Presentation Information
[T16-O-8]Age estimation using molluscan fossils from the Otokawa Formation in the Toyama Prefecture, central Japan.
*Hideaki NAGAMORI1 (1. AIST)
Keywords:
Otokawa Formation,molluscan fossile,Miocene,Age estimation
富山県の新生界は八尾地域を模式地として,下位より楡原層,岩稲層,黒瀬谷層,東別所層,天狗山層,音川層,三田層,呉羽山層に区分される(中嶋,2019).八尾地域における新生界の年代論は豊富な年代報告により,大枠が解明されている.その中で,音川層については微化石がほとんど産出せず年代に関する情報が少ない(長森・渡辺,2023).さらに模式地以外に分布する音川層からの年代に関する情報はほぼない.音川層から多産する体動物化石は,音川動物群と呼ばれ,新期塩原動物群(11〜5 Ma)に対比される(小笠原ほか,1989).軟体動物化石が示す年代は,動物群単位で明らかにされている(Ogasawara, 1994など)が,示準する幅は広い.また,生息期間が明らかにされた示準化石として利用できる種は少ない.そこで,本報告では,軟体動物化石の棲息年代について検討し,八尾地域の東方に位置する上市町黒川地域に分布する音川層の年代について考察する.
黒川地域の中新統および鮮新統は,下位より坪野層,釈泉寺層,音川層,室田層に区分される.黒川地域の音川層から,Mizuhopecten matumoriensis,Pseudamiantis pinguis,Mercenaria chitaniana,Mya cuneiformisなどの軟体動物化石が得られた.黒川地域における音川層では,凝灰岩や微化石などの年代に関する報告がない.産出した化石のうち,M. matumoriensisおよびP. pinguisの生息期間を検討する.
Mizuhopecten matumoriensisは,大川原層,七北田層,金ヶ瀬層,青麻層,宇津峠層,本郷層大谷火砕岩部層,松坂峠層,双葉富岡層,塩坪層,音川層から産出する.M. matumoriensisが産出する地層の年代は,青麻層最上部・七北田層最下部が9 Ma前後,本郷層が9.2〜6.4 Ma,宇津峠層が8.5〜6 Ma,塩坪層が10〜9 Maである.M. matumoriensisの棲息期間は,幅を広くとると10〜6 Maの期間と推定される.
Pseudamiantis pinguisは,山津田層,久保田層,塩坪層,音川層,戸土層,青木層から産出する. P. pinguisが産出する地層の年代は,久保田層最下部が10.7 Maより若干古い年代,塩坪層が10〜9 Maである.詳細な年代論が確定されていないP. pinguisが産出する地層が多数あるため,不確実性が残されているものの,現状におけるデータに基づけばP. pinguisの棲息期間は,幅を大きくとると11〜9 Maの期間と推定される.
M. matumoriensisとP. pinguisが共産する層準は,推定棲息期間が重なる10〜9 Ma前後と考えられる.八尾地域における両種の産出層準は,音川層に挟まれるOT2凝灰岩より上位に位置し,中嶋ほか(2019)の音川層上部に含まれる.八尾地域の音川層上部の下限は中嶋ほか(2019)によって約8.4 Maと推測されたが,軟体動物化石から推測される年代が10〜9 Maであるため,音川層上部の下限年代は10 Maまで遡る可能性がある.年代分解能の低い軟体動物化石は,種別の棲息年代を整理し,複数の共産種の棲息年代を組み合わせることによって従来よりも高い精度の年代論を展開できる可能性がある.特に微化石や放射年代が得られない地層の年代推定に貢献できる.
小笠原ほか(1989)松尾秀邦教授退官記念論文集,65–74.Ogasawara (1994) Palaeogeogr., Palaeoclimatol., Palaeoecol., 108, 335–351.長森・渡辺,2023)地調研報,74,119–131.中嶋ほか(2019)地雑,125,483–516.
黒川地域の中新統および鮮新統は,下位より坪野層,釈泉寺層,音川層,室田層に区分される.黒川地域の音川層から,Mizuhopecten matumoriensis,Pseudamiantis pinguis,Mercenaria chitaniana,Mya cuneiformisなどの軟体動物化石が得られた.黒川地域における音川層では,凝灰岩や微化石などの年代に関する報告がない.産出した化石のうち,M. matumoriensisおよびP. pinguisの生息期間を検討する.
Mizuhopecten matumoriensisは,大川原層,七北田層,金ヶ瀬層,青麻層,宇津峠層,本郷層大谷火砕岩部層,松坂峠層,双葉富岡層,塩坪層,音川層から産出する.M. matumoriensisが産出する地層の年代は,青麻層最上部・七北田層最下部が9 Ma前後,本郷層が9.2〜6.4 Ma,宇津峠層が8.5〜6 Ma,塩坪層が10〜9 Maである.M. matumoriensisの棲息期間は,幅を広くとると10〜6 Maの期間と推定される.
Pseudamiantis pinguisは,山津田層,久保田層,塩坪層,音川層,戸土層,青木層から産出する. P. pinguisが産出する地層の年代は,久保田層最下部が10.7 Maより若干古い年代,塩坪層が10〜9 Maである.詳細な年代論が確定されていないP. pinguisが産出する地層が多数あるため,不確実性が残されているものの,現状におけるデータに基づけばP. pinguisの棲息期間は,幅を大きくとると11〜9 Maの期間と推定される.
M. matumoriensisとP. pinguisが共産する層準は,推定棲息期間が重なる10〜9 Ma前後と考えられる.八尾地域における両種の産出層準は,音川層に挟まれるOT2凝灰岩より上位に位置し,中嶋ほか(2019)の音川層上部に含まれる.八尾地域の音川層上部の下限は中嶋ほか(2019)によって約8.4 Maと推測されたが,軟体動物化石から推測される年代が10〜9 Maであるため,音川層上部の下限年代は10 Maまで遡る可能性がある.年代分解能の低い軟体動物化石は,種別の棲息年代を整理し,複数の共産種の棲息年代を組み合わせることによって従来よりも高い精度の年代論を展開できる可能性がある.特に微化石や放射年代が得られない地層の年代推定に貢献できる.
小笠原ほか(1989)松尾秀邦教授退官記念論文集,65–74.Ogasawara (1994) Palaeogeogr., Palaeoclimatol., Palaeoecol., 108, 335–351.長森・渡辺,2023)地調研報,74,119–131.中嶋ほか(2019)地雑,125,483–516.
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