Presentation Information
[T1-P-15]Elucidation of the geological characteristics of seismic and aseismic zones in the San'in region
*Yuya KAMURA1, Hideki MUKOYOSHI2 (1. Graduate School of Shimane University, 2. Shimane University)
Keywords:
San-in shear zone,seismic gap,fault,stress inversion
はじめに
GNSS観測に基づくひずみ速度の計測により,山陰地域の特に日本海側において,ひずみ速度が周辺よりも大きくなっている領域が報告されている(西村ほか,2019).この領域は,「山陰ひずみ集中帯(以下,SSZ)」と呼ばれており,この領域内では,2000年鳥取県西部地震(M7.3)をはじめとする,中~大規模な地震が多く発生している.それに伴って,SSZ内の地震帯では,これまでにも断層に関する研究が行われてきた.例えば市村(2021_MS)は,2000年鳥取県西部地震と2016年鳥取県中部地震の余震域で,当時の応力場で説明できる断層とできない断層において,断層ガウジの色や鉱物組成を比較した.一方で,SSZ内には,長期間地震が確認されていない非地震帯も存在するが,詳しい断層に関する研究が少なく,地質学的な背景については未解明である.
そこで本研究では,この非地震帯を地震空白域として定義し,現地調査を行う.調査によって,当該地域の断層の産状や地質の特徴について調べ, SSZ内の地震帯と比較することで,両者の違いや地震空白域の特性,形成要因を解明することを目的としている.
結果
気象庁が公表している地震データを用いて,約25年間分の震源分布図を作成した.その結果,25年間地震が確認されていない地域を複数特定し,当該地域を地震空白域として定義した.
地震空白域とした地域の一つである,島根県雲南市大東町で現地調査を行ったところ,9条の断層を確認した.確認した断層露頭について,断層の走向・傾斜,可能なものは条線の姿勢,せん断センス等の構造記載を行った.断層姿勢は,NNW-SSE走向,高角傾斜の傾向が見られた.
断層露頭調査によって得られたデータを用いて,応力逆解析を行った.応力逆解析を行う際には,Wallace-Bott仮説を使用した.Wallace-Bott仮説とは,Wallace(1951),Bott(1959)が,断層のすべり方向がせん断応力に平行であると仮定したもので,その2つのなす角がミスフィット角となる.なお,ミスフィット角の閾値は30°程度に設定されることが多い(佐藤ほか,2017).そのため,本研究でも閾値を30°とし,ミスフィット角が30°以下となる断層をその応力場に調和的であると判断した.応力逆解析の結果,本研究で確認された断層ほとんどで,ミスフィット角が100°程度の大きな値となり,現在の応力場で動きづらい断層であると判断された.
考察
応力逆解析の結果,現地調査によって確認された断層はいずれも,現世応力場に対して,不調和であるという結果が得られた.藤内ほか(2011)は,地震発生域の応力と周辺に分布する活断層の運動方向は調和的であると指摘している.本研究地域で確認した断層においては,応力場と調和的なせん断センスが認められなかったことから,現在の応力場になって以降,地震が発生していない可能性が考えられる.
まとめ
地震空白域と定義した島根県雲南市大東町で現地調査を行ったところ,9条の断層を確認した.応力逆解析の結果,ほとんどがミスフィット角100°となり,現世応力場に不調和であることがわかった.このことから,大東町では,現在の応力場になって以降,地震が発生していない可能性が考えられる.
引用文献
Bott,M.H.P.,1959,The Mechanics of oblique slip faulting,Geological Magazine,96,109-117.
市村正如,2021_MS,山陰ひずみ集中帯に発達する断層の色相および鉱物組成と活動ステージの関係,島根大学大学院自然科学研究科環境システム科学専攻地球化学コース2020年度修士論文,23p.
西村卓也・Angela Meneses-Gutierrez,2019,GNSS データから明らかになった山陰ひずみ集中帯,日本地質学会学術大会講演,第126年学術大会,要旨.
佐藤活志・大坪誠・山路敦,2017,応力逆解析の発展と応用,地質学雑誌,123,391-402.
藤内智士・重松紀生・今西和俊・吾妻崇・溝口一生・大谷具幸・沓名亮輔,2011,地震学的に推定される応力と地質学的に推定される活断層の運動方向との比較:阿寺断層系の例,活断層・古地震研究報告,11,139-150.
