Presentation Information

[T1-P-19]Stress History Analysis of the Neodani Fault using a Stress Tensor Inversion Technique

*Kazushi HYAKKOKU2, Tomoyuki OHTANI1, Touma ARAKI1 (1. Department of Civil and Environmental Engineering, Faculty of Engineering, Gifu University, 2. Graduate School of Natural Science and Technology, Gifu University)
PDF DownloadDownload PDF

Keywords:

Neodani fault,stress tensor inversion Techniques,inversion tectonics

 活断層は活動をくり返すことにより成熟度が高くなる1).1891年の濃尾地震で活動した根尾谷断層の活動開始時期は100~75万年前2)とされ成熟度が低い可能性があるものの,中部日本で根尾谷断層と同じくNW-SE走向で左横ずれを示す阿寺断層では2300万年前以前の破砕作用が確認されている3)。よって,根尾谷断層の活動開始時期もより古く,これまでの活動の間にインバージョンが生じた可能性がある.そこで本研究では断層スリップデータに応力逆解析法を適用することにより応力場を推定し,根尾谷断層の現在の地殻応力とは異なる応力場の有無を確認することを目的とする.
研究対象地は根尾谷断層に沿う岐阜県本巣市根尾水鳥の根尾川左岸(地点A),右岸(地点B),および本巣市根尾長嶺(地点C)である.根尾水鳥では隆起を生じる断層ジョグがあり,地点Aにはキンクバンド,地点Bには濃尾地震の際に6 m にも及ぶ北東隆起が生じた断層崖がある.地点Cでは根尾谷断層は濃尾地震の際にはほぼ純粋な左横ずれを引き起こし,近年原子力規制庁により断層を貫くボーリングが掘削された. 
 上の3地点ですでに得られている断層スリップデータから応力逆解析法4)5)を用いて応力を推定する[URL1].地点Aではキンクバンドのキンク面を断層面,キンク軸に直交する面とキンク面との交線を条線として扱う.地点Bでは既存の文献に示されている断層スリップデータ6)を,地点Cではボーリングコアに認められる小断層のスリップデータを使用する.なお,地点Bのデータ6)では断層のせん断センスは示されていないため,いずれの断層変位も濃尾地震と同様に左横ずれを伴う北東隆起を仮定する.その上でミスフィット角≦30°となる応力やクラスターとなっている応力を抽出する7)8). 
 地点Aから応力A-1, 地点Bから応力B-1, 地点Cから応力C-1, C-2, C-3が推定された(図-1).応力A-1とC-1は低角プランジでNW-SE方向の軸性圧縮応力を示す.応力B-1は中角プランジでESE方向の軸性圧縮応力,C-2は低角プランジでN-S方向の軸性引張応力を,C-3は中角プランジでWSW方向の軸性圧縮応力を示す.根尾長嶺のボーリングコアから推定された応力のミスフィット角を深度ごとに並べると,ある応力が支配的となる深度区間を見いだすことができる.その結果,深度16.00-34.60 m では応力C-2が,46.83-58.94 m では応力C-1が支配的である. 
 推定された応力のうち,応力A-1とC-1は根尾谷断層周辺で実施された水圧破砕法で得られたNW-SE方向の最大水平圧縮応力9)に一致し,応力C-3は根尾谷断層を含む地域における現在の広域応力場(東西圧縮10))と整合的であることから,最近の根尾谷断層の活動に寄与している地殻応力場であると考えられる.応力B-1は断層ジョグに伴う隆起で生じた地下から突き上げるような応力とみなすことができ,濃尾地震の局所的な活動を反映した応力場であると考えられる.応力C-2は,現在の広域応力場と整合的ではないため,過去に作用していた地殻応力,もしくは地震活動時に一時的に生じた応力の可能性がある.一方で,地表付近の地殻応力は地形の影響を受けて乱れることがあり11),本研究で用いている断層は地表付近で形成された可能性がある.特に応力C-2は地点Cの中でもより浅部の断層スリップデータから推定されており,現在の広域応力場との差異は浅部における地形の影響を反映している可能性がある.したがって,応力C-2が現在の地殻応力を反映していないと判断するには慎重な議論が必要であり,今後,地形の影響を含めたさらなる検討が必要である.

1)小山・谷(2003)土木学会論文集,750,171-181. 2)岡田ほか(1992)地学雑誌,101,19-37. 3)山田ほか(1992)地質調査所月報,43,759-779. 4)Yamaji et al.(2006)JSG, 28, 980–990. 5)Sato (2006) Tectonophysics,421,319–330. 6)佐藤ほか(1992)地学雑誌,101,556-572. 7)Yamaji (2000) JSG,22,441–452. 8)酒井ほか(2024)地質学雑誌,130,89-109. 9)山田ほか(2007)防災科学技術研究資料,307. 10)原田・葛西(1971)測地学会誌,17,4–7. 11)塚原・池田(1989)応用地質,30,41-46.
[URL1] https://bs.kueps.kyoto-u.ac.jp/k_sato/(参照2026年7月3日)

Comment

To browse or post comments, you must log in.Log in