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[T16-P-16]Stratigraphic study of the Oigawa Group in Shimada and Fujieda area, Shizuoka Pref., Japan

*Hina Saito1, Tetsu Funaki1, Tatsuki Hojo2, Takumi Mimura1, Shun Chiyonobu1 (1. Graduate school of international resource sciences faculty of international resource sciences, 2. ENEOS Xplore Inc.)
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【ハイライト講演】静岡県の大井川層群では,地層区分や年代について見解が分かれている.本発表では,52ルートに及ぶ地質調査と微化石分析から,従来一括されてきた地層を付加体と前弧海盆埋積堆積物に分け,後者を新たに蓬莱層群と定義する.丹念な野外調査が地域の地史の理解を更新することを示す発表である   ※ハイライト講演とは...

Keywords:

Oigawa Group,Fore-arc basin,Accretionary complex,Sagara Oil Field,Calcareous nannofossils

【はじめに】
日本列島の太平洋側には,海洋プレートの沈み込みに伴って形成された付加体が広く分布しており,これらを基盤とする前弧海盆が発達している.静岡県中部地域には,基盤岩として付加体である三倉層群,瀬戸川層群,大井川層群が分布し,その上位に前弧海盆埋積堆積物として倉真層群,西郷層群,相良層群,掛川層群が堆積している.
大井川層群は四万十付加体の最上部を構成する地層として,相良油田地域における地質調査を契機として研究が進められてきた.本研究地域においては,槇山(1939)が下部の砂岩・石灰岩・泥岩からなり無層理塊状を呈するものを女神層,層理の発達した砂岩泥岩互層を蓬萊層と命名したことに始まった.しかし,その層序区分や地質構造・堆積年代は研究者によって解釈が異なり,大井川層群を前弧海盆堆積物(伊田; 1952,斎藤; 1960,徳岡; 1964など)と付加体(杉山; 1980,杉山ほか; 1989 など)とする二つの説が提唱されている.
大井川層群の堆積年代についても見解は一致していない.有孔虫化石に基づき前期中新世とする報告(槇山; 1939,伊田; 1952,徳岡; 1964)がある一方,蓬萊層から産出した浮遊性有孔虫化石に基づき漸新世とする報告もある(斎藤; 1960,加藤ほか; 1992).さらに,加藤(1998)では石灰質ナンノ化石に基づいて蓬萊層を前期中新世としており,本層群の堆積年代は未だ議論の余地がある.
このように,大井川層群は,岩相層序に統一した見解がなく,堆積年代も不明瞭である.そのため,本研究では,静岡県島田市及び藤枝市に分布する大井川層群の岩相層序及び堆積年代,地質構造を再検討することを目的とする.
【研究地域・手法】
静岡県島田・藤枝市にまたがる東西5 km,南北7 kmの範囲に分布する52ルートにて地表調査を実施し、280試料を採取した.150試料について石灰質ナンノ化石分析を行い,堆積年代を検討した.
【結果・考察】
地表調査の結果,従来大井川層群として一括されてきた地層を付加体と前弧海盆埋積堆積物に区分し,付加体を大井川層群と新たに蓬萊層群と定義した.層序は,下位より瀬戸川層群天徳寺層,大井川層群志太層,蓬萊層群花倉層・蓬萊層から構成される.瀬戸川層群天徳寺層は主として硬質な砂岩シルト岩互層及び泥岩からなり,調査地域西部に分布する.その上位の大井川層群志太層は硬質な砂岩シルト岩互層から構成され,一部に瀬戸川層群由来と考えられる砂岩ブロックを含む.これは杉山(1980)が指摘したオリストリスに対応する可能性がある.さらに,これらを不整合に覆う蓬萊層群花倉層が分布する.花倉層は主として礫岩からなり,瀬戸川層群との境界付近で礫径が増大する傾向が認められ,一部では層厚50 m以上の礫岩層が確認された.花倉層の上位には蓬萊層が整合に累重し,主として砂岩及び砂岩シルト岩互層から構成される.
また,花倉層・蓬萊層の計6試料から石灰質ナンノ化石が産出した.蓬萊層からはCyclicargolithus floridanusが確認された一方,Sphenolithus heteromorphusは認められなかったことから,蓬萊層群はMartini(1971)のNN6帯に対比され,中期中新世に堆積したと考えられる.
以上の結果から,従来付加体として一括されてきた大井川層群には,付加体である志太層のほか,中期中新世の前弧海盆埋積堆積物である花倉層及び蓬萊層が含まれることが明らかとなった.加藤(1998)は蓬萊層を大井川層群に含め,前期中新世の地層として扱ったが,本研究ではこれらを付加体とは区別し,前弧海盆埋積堆積物として新たに蓬萊層群と定義した.蓬萊層群はNN6帯に対比され,NN5帯に対比される掛川地域の西郷層群より新しい.このことから,島田-藤枝地域では掛川地域とは異なる前弧海盆発達史が形成された可能性が示唆される.

<参考文献>
伊田一善, 1952, 地質調査所月報, 3(4,5), pp.1-6.
加藤進・井上洋子・鵜飼光男, 1992, 瑞浪市化石博研報, 19, pp.379-391.
加藤進, 1998, 瑞浪市化石博研報, 25, pp.89-95.
斎藤常正, 1960, 東北大学理学部地質学古生物学教室研究邦文報告, 51, pp.1-45.
槇山次郎, 1939, 地質学雑誌, 46(548), pp.243-246.
Martini, E., 1971, In: Farinacci, A., ed., Proc. II Planktonic Conf., Rome, 1970, 2, Tecnoscienza, Rome, pp.738-785.
杉山雄一, 1980, 地質学雑誌, 86(10), pp.673-685.
杉山雄一・下川浩一, 1989, 構造地質, 34, pp.173-188.
千谷好之助, 1930, 地質調査所, vol. 137, pp.793-798.
徳岡隆夫, 1964, 地質学雑誌, 70(820), pp.1-11.
三村匠海・北條龍生・千代延俊, 2022, 日本地質学会第130年学術大会講演要旨

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