Presentation Information
[T1-P-8]Observation of deformation microstructures of fault gauge from the outcrop of the Hanaore fault, Japan
*Motoya Miyachi1, Tetsuro Hirono1 (1. Osaka Metropolitan University)
Keywords:
active fault,fault clay
断層の破砕帯や断層ガウジ帯は,繰り返される地震活動による岩石の破壊,摩耗,変質を受けて形成される.そのため,過去の活動により形成された断層帯の微細構造や構成鉱物の変化を解明することは,断層帯の形成史の理解および今後の地震時のすべり挙動や規模の推定において重要である.福井県から京都府にかけて延びる三方・花折断層帯の一部である花折断層は,滋賀県高島市途中谷地点にて破砕帯の厚さが20m,断層ガウジ・角礫岩帯が3-5mを呈する露頭が確認されており,先行研究にて断層境界部付近の断層ガウジ試料の鉱物組成・変形構造の観察や試料を用いた室内摩擦実験が行われているが幅の広い破砕帯全体の理解は十分とは言えない.そこで本研究では,当露頭の断層ガウジ帯におけるすべり挙動やガウジの形成史を解明するべく,断層面に対して垂直に適切な間隔を持ったサンプルを採取し,薄片の作成・偏光顕微鏡による変形構造や構成鉱物の観察と粉末X線回折法とRockJock解析法を利用した鉱物組成の同定を行った.本露頭は,断層を挟んで丹波帯のチャート層と泥岩砂岩混在岩相が接触しており,採取した断層ガウジ試料の構成鉱物としては,石英,斜長石,白雲母・イライト,緑泥石,スメクタイトなどが同定され,母岩は泥岩砂岩の混在岩相であると考えられる.偏光顕微鏡による薄片の観察では,断層面からの距離が0-1mである試料において粒子同士の弱い接触や悪い配向性が確認され,流動化を伴う変形が生じていると考えられる.しかし,今回採取した試料の内,最も断層境界から離れた1.6m地点の試料にて,最もよく粒子が細粒化し,粒子の伸長方向が一致し多くのshear foliation が発達している様子が確認された.一般に断層境界に近いほど剪断変形を受けやすいと考えられるが,この結果とは矛盾している.これは,断層のすべり面が過去の活動で移動したことによる結果と考えられ,今回の試料の中では,境界から1.6mの試料が最も多く過去の活動を経験していると結論付けられる.さらに,いくつかの試料で粒子内を貫く鉱物脈や丸みを帯びた粗粒粒子も観察された.脈状の鉱物の充填からは,少なくとも流体の関与が考えられる.そして,脈は鉱物粒子内のみに観察されて,基質では観察されない今回の結果からは,粒子内に亀裂が形成され,ガウジの形成よりも前に鉱物を沈殿させる流体が通った可能性が考えられる.また,丸みを帯びる粒子の存在は熱水による変質を示唆する可能性もある.今後は,同露頭にて適切な間隔で,断層面に対して垂直・平行な複数列の更なる試料採取を行い,薄片の観察や地球化学的手法を併用して,地震時のすべり挙動および地震活動によるガウジや鉱物脈・流体の関与などについて本断層露頭の形成史の解明を進めていく予定である.
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