Presentation Information
[T16-O-11](Invited) Lithostratigraphy of the Lower Miocene Iwaine Formation in the Yatsuo area, Toyama Prefecture, Japan: Eruptive style of large-scale volcanism during the opening of the Sea of Japan
*Raiki YAMADA1 (1. National Institute of Advanced Industrial Science and Technology)
【ハイライト講演】開催地・金沢に近い富山県八尾地域には,約1700万年前の日本海拡大期の大規模な火山活動が記録されている.本招待講演では,溶岩や火山灰,河川堆積物などの詳細な岩相・堆積相解析に,年代や化学組成の研究成果を組み合わせ,短期間に大量の安山岩質溶岩が広がる「洪水安山岩」様の火山活動により溶岩台地が形成された可能性を示す.地域地質から日本列島規模の変動を読み解く注目の発表である. ※ハイライト講演とは...
Keywords:
Andesite,Flood andesite,Toyama basin,Iwaine Formation,Facies analysis
日本海拡大は,20–15 Ma頃にアジア大陸縁辺で急速に起きた背弧拡大である.日本海拡大に伴って,日本列島全体で活発な火成活動が起きた.東北日本弧における活発な火成活動は,熱いアセノスフェリックマントルが,日本列島直下のマントルウェッジに入り込むことによって引き起こされたと考えられている1.西南日本弧東端に当たる富山堆積盆で起きた火成活動でも,同様のモデルが提唱された2.ただし,東北日本弧では玄武岩質火山岩類が卓越する一方で,富山堆積盆からは玄武岩の報告はなく,高マグネシア安山岩やアダカイトを含む化学的に多様な安山岩類が報告されている2, 3, 4, 5.この安山岩類は,現在残っている分布から推定される体積だけでも1000 km3を超えており6,17.5–17.2 Maという地質学的に短時間で形成されたこと7を踏まえると,日本列島に存在する第四紀火山と比較してもかなり大規模な火山活動だったということができる.本研究では,この安山岩類(岩稲層)の岩相(堆積相)解析を行ったので,その結果を報告した上で,現在までに報告されている年代や化学組成と併せるとどのような火山活動だったと言えるのか議論する.
岩相解析を行ったのは,富山県八尾地域の岩稲層の模式地付近である.その結果,以下の8つの岩相組み合わせを認定した.(1)陸上溶岩は,この地域の岩稲層で最も占める割合が大きい岩相である.塊状溶岩,ブロック溶岩およびアア溶岩に分類できる.(2)供給岩脈は1条しか発見できなかったが,側方で陸上溶岩に変化する様子が観察できる.(3)火砕密度流堆積物は岩稲層中部で厚く(>10 m)発達する鍵層である.火砕密度流堆積物の典型的な層序8を残しており,強く溶結している部分もある.(4)火砕降下堆積物は,非常に淘汰の良いラピリストーンからなる.(5)土石流堆積物は,多源的な安山岩礫からなり逆級化を示すことが多い.(6)ハイパーコンセントレイテッド流堆積物は,土石流堆積物よりも礫の割合は少なく成層構造を示すことが多いが,土石流堆積物との区別は必ずしも容易ではない.(7)河川成堆積物は,チャネル構造を示すことが多く,レンズ状の砂岩や泥岩を伴う.(8)内湾堆積物は貝化石や植物片化石が産出し,礫を含んだ泥岩や砂岩からなる.波浪の影響を受けたと思われる堆積構造は見られなかった.
以上の岩相組み合わせのうち最も卓越する岩相は,陸上溶岩である.非噴火性の土石流堆積物や河川成堆積物などは,この陸上溶岩に挟在される形で分布する.また,内湾堆積物は岩稲層最上部の一部にしか見られない.このように,八尾地域の岩稲層は厚い陸上溶岩と河川成堆積物の繰り返しからなる.さらに,火山体を形成していたと思われるような地質構造の変化には乏しく,一様に同様の岩相が連続する.したがってこの地域の岩稲層は,溶岩台地のような環境で形成されたのではないかと考えられる.
安山岩の溶岩台地が広がる様子は,先行研究9が提唱した“洪水安山岩”という用語の適用がふさわしいと筆者は考える.この富山堆積盆で起きた洪水安山岩様の火山活動は,放射年代7や古地磁気層序10に基づくと17 Ma前後のごく短期間に起きた可能性が高い.この短期間かつ大規模な安山岩質火山活動は,化学組成の観点からは,アセノスフェリックマントルのマントルウェッジへの進入によって引き起こされたと考えられている2.つまり,背弧拡大にともなってアセノスフェリックマントルがマントルウェッジへ進入することで,規模は小さいものの“洪水玄武岩”のような安山岩質火山活動が発生しうることを,今回の例は示していると言える.
引用文献
1Shuto et al. (2015) Jour. Petrol., 56, 2257–2294.
2Yamada et al. (2023) Jour. Mineral. Petrol. Sci., 118, 026.
3石渡・大浜(1997)地質雑,103,565–578.
4髙橋・周藤(1999)地質雑,105,789–809.
5Sato et al. (2013) Jour. Petrol., 54, 481–524.
6山田(2025)岩石鉱物科学,54,gkk.250108.
7中嶋ほか(2019)地質雑,125,483–516.
8Sparks et al. (1973) Geology, 1, 115–118.
9永尾ほか(1995)地質学論集,44,155–164.
10Tamaki et al. (2006) Bull. Geol. Surv. Japan, 57, 73–88.
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