Presentation Information
[T3-P-4]FT-IR Analysis of Water Content in Quartz from the Nihonkoku Mylonite
*Naohiro OKADA1,2, Kenta KOBAYASHI1 (1. Niigata Univ., 2. Nittetsu Mining Consultants Co., Ltd.)
Keywords:
FT-IR,Water,Quartz,Mylonite,Tanakura Shear Zone
石英は大陸地殻のレオロジーを支配し,延性領域では加水弱化によって岩石の強度を下げることが知られている.花崗岩類起源のマイロナイト類を対象に,mFT-IRを用いた石英中の含水量の測定を行った.またマイロナイト類の変形度を,再結晶石英の平均粒径とMatrix比を用いて連続的に評価し,含水量との関係を検討した.
新潟/山形県境でNW–SE方向に延びる日本国マイロナイト帯[1]は,白亜紀に形成され,左横ずれを示す.今回,日本国地域のほぼ未変形試料1,[2]の分類に基づくプロトマイロナイト1,マイロナイト6,ウルトラマイロナイト4試料に飯豊地域のマイロナイト1試料を加えた計13試料について,石英中の含水量の測定と変形度の評価を行った.FT-IR測定に際して厚さ100±50 µmのXZ両面研磨片を製作し,ビーム径20–60 µmで粒界や包有物を避けて測定した.含水量の計算には[3]のキャリブレーションを用いた.
IRスペクトルからは水分子を示す3400 cm-1を中心としたブロード状のピークが確認されたが,OH基を示す鋭いピークは認められなかった.
日本国マイロナイトについて,未変形試料からは100–1580,弱変形試料からは7–900,中変形試料からは80–2020,強変形試料からは250–1370 wt ppmの値が得られた.幾何平均を求めると,それぞれ467,161,269–548,595–767 wt ppmであった.飯豊マイロナイトについては207–2692 wt ppmの値が得られ,幾何平均は855 wt ppmであった.
以上の結果は,原岩からプロトマイロナイト形成にいたる変形初期では含水量の減少,つまり脱水が,逆に変形中・後期では含水量の増加,すなわち取り込みが生じた可能性を示した.変形の進行に伴い,岩石系内の含水量は均質化した.
測定した石英中の水分子について,結晶欠陥中に含まれたナノスケールの包有物であると考えた.また,石英中の弱変形の試料から得られた測定値は,実験室条件で石英に水弱化が起こるために必要な濃度を満たす.一方,変形中・後期にかけて,水の大きな増加は認められず,新たな流体の付加は考えにくい.よって原岩内部で水が移動して,石英に対して加水弱化が引き起こされた可能性が高い.
また,天然の花崗岩質マイロナイトを対象としたFT-IR研究との比較を行った.比較の際は,すべて[3]のキャリブレーションに換算した.
日本では,[4]は300–2300 wt ppmを報告し,MTLに近づくにつれ含水量が増加することを示した.また[5]では,割山隆起帯を対象に3タイプのマイロナイトを測定し,ホスト石英では40–1750 wt ppm,再結晶石英では100–510 wt ppmの値を報告し,動的再結晶に伴い,ホスト石英内部で水の再分配が生じることを示唆した.
一方,国外5地域を対象としたFT-IR研究では,角閃岩相から緑色岩相まで多様な形成条件の花崗岩質マイロナイトが扱われており,測定対象や評価対象(水分子またはOH基)も研究ごとに異なる.石英中の含水量は角閃岩相条件で10–230 wt ppm[6][7],緑色岩相条件で140–2470 wt ppm[8][9][10][11][12][13]が報告されている.比較対象とした国外の先行研究では,[13]を除き,国内の先行研究より低い含水量が報告されている.
以上より,日本国マイロナイトでは変形の進行に伴い,変形初期では含水量の低下が,変形の中・後期では含水量が増加する傾向が認められた.本研究で得られたマイロナイト石英中の含水量は,国内の先行研究よりもやや高い値を示した.また,国内で報告されている石英中の含水量は,国外の花崗岩質マイロナイトより高い傾向が認められた.
引用文献
[1] 高橋,1998,地質雑.[2] Sibson,1977,J. Geol. Soc. Lond.[3] Paterson,1982,Bull. Mineral.[4] Nakashima et al.,1995,Tectonophysics.[5] Fukuda et al.,2023,Solid Earth.[6] Han et al.,2013,Sci. China Earth Sci.[7] Kilian et al.,2016,J. Geophys. Res. Solid Earth.[8] Finch et al.,2016,Geology.[9] Gleason & DeSisto,2008,Tectonophysics.[10] Kronenberg et al.,1990,Geophys. Monogr.[11] Kronenberg & Wolf,1990,Tectonophysics.[12] Kronenberg et al.,2020,Geology.[13] Zhou et al.,2008,Sci. China Ser. D Earth Sci.
