Presentation Information
[T10-P-6]Structural analyses for strain and dynamic recrystallization in the northern shear zone of the Horoman peridotite complex
*Tomoyuki MIZUKAMI1, Akimitsu TAKATA1, Tomoaki MORISHITA1, Miki TASAKA2, Asuka YAMAGUCHI3 (1. Kanazawa University, 2. Shizuoka University, 3. AORI, The University of Tokyo)
Keywords:
shear zone,strain,dynamic recrystallization,crust-mantle boundary
テクトニック境界の性質を決める岩石の力学的性質は温度や歪み速度、H2O活動度といった環境要因に加えて、歪みに応じて発達する内部構造の影響を受ける。特に比較的低温の粒径依存型クリープが優勢となる条件では動的再結晶が重要な支配過程であると考えられる(例えば, Warren and Hirth, 2006EPSL)。沈み込み帯や大陸衝突帯の深部や海洋コアコンプレックスでは地殻とマントルの物質境界が重要なテクトニック境界となっている。その挙動や歪み解消過程は、H2Oを含めた化学的相互作用と上記のレオロジカルな過程とを結びつけて理解する必要がある。
本研究では、地殻とマントルが接するテクトニック境界の実態がよく保存されている幌満かんらん岩体の北部剪断帯をフィールドとして、歪みに応じた岩石組織とレオロジーの変化を描き出すために構造解析を行なった。歪みの指標としてOpxの伸長を利用し、剪断帯内部の歪み分布を明らかにするとともに、粒径と結晶選択配向(CPO)の変化を歪みの関数として提示することで、動的再結晶プロセスの理解を目指した。
北部剪断帯は、Sawaguchi (2004Tectonophys)によってInternal Shear Zoneの北側の露出部分に位置付けられている、幅およそ1 kmの領域である。北限は日高変成岩類(IV帯, 小山内ほか(2006))との境界、南限は上位のEquigranular Zoneとの境界である。一貫した南傾斜の面構造と南北傾向の鉱物線構造が発達し、変形のジオメトリが保持されている。Sawaguchi(2004)やMatsuyama and Michibayashi (2024Tectonphys)が示したように、Olのa軸集中の傾きから推定される剪断センスはtop-to-the Sである。主要岩相である斜長石レールゾライト、スピネルレールゾライト、ハルツバージャイトを研究対象とした。斜長石レールゾライト中の伸長した細粒集合体にはPl, Spl, Ol, Opx, Cpxに加えてHblが共存し、含水条件での変形であることが分かる。Hbl-Pl温度計(Holland and Blundy, 1994CMP)、5相共存による圧力計(Thermocalc計算: Holland and Powell (1998JMetamrphGeol))を適用した結果、900-920 ℃、0.70-0.75 GPaの条件が見積もられた。
Opxの(100)面をすべり面とした2次元伸長モデル(Ishii and Sawaguchi, 2002JStructGeol)に基づいて、長軸短軸比Rの最大値を岩石の相対的な歪みの指標として測定した。その結果、北部剪断帯内部の歪みは地殻ユニットとの境界付近に極大をとり内側へ連続的に下がる傾向と南限付近の大歪み領域が認識できた。この歪み分布は、北部剪断帯が複合剪断帯であったことを示す。それぞれOuter domainとInner domainと呼んで別に扱う。
EBSD面分析から各試料のOlのCPOと粒径分布、粒内方位分布を得た。これらの組織パラメータを歪みの指標Rに対してプロットすると、それぞれ複雑な関係を示す。これは、剪断帯におけるかんらん岩の動的再結晶メカニズムが時空間的に多様に変化したことを反映している。Inner domainではRの小さい初期の変形でCPOが強化し、Rの増大に伴ってランダム化する。一方、Outer domainでは変形初期にCPOがランダム化し、その後、CPOの強化する岩石とランダム分布を保持する岩石に分かれる。CPOの強化およびパターン変化は[100](0kl)転位すべりに伴う亜粒回転と調和的である。一方、CPOのランダム化はOl+Pxの混合や細粒粒子の増加を伴っており、核形成と調和的である。北部剪断帯の内側と外側で異なる動的再結晶メカニズムが優勢となった事実は興味深い。さらに、歪みの増大に伴って定常組織に向かっていく過程で、転位すべりが優勢となったのは、粒成長によるメカニズム遷移を示している。
