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[T1-P-13]Comparative Analysis of Fault Characteristics Based on Mechanical Indicators
*Ayumi Ozeki1, Hideki Mukoyoshi2, Kotaro Aiyama3 (1. Earth Science Course, Program in Environmental Systems Science, Graduate School of Natural Science and Technology, Shimane University, 2. Shimane University, 3. Central Research Institute of Electric Power Industry)
Keywords:
Slip-Tendency,Active Fault,Fault Gouge,X-ray Diffraction (XRD) Analysis
はじめに
山陰地域の活断層は,変位地形が不明瞭であり,活断層発達過程の初期,もしくは未成熟な段階であると報告されている(岡田,2002).島根県内では,活断層が確認されていない地域に地震が集中しており,地形的に未成熟であるために見落とされている活動性の高い断層が存在する可能性がある.断層の活動性を力学的に評価する指標としてSlip-Tendency(以下ST)(Morris et al.,1996)が知られている.地質図上の断層の姿勢等から導出されるSTは,値が大きいほどその断層の現世応力場における活動性が高いことを表す.このような背景のもと,島田(2024MS)はSTを用いて島根県内の断層に対する活動性評価を行い,約半数の断層が高い活動性を持つことを示した.それらの断層の中には地質断層が多く含まれており,その中には活断層が存在する可能性がある.
STによる断層の活動性評価はこれまで全国的に行われてきたものの(行竹ほか,2013),ST値を計算した断層を現地調査で確認した例はほとんどなく,ST値の異なる断層について産状の違いを確かめた研究は存在しない.そこで本研究では,ST値を計算した断層に対し現地調査を行い,ST値の大小による産状の違いの有無を確認することを目的とする.
結果
島田(2024MS)によって計算されたST値をもとに,ST値が小さい島根県浜田市の断層と,ST値の大きい弥栄断層に対し現地調査,構造観察,XRD分析を行った.どちらの断層も北東-南西方向に伸び,白亜紀後期から古第三紀に形成された花崗岩を母岩とする(今泉ほか,2018;鹿野ほか,1998;松浦ほか,2007).
浜田の断層では明灰色から青灰色の基質支持角礫岩や断層ガウジが認められた.試料を採取した2か所の剪断面は走向がN62°E,北西に69°と88°傾斜していた.弥栄断層では褐色から白色の断層ガウジやカタクレーサイトを確認し,N16°E72°W,N44°E58°NWの剪断面から試料を採取した.定方位試料の構造観察からは,どちらも右横ずれのセンスが認められ,両断層は類似の断層系であることを確認した.
また,XRD分析では2条の断層試料全てにイライトとスメクタイトが共通して含まれていることを確認した.浜田の断層試料は弥栄断層試料と比べて緑泥石や白雲母を特徴的に含んでおり,弥栄断層の試料はカオリナイトや比較的多くのスメクタイトを含んでいた.
考察
井上(2008)による熱水変質作用で生成される粘土鉱物とその変質過程から,両断層は異なる変質過程を経たと考えられる.G. Zheng et al. (2008)や間中ほか(2012)に基づき,本研究で得られた2条の断層のガウジの色調と鉱物種の違いから,浜田の断層は形成時期が新しく,今後も活動の可能性があること,これに対し弥栄断層は古く現在は安定な断層であることが示唆された.現地調査の結果は,先行研究のSTによる活動性評価とは逆の結果を示している.しかし,現地で測定した断層姿勢を入力したST値は,浜田の断層で大きく,弥栄断層で小さな値を示しており,本研究の現地調査を踏まえた活動性評価と概ね調和した.
まとめ
本研究ではST値に差がある類似した走向の2条の断層において産状比較を行った.その結果,母岩は共通だがガウジの色調や構成鉱物に違いがみられた.この結果から,ST値の低い浜田の断層の活動性が高く,ST値の高い弥栄断層の活動性が低いことが示唆され,先行研究のST値による断層の活動性評価とは逆の結果になった.しかし,現地で測定した断層の姿勢を用いたST値の計算結果とは概ね調和した.STは断層の活動性を評価する重要な指標だが,複合的な要素を持つ実際の露頭での評価の妥当性には今後も検討が必要である.
引用文献
G.Zheng et al. (2008) Hyperfine Interact,186,39–52.
今泉俊文・宮内崇裕・堤浩之・中田高 編(2018)活断層デジタルマップ 新編,東京大学出版会.
井上厚行(2008) 粘土科学,47,161–167.
鹿野ほか(1998) 20万分の1地質図幅「浜田」,産業技術総合研究所 地質調査総合センター.
間中ほか(2012) 地質雑,118,459–475.
松浦ほか(2007) 20万分の1地質図幅「山口及び見島」,産業技術総合研究所 地質調査総合センター.
Morris, A., Ferrill, D. A., and Henderson, D. B. (1996) Geology,24,275–278.