新潟/山形県境でNW–SE方向に延びる日本国マイロナイト帯[1]は,白亜紀に形成され,左横ずれを示す.今回,日本国地域のほぼ未変形試料1,[2]の分類に基づくプロトマイロナイト1,マイロナイト6,ウルトラマイロナイト4試料に飯豊地域のマイロナイト1試料を加えた計13試料について,石英中の含水量の測定と変形度の評価を行った.FT-IR測定に際して厚さ100±50 µmのXZ両面研磨片を製作し,ビーム径20–60 µmで粒界や包有物を避けて測定した.含水量の計算には[3]のキャリブレーションを用いた.
IRスペクトルからは水分子を示す3400 cm-1を中心としたブロード状のピークが確認されたが,OH基を示す鋭いピークは認められなかった.
日本国マイロナイトについて,未変形試料からは100–1580,弱変形試料からは7–900,中変形試料からは80–2020,強変形試料からは250–1370 wt ppmの値が得られた.幾何平均を求めると,それぞれ467,161,269–548,595–767 wt ppmであった.飯豊マイロナイトについては207–2692 wt ppmの値が得られ,幾何平均は855 wt ppmであった.
以上の結果は,原岩からプロトマイロナイト形成にいたる変形初期では含水量の減少,つまり脱水が,逆に変形中・後期では含水量の増加,すなわち取り込みが生じた可能性を示した.変形の進行に伴い,岩石系内の含水量は均質化した.
測定した石英中の水分子について,結晶欠陥中に含まれたナノスケールの包有物であると考えた.また,石英中の弱変形の試料から得られた測定値は,実験室条件で石英に水弱化が起こるために必要な濃度を満たす.一方,変形中・後期にかけて,水の大きな増加は認められず,新たな流体の付加は考えにくい.よって原岩内部で水が移動して,石英に対して加水弱化が引き起こされた可能性が高い.
また,天然の花崗岩質マイロナイトを対象としたFT-IR研究との比較を行った.比較の際は,すべて[3]のキャリブレーションに換算した.
日本では,[4]は300–2300 wt ppmを報告し,MTLに近づくにつれ含水量が増加することを示した.また[5]では,割山隆起帯を対象に3タイプのマイロナイトを測定し,ホスト石英では40–1750 wt ppm,再結晶石英では100–510 wt ppmの値を報告し,動的再結晶に伴い,ホスト石英内部で水の再分配が生じることを示唆した.
一方,国外5地域を対象としたFT-IR研究では,角閃岩相から緑色岩相まで多様な形成条件の花崗岩質マイロナイトが扱われており,測定対象や評価対象(水分子またはOH基)も研究ごとに異なる.石英中の含水量は角閃岩相条件で10–230 wt ppm[6][7],緑色岩相条件で140–2470 wt ppm[8][9][10][11][12][13]が報告されている.比較対象とした国外の先行研究では,[13]を除き,国内の先行研究より低い含水量が報告されている.
以上より,日本国マイロナイトでは変形の進行に伴い,変形初期では含水量の低下が,変形の中・後期では含水量が増加する傾向が認められた.本研究で得られたマイロナイト石英中の含水量は,国内の先行研究よりもやや高い値を示した.また,国内で報告されている石英中の含水量は,国外の花崗岩質マイロナイトより高い傾向が認められた.
引用文献
[1] 高橋,1998,地質雑.[2] Sibson,1977,J. Geol. Soc. Lond.[3] Paterson,1982,Bull. Mineral.[4] Nakashima et al.,1995,Tectonophysics.[5] Fukuda et al.,2023,Solid Earth.[6] Han et al.,2013,Sci. China Earth Sci.[7] Kilian et al.,2016,J. Geophys. Res. Solid Earth.[8] Finch et al.,2016,Geology.[9] Gleason & DeSisto,2008,Tectonophysics.[10] Kronenberg et al.,1990,Geophys. Monogr.[11] Kronenberg & Wolf,1990,Tectonophysics.[12] Kronenberg et al.,2020,Geology.[13] Zhou et al.,2008,Sci. China Ser. D Earth Sci.
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