Presentation Information
[T1-P-10]Paleoseismic Investigation of the Nishigata Fault, Yamaguchi Prefecture, Japan: Onshore Segment of the Hoyo-shoto Fault Zone
*Yukari MIYASHITA1, Hoshikazu HAYASHI2, Takahiro KITAMURA2, Masao KAMETAKA2, Takashi Ogami1, Yusuke YOKOYAMA3, Yosuke MIYAIRI3, Takahiro AZE3 (1. Geological Survey of Japan, AIST, 2. Dia Nippon Engineering Consultants Co., Ltd., 3. Atmosphere and Ocean Research Institute, The University of Tokyo)
Keywords:
Hoyo-shoto fault zone,Nishigata fault,trenching survey,active fault,Yashiro-jima,Yamaguchi Prefecture
瀬戸内海西部の伊予灘北部海域には,国東半島沖から長島沖を経て屋代島に至る,長さ60 km以上の海底活断層群が報告されている(原子力発電安全審査課,2010,https://warp.ndl.go.jp/web/20150813215026/www.nsr.go.jp/archive/nisa/shingikai/800/2/070/70-1.pdf)が,これらは地震本部の長期評価対象には含まれていない.産総研地質調査総合センターでは,「防災・減災のための高精度デジタル地質情報の整備事業」の一環として,2024年度から防予諸島断層帯の調査を実施してきた(大上ほか,2025,JpGU;大上ほか,2026,JpGU;宮下ほか,2026,JpGU).本講演では,同断層の陸域部にあたる屋代島中央部の沖積低地上で実施した活動履歴調査結果を報告する.
屋代島中央部船越〜西方地域は島が最も狭まる部分にあたり,北東−南西方向に長さ約2 km,幅100 m〜200 m程度の狭長な低地が分布する.低地北東部の西方では,ふたつの孤立丘が認められるが,群列ボーリング調査の結果から,これらの孤立丘は北西側が相対的隆起成分を持つ右横ずれ断層運動によって形成された閉塞丘と推定された(宮下ほか,2018,地質学会要旨).
本調査では,宮下ほか(2018)の約60 m南西側において8孔の群列ボーリングを行った.その結果,道路と休耕田の境界付近に北西側が相対的隆起成分を持つ高角横ずれ断層が推定された.道路を破損しない勾配を考えると,主断層を掘削することは難しかったため,トレンチは低下側の分岐断層をとらえることを目的として掘削した.
トレンチ壁面には,現在の耕作土の下位に,シルト,砂,腐植質粘土,砂礫の互層からなる扇状地堆積物が分布する.これらの地層を層相の差異に基づき,上位より1〜7層に区分した.各層の概要は,1層:旧耕作土,2a層:シルト質砂,2b層:腐植質シルト(土器片を多く含む),3a層:砂質シルト,3b層:粗粒砂,3c層:砂質シルト,4a層:礫混じり砂,4b層:腐植質粘土,5層:砂礫,6a層:砂質シルト,6b層:腐植質粘土,6c層:シルト質細粒砂,7層:砂礫/シルト互層である.
トレンチ北東壁面では,6b層がL字型に変形し,その基部(屈曲部)に延びる低角な見かけ逆断層群(F1断層群とよぶ)が認められた.南西壁面にも同様の変形構造が認められる.これらの逆断層群は,6a層/5層境界までを変位させる.5層内部では北西側ほど礫の含有量が多く,かつ粗粒であることから,5層は6a層が変形した直後の崩積堆積物の可能性がある.F1断層に切られる個々の地層の変位量は数cm〜20 cm程度であるのに対し,6b層以下の地層が直立に近い姿勢まで大きく変形していることから,F1断層群は高角な主断層から分岐した正の花弁耕造を構成する断層と推定した.
北東壁面ではF1断層群の中に,上位の4b層を変位させるF2断層が認められた.F2断層は,南西壁面ではF1断層群より北西側に位置し,4b層/4a層境界までを変位させる.両壁面の4b層と6b層の変形の程度を比較すると,6b層の方が明らかに大きく変形(より傾斜)しており,変位の累積性が認められる.
以上をまとめると,F1断層群による断層変位イベント層準は6a層/5層(イベント3とする),F2断層によるイベント層準は4b層/4a層(イベント2)となる.また,2b層以上の地層は,下位の地層を不整合関係で覆って分布しているように見える.さらに,紙面の都合上ここでは詳述しないが,7層上部にも確実度は劣るがひとつのイベント層準(イベント4)を認定した.
ここで,トレンチ壁面には現れていない主断層がどの層準まで変位をおよぼしているかが地震防災上は極めて重要になるため,トレンチ埋め戻しの際に,道路側浅部を増し掘りした.その結果,主断層の一部と考えられる断層帯が露出した.断層帯は幅約1 m・ほぼ垂直で,中央部が落ち込む形状を示す.落ち込んだ地層の層準は明確にはできなかったが,2a層ないし2b層に相当する.断層帯を覆う層準は2a層上部である.これをイベント1とする.