岡田篤正(2002) 活断層研究,22,17–32.
島田昌弥(2024 MS) 島根大学総合理工学部地球科学科卒業論文.
行竹ほか(2013) 神奈川県温泉地学研究所報告,45,49–62.
山陰地域の活断層は,変位地形が不明瞭であり,活断層発達過程の初期,もしくは未成熟な段階であると報告されている(岡田,2002).島根県内では,活断層が確認されていない地域に地震が集中しており,地形的に未成熟であるために見落とされている活動性の高い断層が存在する可能性がある.断層の活動性を力学的に評価する指標としてSlip-Tendency(以下ST)(Morris et al.,1996)が知られている.地質図上の断層の姿勢等から導出されるSTは,値が大きいほどその断層の現世応力場における活動性が高いことを表す.このような背景のもと,島田(2024MS)はSTを用いて島根県内の断層に対する活動性評価を行い,約半数の断層が高い活動性を持つことを示した.それらの断層の中には地質断層が多く含まれており,その中には活断層が存在する可能性がある.
STによる断層の活動性評価はこれまで全国的に行われてきたものの(行竹ほか,2013),ST値を計算した断層を現地調査で確認した例はほとんどなく,ST値の異なる断層について産状の違いを確かめた研究は存在しない.そこで本研究では,ST値を計算した断層に対し現地調査を行い,ST値の大小による産状の違いの有無を確認することを目的とする.
結果
島田(2024MS)によって計算されたST値をもとに,ST値が小さい島根県浜田市の断層と,ST値の大きい弥栄断層に対し現地調査,構造観察,XRD分析を行った.どちらの断層も北東-南西方向に伸び,白亜紀後期から古第三紀に形成された花崗岩を母岩とする(今泉ほか,2018;鹿野ほか,1998;松浦ほか,2007).
浜田の断層では明灰色から青灰色の基質支持角礫岩や断層ガウジが認められた.試料を採取した2か所の剪断面は走向がN62°E,北西に69°と88°傾斜していた.弥栄断層では褐色から白色の断層ガウジやカタクレーサイトを確認し,N16°E72°W,N44°E58°NWの剪断面から試料を採取した.定方位試料の構造観察からは,どちらも右横ずれのセンスが認められ,両断層は類似の断層系であることを確認した.
また,XRD分析では2条の断層試料全てにイライトとスメクタイトが共通して含まれていることを確認した.浜田の断層試料は弥栄断層試料と比べて緑泥石や白雲母を特徴的に含んでおり,弥栄断層の試料はカオリナイトや比較的多くのスメクタイトを含んでいた.
考察
井上(2008)による熱水変質作用で生成される粘土鉱物とその変質過程から,両断層は異なる変質過程を経たと考えられる.G. Zheng et al. (2008)や間中ほか(2012)に基づき,本研究で得られた2条の断層のガウジの色調と鉱物種の違いから,浜田の断層は形成時期が新しく,今後も活動の可能性があること,これに対し弥栄断層は古く現在は安定な断層であることが示唆された.現地調査の結果は,先行研究のSTによる活動性評価とは逆の結果を示している.しかし,現地で測定した断層姿勢を入力したST値は,浜田の断層で大きく,弥栄断層で小さな値を示しており,本研究の現地調査を踏まえた活動性評価と概ね調和した.
まとめ
本研究ではST値に差がある類似した走向の2条の断層において産状比較を行った.その結果,母岩は共通だがガウジの色調や構成鉱物に違いがみられた.この結果から,ST値の低い浜田の断層の活動性が高く,ST値の高い弥栄断層の活動性が低いことが示唆され,先行研究のST値による断層の活動性評価とは逆の結果になった.しかし,現地で測定した断層の姿勢を用いたST値の計算結果とは概ね調和した.STは断層の活動性を評価する重要な指標だが,複合的な要素を持つ実際の露頭での評価の妥当性には今後も検討が必要である.
引用文献
G.Zheng et al. (2008) Hyperfine Interact,186,39–52.
今泉俊文・宮内崇裕・堤浩之・中田高 編(2018)活断層デジタルマップ 新編,東京大学出版会.
井上厚行(2008) 粘土科学,47,161–167.
鹿野ほか(1998) 20万分の1地質図幅「浜田」,産業技術総合研究所 地質調査総合センター.
間中ほか(2012) 地質雑,118,459–475.
松浦ほか(2007) 20万分の1地質図幅「山口及び見島」,産業技術総合研究所 地質調査総合センター.
Morris, A., Ferrill, D. A., and Henderson, D. B. (1996) Geology,24,275–278.
岡田篤正(2002) 活断層研究,22,17–32.
島田昌弥(2024 MS) 島根大学総合理工学部地球科学科卒業論文.
行竹ほか(2013) 神奈川県温泉地学研究所報告,45,49–62.
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