Wallace,R.E.,1951,Geometry of shearing stress and relation to faulting,The Journal of Geology,59,118-130.
GNSS観測に基づくひずみ速度の計測により,山陰地域の特に日本海側において,ひずみ速度が周辺よりも大きくなっている領域が報告されている(西村ほか,2019).この領域は,「山陰ひずみ集中帯(以下,SSZ)」と呼ばれており,この領域内では,2000年鳥取県西部地震(M7.3)をはじめとする,中~大規模な地震が多く発生している.それに伴って,SSZ内の地震帯では,これまでにも断層に関する研究が行われてきた.例えば市村(2021_MS)は,2000年鳥取県西部地震と2016年鳥取県中部地震の余震域で,当時の応力場で説明できる断層とできない断層において,断層ガウジの色や鉱物組成を比較した.一方で,SSZ内には,長期間地震が確認されていない非地震帯も存在するが,詳しい断層に関する研究が少なく,地質学的な背景については未解明である.
そこで本研究では,この非地震帯を地震空白域として定義し,現地調査を行う.調査によって,当該地域の断層の産状や地質の特徴について調べ, SSZ内の地震帯と比較することで,両者の違いや地震空白域の特性,形成要因を解明することを目的としている.
結果
気象庁が公表している地震データを用いて,約25年間分の震源分布図を作成した.その結果,25年間地震が確認されていない地域を複数特定し,当該地域を地震空白域として定義した.
地震空白域とした地域の一つである,島根県雲南市大東町で現地調査を行ったところ,9条の断層を確認した.確認した断層露頭について,断層の走向・傾斜,可能なものは条線の姿勢,せん断センス等の構造記載を行った.断層姿勢は,NNW-SSE走向,高角傾斜の傾向が見られた.
断層露頭調査によって得られたデータを用いて,応力逆解析を行った.応力逆解析を行う際には,Wallace-Bott仮説を使用した.Wallace-Bott仮説とは,Wallace(1951),Bott(1959)が,断層のすべり方向がせん断応力に平行であると仮定したもので,その2つのなす角がミスフィット角となる.なお,ミスフィット角の閾値は30°程度に設定されることが多い(佐藤ほか,2017).そのため,本研究でも閾値を30°とし,ミスフィット角が30°以下となる断層をその応力場に調和的であると判断した.応力逆解析の結果,本研究で確認された断層ほとんどで,ミスフィット角が100°程度の大きな値となり,現在の応力場で動きづらい断層であると判断された.
考察
応力逆解析の結果,現地調査によって確認された断層はいずれも,現世応力場に対して,不調和であるという結果が得られた.藤内ほか(2011)は,地震発生域の応力と周辺に分布する活断層の運動方向は調和的であると指摘している.本研究地域で確認した断層においては,応力場と調和的なせん断センスが認められなかったことから,現在の応力場になって以降,地震が発生していない可能性が考えられる.
まとめ
地震空白域と定義した島根県雲南市大東町で現地調査を行ったところ,9条の断層を確認した.応力逆解析の結果,ほとんどがミスフィット角100°となり,現世応力場に不調和であることがわかった.このことから,大東町では,現在の応力場になって以降,地震が発生していない可能性が考えられる.
引用文献
Bott,M.H.P.,1959,The Mechanics of oblique slip faulting,Geological Magazine,96,109-117.
市村正如,2021_MS,山陰ひずみ集中帯に発達する断層の色相および鉱物組成と活動ステージの関係,島根大学大学院自然科学研究科環境システム科学専攻地球化学コース2020年度修士論文,23p.
西村卓也・Angela Meneses-Gutierrez,2019,GNSS データから明らかになった山陰ひずみ集中帯,日本地質学会学術大会講演,第126年学術大会,要旨.
佐藤活志・大坪誠・山路敦,2017,応力逆解析の発展と応用,地質学雑誌,123,391-402.
藤内智士・重松紀生・今西和俊・吾妻崇・溝口一生・大谷具幸・沓名亮輔,2011,地震学的に推定される応力と地質学的に推定される活断層の運動方向との比較:阿寺断層系の例,活断層・古地震研究報告,11,139-150.
Wallace,R.E.,1951,Geometry of shearing stress and relation to faulting,The Journal of Geology,59,118-130.
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