各イベントの年代を推定すると,イベント1は,1,693-1,420 cal BP(落ち込んだ地層;2a層ないし2b層;以下,いずれも95.4%範囲の暦年較正値)〜1,178-977 cal BP(2a層上部),イベント2は, 12,619-12,193 cal BP(4b層)〜1,376-1,306 cal BP(2b層),イベント3は, 15,471-15,139 cal BP(6a層)〜12,734-12,622 cal BP(4b層),イベント4は, 26,386-25,948 cal BP(7p層)〜20,801-20,491 cal BP(6c層)となり,活動間隔はおおよそ5,000年〜13,000年となる.
謝辞:本調査を実施するにあたり,大変お世話になった山口県および周防大島町の関係各位,土地所有者ならびに耕作者の皆さまに記して感謝申し上げます.
屋代島中央部船越〜西方地域は島が最も狭まる部分にあたり,北東−南西方向に長さ約2 km,幅100 m〜200 m程度の狭長な低地が分布する.低地北東部の西方では,ふたつの孤立丘が認められるが,群列ボーリング調査の結果から,これらの孤立丘は北西側が相対的隆起成分を持つ右横ずれ断層運動によって形成された閉塞丘と推定された(宮下ほか,2018,地質学会要旨).
本調査では,宮下ほか(2018)の約60 m南西側において8孔の群列ボーリングを行った.その結果,道路と休耕田の境界付近に北西側が相対的隆起成分を持つ高角横ずれ断層が推定された.道路を破損しない勾配を考えると,主断層を掘削することは難しかったため,トレンチは低下側の分岐断層をとらえることを目的として掘削した.
トレンチ壁面には,現在の耕作土の下位に,シルト,砂,腐植質粘土,砂礫の互層からなる扇状地堆積物が分布する.これらの地層を層相の差異に基づき,上位より1〜7層に区分した.各層の概要は,1層:旧耕作土,2a層:シルト質砂,2b層:腐植質シルト(土器片を多く含む),3a層:砂質シルト,3b層:粗粒砂,3c層:砂質シルト,4a層:礫混じり砂,4b層:腐植質粘土,5層:砂礫,6a層:砂質シルト,6b層:腐植質粘土,6c層:シルト質細粒砂,7層:砂礫/シルト互層である.
トレンチ北東壁面では,6b層がL字型に変形し,その基部(屈曲部)に延びる低角な見かけ逆断層群(F1断層群とよぶ)が認められた.南西壁面にも同様の変形構造が認められる.これらの逆断層群は,6a層/5層境界までを変位させる.5層内部では北西側ほど礫の含有量が多く,かつ粗粒であることから,5層は6a層が変形した直後の崩積堆積物の可能性がある.F1断層に切られる個々の地層の変位量は数cm〜20 cm程度であるのに対し,6b層以下の地層が直立に近い姿勢まで大きく変形していることから,F1断層群は高角な主断層から分岐した正の花弁耕造を構成する断層と推定した.
北東壁面ではF1断層群の中に,上位の4b層を変位させるF2断層が認められた.F2断層は,南西壁面ではF1断層群より北西側に位置し,4b層/4a層境界までを変位させる.両壁面の4b層と6b層の変形の程度を比較すると,6b層の方が明らかに大きく変形(より傾斜)しており,変位の累積性が認められる.
以上をまとめると,F1断層群による断層変位イベント層準は6a層/5層(イベント3とする),F2断層によるイベント層準は4b層/4a層(イベント2)となる.また,2b層以上の地層は,下位の地層を不整合関係で覆って分布しているように見える.さらに,紙面の都合上ここでは詳述しないが,7層上部にも確実度は劣るがひとつのイベント層準(イベント4)を認定した.
ここで,トレンチ壁面には現れていない主断層がどの層準まで変位をおよぼしているかが地震防災上は極めて重要になるため,トレンチ埋め戻しの際に,道路側浅部を増し掘りした.その結果,主断層の一部と考えられる断層帯が露出した.断層帯は幅約1 m・ほぼ垂直で,中央部が落ち込む形状を示す.落ち込んだ地層の層準は明確にはできなかったが,2a層ないし2b層に相当する.断層帯を覆う層準は2a層上部である.これをイベント1とする.
各イベントの年代を推定すると,イベント1は,1,693-1,420 cal BP(落ち込んだ地層;2a層ないし2b層;以下,いずれも95.4%範囲の暦年較正値)〜1,178-977 cal BP(2a層上部),イベント2は, 12,619-12,193 cal BP(4b層)〜1,376-1,306 cal BP(2b層),イベント3は, 15,471-15,139 cal BP(6a層)〜12,734-12,622 cal BP(4b層),イベント4は, 26,386-25,948 cal BP(7p層)〜20,801-20,491 cal BP(6c層)となり,活動間隔はおおよそ5,000年〜13,000年となる.
謝辞:本調査を実施するにあたり,大変お世話になった山口県および周防大島町の関係各位,土地所有者ならびに耕作者の皆さまに記して感謝申し上げます.
Comment
To browse or post comments, you must log in.Log in
