築した.
コア中のTOC・TN・TSは1950年以前それぞれ一様に低い値を示すことから,この時代の北湖は貧栄養で冬季全循環が活発に機能し底層水が酸化的な状態であったと示唆される.1950年代から1990年代にかけては,富栄養化の進行と冬季全循環の弱化による底層水の溶存酸素の減少を反映し,コア中のTOC・TN・TSの含有量が徐々に増加した.全循環の弱化により底層水が繰り返し貧酸素状態となった2000年以降は,TOCとTNの含有量が継続的に増加したにもかかわらず,TSの含有量に顕著な負のシフトが認められた.このTS濃度の急激な減少のタイミングは北湖湖底深部で硫黄酸化細菌Thioplocaの生物量と生息域が拡大した時期とほぼ一致することから,Thioplocaが硫化物の生成を抑制した結果として堆積物中のTSが減少したと推測した.この推測は,堆積物中のTS含有量の減少が底層付近の無/貧酸素状態から有酸素状態への変化を示すのか,それとも硫黄酸化細菌による硫黄堆積への影響(すなわち生物地球化学的な物質循環プロセスの変化)によるものなのかを解釈する際には注意を要することを示唆している.

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