Ol中の転位密度を用いた差応力推定は実験による粒径-差応力の直線関係(van der Wal et al., 1993GRL)には乗らず高い値を示したため、剪断帯形成後に転位の付加があったと考えられる。そこで、実験と同様の単鉱物域のOl粒径を定常粒径とみなして差応力を見積もると、14-27MPaとなった。結果をH2O飽和条件のOlの変形メカニズムマップに投影すると、細粒粒子は拡散クリープ領域に、中粒定常粒径は転位クリープの領域に入る。核形成メカニズムによる動的再結晶によって岩石が弱化し、粒成長と亜粒回転によるネオブラスト形成が競合する定常状態へ推移したと解釈できる。
本研究では、地殻とマントルが接するテクトニック境界の実態がよく保存されている幌満かんらん岩体の北部剪断帯をフィールドとして、歪みに応じた岩石組織とレオロジーの変化を描き出すために構造解析を行なった。歪みの指標としてOpxの伸長を利用し、剪断帯内部の歪み分布を明らかにするとともに、粒径と結晶選択配向(CPO)の変化を歪みの関数として提示することで、動的再結晶プロセスの理解を目指した。
北部剪断帯は、Sawaguchi (2004Tectonophys)によってInternal Shear Zoneの北側の露出部分に位置付けられている、幅およそ1 kmの領域である。北限は日高変成岩類(IV帯, 小山内ほか(2006))との境界、南限は上位のEquigranular Zoneとの境界である。一貫した南傾斜の面構造と南北傾向の鉱物線構造が発達し、変形のジオメトリが保持されている。Sawaguchi(2004)やMatsuyama and Michibayashi (2024Tectonphys)が示したように、Olのa軸集中の傾きから推定される剪断センスはtop-to-the Sである。主要岩相である斜長石レールゾライト、スピネルレールゾライト、ハルツバージャイトを研究対象とした。斜長石レールゾライト中の伸長した細粒集合体にはPl, Spl, Ol, Opx, Cpxに加えてHblが共存し、含水条件での変形であることが分かる。Hbl-Pl温度計(Holland and Blundy, 1994CMP)、5相共存による圧力計(Thermocalc計算: Holland and Powell (1998JMetamrphGeol))を適用した結果、900-920 ℃、0.70-0.75 GPaの条件が見積もられた。
Opxの(100)面をすべり面とした2次元伸長モデル(Ishii and Sawaguchi, 2002JStructGeol)に基づいて、長軸短軸比Rの最大値を岩石の相対的な歪みの指標として測定した。その結果、北部剪断帯内部の歪みは地殻ユニットとの境界付近に極大をとり内側へ連続的に下がる傾向と南限付近の大歪み領域が認識できた。この歪み分布は、北部剪断帯が複合剪断帯であったことを示す。それぞれOuter domainとInner domainと呼んで別に扱う。
EBSD面分析から各試料のOlのCPOと粒径分布、粒内方位分布を得た。これらの組織パラメータを歪みの指標Rに対してプロットすると、それぞれ複雑な関係を示す。これは、剪断帯におけるかんらん岩の動的再結晶メカニズムが時空間的に多様に変化したことを反映している。Inner domainではRの小さい初期の変形でCPOが強化し、Rの増大に伴ってランダム化する。一方、Outer domainでは変形初期にCPOがランダム化し、その後、CPOの強化する岩石とランダム分布を保持する岩石に分かれる。CPOの強化およびパターン変化は[100](0kl)転位すべりに伴う亜粒回転と調和的である。一方、CPOのランダム化はOl+Pxの混合や細粒粒子の増加を伴っており、核形成と調和的である。北部剪断帯の内側と外側で異なる動的再結晶メカニズムが優勢となった事実は興味深い。さらに、歪みの増大に伴って定常組織に向かっていく過程で、転位すべりが優勢となったのは、粒成長によるメカニズム遷移を示している。
Ol中の転位密度を用いた差応力推定は実験による粒径-差応力の直線関係(van der Wal et al., 1993GRL)には乗らず高い値を示したため、剪断帯形成後に転位の付加があったと考えられる。そこで、実験と同様の単鉱物域のOl粒径を定常粒径とみなして差応力を見積もると、14-27MPaとなった。結果をH2O飽和条件のOlの変形メカニズムマップに投影すると、細粒粒子は拡散クリープ領域に、中粒定常粒径は転位クリープの領域に入る。核形成メカニズムによる動的再結晶によって岩石が弱化し、粒成長と亜粒回転によるネオブラスト形成が競合する定常状態へ推移したと解釈できる。
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