Presentation Information
[T11-O-3]An example of change in groundwater flow direction in the Pleistocene unconfined aquifer in the central Shimousa upland (part2)
*Yoshiyuki TAMURA1, Yasuhiro ISHII1, Kazuya KIMURA2, Osamu KAZAOKA1 (1. Chiba Prefectural Environmental Foundation, 2. Medical Geology Research Institute Co., Ltd.)
Keywords:
groundwater flow,unconfined aquifer,observation well,groundwater level monitoring,well cluster
はじめに
千葉県では,1981年に千葉市内で六価クロムによる地下水汚染が,君津市内でテトラクロロエチレン及びトリクロロエチレンによる地下水汚染がそれぞれ判明し,それらの汚染機構を解明するための調査方法が模索された.その後,千葉県は1989年に「千葉県地下水汚染防止対策指導要綱」(以降,千葉県要綱という.)を制定し,現在の「千葉県地質汚染防止対策ガイドライン」(平成20年制定,平成31年改正,以降千葉県ガイドラインという.)として引き継がれている.千葉県要綱並びに千葉県ガイドラインでは,県内自治体と協力して,地下水質の監視,VOCs使用事業者の指導,汚染機構解明調査及び汚染除去対策等を推進している.平成元年以降,県内各地でVOCs等による地質汚染機構解明調査が実施され,地下水質の監視を目的とした観測井戸の設置が数多くなされている.
一方,国土交通省では,「水資源分野における気候変動への適応策のあり方検討会」で,流域総合水管理における水利用についての議論を進めるため,気候変動による水資源への影響評価手法についての検討を行っている(https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001995880.pdf(2026年7月7日閲覧)).また,同省の「地下水の適正な保全と利用に関する検討会」で,全国統一的な考え方による地下水採取の実態把握や地下水の適正な保全と利用に向けた実効性のある仕組みのあり方について検討も行われている(https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/mizsei/mizukokudo_mizsei_fr1_000065.html(2026年7月7日閲覧)).これらの取り組みに見られるように,気候変動により,短時間豪雨の発生回数の増加で地下水涵養量に影響を及ぼすことを予測している.
本発表では,下総台地中部の地下水汚染対策がなされている汚染サイトに設置した帯水層別観測井戸で,平成13年から令和8年2月まで記録された地下水位,分布及び流動方向の時系列的な変化について,気候変動や土地利用の変化との関連性について報告する.
観測井戸の設置及び観測状況
対象となる汚染サイト及びその周辺に設置した観測井戸の位置は図-1に示す.
対象の汚染サイトにおける透水層は,第2透水層から第7透水層まで区分されている.透水層別観測井の設置状況は以下の通りである.
第2透水層:No.3-0観測井. 第3透水層:No.1-3A,No.3-3B等8観測井.上部と下部に区分される. 第4透水層:No.1-4,No.2-4等9観測井及び2民家井の合計11観測井. 第5透水層:No.1-5,No.2-5等6観測井. 第6透水層:No.1-6A等3観測井. 第7透水層:No.1-7観測井.
地下水位は接触式水位計により計測され,測定頻度は2004年4月~2006年3月まで月1回,2006年4月~2011年3月まで隔月1回,2011年4月~2023年2月まで年6回,2023年3月以降は年4回である.なお,2023年7月より第3透水層下部の4観測井に自記水位計を設置し,10分間隔で地下水位を計測している(田村ほか,2025).
第3透水層の地下水位変動及び流動方向の時系列について
第3透水層の地下水位変動を月降水量(気象庁地域気象観測所「佐倉」の過去データを使用)とともに図-2に示す.
全体的には2019年まで地下水位が低下傾向を示していた.翌年の2020年にいずれの観測井も地下水位が1.4~1.9m上昇し,2021年以降は再び低下傾向を示している.
第3透水層下部の観測井における地下水位標高の順位を数値化し,10年単位の平均値化した.その結果,地下水位が低下傾向を示した2018年まで,No.1-3Bで,1.3から4.0まで標高順位が低下していた.また,2019年以降,No.1-3Bの順位は上昇を示す一方,No.3-3B,No.5-3Bでは順位が低下している.このことから,地下水の流動方向が変化していることを示唆している.その要因としては,降水量の増減,最大降水量の増加等が推定される.
各地の汚染サイトでは当初の地下水流動方向を考慮して揚水等の対策を行っている.しかし,十数年と長期間にわたり対策を実施しているサイトでは,土地利用の変化に伴う地下水涵養量の変化だけでなく,昨今の温暖化に伴う降水状況の変化にともない,地下水流動方向も変化する可能性を示唆している.したがって,地下水位のモニタリング頻度は重要な要素といえる.
