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[T18-O-4]Palaeoceanographic reconstruction of sediment core from the Japan Sea during the late Miocene Tortonian Thermal Maximum★2026年度学生優秀発表賞受賞★

*Kotaro HOSHI1, Yuya NAKATSU2, Tomohisa IRINO2, Ken SAWADA1, Arisa SEKI3, Ryuji TADA4 (1. Graduate School of Science, Hokkaido University, 2. Graduate School of Environmental Science, Hokkaido University, 3. Fukada Geological Institute, 4. Chiba Institute of Technology)
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Keywords:

Algal biomarkers,IODP,ReCoRD,Japan Sea,Miocene,Marine primary productivity


 中新世は中期中新世最温暖期(MMCO)に代表される前期から中期中新世の温暖湿潤な環境から後期のLate Miocene Coolingに代表される寒冷乾燥化の転換点である。日本海においては12Ma前後から10.8Maにかけて初期の対馬暖流の流入が開始したことが近年の研究で示唆されている(Cheng et al., 2025)。また現在の日本海は、最大3000mを超える水深に対して、隣接する海域とは4つの最大130m程度の浅い海路で接続しているのみであるが、前期から後期中新世初期にかけての温暖な時期では、現在の日本海における海路以外に中部日本や東北〜サハリンにかけて存在していた列島間からも外海と接続しており、現在の閉鎖的な日本海とは異なった古海洋環境が広がっていたと推定される(Matsuzaki et al., 2018)。一方で、中新世の日本海は海洋環境や境界条件が大きく変動した時期であるが、それ以降の時代と比較すると、高時間解像度の古海洋変動の研究例は少ない。また、MMCOとLate Miocene Coolingの間の段階的な寒冷化の進行中(10.8 Ma)にトートニアン最温暖期(Tortonian thermal maximum; TTM)と呼ばれる短期間の急激な温暖化が南シナ海、インド洋において報告されている(Holbourn et al., 2021)が、この温暖化イベントの原因や日本海を含む北太平洋域への影響はほとんど分かっていない。本研究では特に10.8Ma前後に着目し、バイオマーカー分析から後期中新世初頭における日本海の高時間解像度な古海洋および基礎生産変動復元を行った結果を報告する。

本研究ではIODP Expedition 346 Site U1430で掘削され、2024年に実施されたリポジトリコア再解析プログラム(ReCoRD; ReC23-03)でサンプリングされた深海掘削堆積物コアを用いた。Site U1430は日本海の対馬海盆北の海台で掘削された中期中新世から完新世までの堆積物が採取されている。本研究では7個の岩層層序サブユニットのうち、珪藻軟泥とシルト質粘土の互層から構成されるサブユニット3Aに着目し、高解像度のサンプリングを行った。サブユニット3Aの特徴として非常に細かいラミナが確認されている他、11~9.7Maの範囲で約4万年周期で堆積環境が酸化的と還元的で周期的に変動していることや明暗互層が見られることがReCoRDのサンプリングパーティにおいて報告されている。凍結乾燥処理した堆積物試料をGC-MSおよびGC-FIDを用いてバイオマーカー分析を行った他、全岩のδ13Cおよび全有機炭素量(TOC)の分析を行った。

U1430コアにおいて、ハプト藻起源のアルケノン、珪藻・真正眼点藻などに由来する長鎖アルキルジオール、珪藻起源のC25 高分枝鎖(HBI)アルカン・チオフェン、渦鞭毛藻起源のジノステロールをはじめとする様々な藻類起源のステロイドが検出された。海洋表層環境の変動については、アルケノン古水温計から得られた表層水温は22~28℃と温暖な環境が示唆された。また、10.8Ma付近でスパイク的な温暖化が見られた他、先行研究で報告されているδ13Cと同様の変動が確認されたことから日本海においてもTTM期による温暖化が起きていたことが本研究から初めて示唆された。検出された藻類バイオマーカーの濃度および沈積流量(MAR)から藻類ごとの海洋表層における基礎生産変動を復元した。TOCはすべて2%以上と高く、先述したジノステロールおよび円石藻由来のブラジカステロールおよび複数の珪藻ステロールが多量に検出された。このことから温暖な表層において渦鞭毛藻・円石藻・珪藻による活発な基礎生産がおきていたことが示唆される。海洋基礎生産はTTM期においては、円石藻を除いて減少傾向を示した。これは海洋表層が温暖化により成層化したことで栄養塩供給が妨げられ、そのような環境に比較的耐性のある円石藻以外の勢力が弱まったと解釈される。

引用文献
Cheng, Y. et al. (2025) EPSL, 661, 119385.
Matsuzaki, K. M.et al. (2018) PEPS, 5(1), 54.
Holbourn, A. et al. (2021) Paleoceanogr. Paleoclimatol., 36(7), e2021PA004267.

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