引用文献
田村嘉之ほか, 2025, 下総台地中部における更新統の不圧帯水層の地下水流動方向の時系列変化, The proceedings of the 35th Symposium on Geo-Environments and Geo-Technics, 2025, 25-26.
千葉県では,1981年に千葉市内で六価クロムによる地下水汚染が,君津市内でテトラクロロエチレン及びトリクロロエチレンによる地下水汚染がそれぞれ判明し,それらの汚染機構を解明するための調査方法が模索された.その後,千葉県は1989年に「千葉県地下水汚染防止対策指導要綱」(以降,千葉県要綱という.)を制定し,現在の「千葉県地質汚染防止対策ガイドライン」(平成20年制定,平成31年改正,以降千葉県ガイドラインという.)として引き継がれている.千葉県要綱並びに千葉県ガイドラインでは,県内自治体と協力して,地下水質の監視,VOCs使用事業者の指導,汚染機構解明調査及び汚染除去対策等を推進している.平成元年以降,県内各地でVOCs等による地質汚染機構解明調査が実施され,地下水質の監視を目的とした観測井戸の設置が数多くなされている.
一方,国土交通省では,「水資源分野における気候変動への適応策のあり方検討会」で,流域総合水管理における水利用についての議論を進めるため,気候変動による水資源への影響評価手法についての検討を行っている(https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001995880.pdf(2026年7月7日閲覧)).また,同省の「地下水の適正な保全と利用に関する検討会」で,全国統一的な考え方による地下水採取の実態把握や地下水の適正な保全と利用に向けた実効性のある仕組みのあり方について検討も行われている(https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/mizsei/mizukokudo_mizsei_fr1_000065.html(2026年7月7日閲覧)).これらの取り組みに見られるように,気候変動により,短時間豪雨の発生回数の増加で地下水涵養量に影響を及ぼすことを予測している.
本発表では,下総台地中部の地下水汚染対策がなされている汚染サイトに設置した帯水層別観測井戸で,平成13年から令和8年2月まで記録された地下水位,分布及び流動方向の時系列的な変化について,気候変動や土地利用の変化との関連性について報告する.
観測井戸の設置及び観測状況
対象となる汚染サイト及びその周辺に設置した観測井戸の位置は図-1に示す.
対象の汚染サイトにおける透水層は,第2透水層から第7透水層まで区分されている.透水層別観測井の設置状況は以下の通りである.
第2透水層:No.3-0観測井. 第3透水層:No.1-3A,No.3-3B等8観測井.上部と下部に区分される. 第4透水層:No.1-4,No.2-4等9観測井及び2民家井の合計11観測井. 第5透水層:No.1-5,No.2-5等6観測井. 第6透水層:No.1-6A等3観測井. 第7透水層:No.1-7観測井.
地下水位は接触式水位計により計測され,測定頻度は2004年4月~2006年3月まで月1回,2006年4月~2011年3月まで隔月1回,2011年4月~2023年2月まで年6回,2023年3月以降は年4回である.なお,2023年7月より第3透水層下部の4観測井に自記水位計を設置し,10分間隔で地下水位を計測している(田村ほか,2025).
第3透水層の地下水位変動及び流動方向の時系列について
第3透水層の地下水位変動を月降水量(気象庁地域気象観測所「佐倉」の過去データを使用)とともに図-2に示す.
全体的には2019年まで地下水位が低下傾向を示していた.翌年の2020年にいずれの観測井も地下水位が1.4~1.9m上昇し,2021年以降は再び低下傾向を示している.
第3透水層下部の観測井における地下水位標高の順位を数値化し,10年単位の平均値化した.その結果,地下水位が低下傾向を示した2018年まで,No.1-3Bで,1.3から4.0まで標高順位が低下していた.また,2019年以降,No.1-3Bの順位は上昇を示す一方,No.3-3B,No.5-3Bでは順位が低下している.このことから,地下水の流動方向が変化していることを示唆している.その要因としては,降水量の増減,最大降水量の増加等が推定される.
各地の汚染サイトでは当初の地下水流動方向を考慮して揚水等の対策を行っている.しかし,十数年と長期間にわたり対策を実施しているサイトでは,土地利用の変化に伴う地下水涵養量の変化だけでなく,昨今の温暖化に伴う降水状況の変化にともない,地下水流動方向も変化する可能性を示唆している.したがって,地下水位のモニタリング頻度は重要な要素といえる.
引用文献
田村嘉之ほか, 2025, 下総台地中部における更新統の不圧帯水層の地下水流動方向の時系列変化, The proceedings of the 35th Symposium on Geo-Environments and Geo-Technics, 2025, 25-26.
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