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[T3-P-6]Effects of crystal plastic deformation and dynamic recrystallization on crystallographic orientation: toward improving the accuracy of the quartz c-axis fabric opening-angle thermometer

*Yukinojo KOYAMA1, Simon Richard Wallis1, Takayoshi Nagaya2, Mutsuki Aoya3 (1. Department of Earth and Planetary Science, Graduate School of Science, The University of Tokyo, 2. Faculty of Education and Integrated Arts and Sciences, Waseda University, 3. Graduate School of Technology, Industrial and Social Sciences, Tokushima University)
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Keywords:

quartz,crystal plastic deformation,dynamic recrystallization,opening-angle thermometer,deformation temperature


 石英c軸ファブリック開口角温度計は、動的再結晶石英粒子のc軸方位をシュミットネットに投影して得られる開口角と、石英変形温度の比例関係を利用した変形温度計である。この比例関係は活動する滑り系の温度依存性(低温で底面a軸すべり、高温で柱面c軸すべりが卓越)に起因すると考えられており、天然試料では広い温度条件(約250℃から700℃)において成立する[1]。化学平衡を用いた地質温度計の適用が難しい低温でも利用可能であり、脆性塑性遷移領域における地震研究等への応用が期待される。現行の温度計には±50℃程度の誤差が存在し、これは歪速度や水の存在等の変形環境の違いに起因する可能性が指摘されている。また同一の変形環境下でも、結晶塑性変形の進行や動的再結晶作用によりCPO(Crystallographic Preferred Orientation)パターンや開口角が変化する。したがって、これらの要素が開口角に与える影響の評価は、高精度な開口角温度計構築のために重要である。本研究では、粒界移動動的再結晶を示す天然試料(四国中央部三波川沈み込み型変成帯の珪質片岩)を対象とし、電子後方散乱回折法(EBSD)およびMTEXソフトウェアを用いて再結晶粒子内の歪量を定量化することで、結晶塑性変形に伴う粒内歪の蓄積と動的再結晶作用に伴う粒子の再形成が開口角に与える影響とその機構を考察した。
GOS(Grain Orientation Spread)を用いて粒内の歪量を定量化し、歪を蓄えた古い再結晶粒子(古粒子)と歪の少ない新しい再結晶粒子(新粒子)に分類した結果、古粒子ほど開口角が小さくなる傾向が認められ、古粒子と新粒子の差は10°以上(変形温度換算で80℃以上)に達した。これは岩石が経験した温度圧力の変化では説明できないため、粒内歪の蓄積による開口角低下(変形の進行に伴い底面a軸すべり面がfabric attractorに近づき、結晶方位がz軸に集中する)と亜粒回転再結晶による新粒子の開口角増大を反映している可能性が考えられた。そこで結晶方位差閾値を変化させてGOSを用いた分類を行った結果、結晶方位差閾値が3°の場合は新粒子と古粒子で開口角に差が見られなかった一方で、結晶方位差閾値を増加させると新粒子のみ開口角が増大し、古粒子と新粒子の開口角の差が発生した。これは、結晶方位差閾値の増加に伴い亜粒回転再結晶による開口角増大をより強く反映した粒子群が新粒子として分類された一方で、どの結晶方位差閾値でも亜粒回転再結晶前の開口角を保持した粒子が古粒子として分類されたためと解釈でき、粒内歪の蓄積による開口角低下と亜粒回転再結晶による開口角増大を支持する結果となった。本主張が正しければ、c軸に垂直なmisorientation axisを持つtilt boundary(底面a軸および柱面c軸すべりに起因)とtwist boundary(らせん転位に起因)を含む、c軸方位がXZ(線構造に平行で片理に垂直な)面に近い粒子が、最も亜粒回転再結晶に伴い開口角増大に寄与すると考えられる。そこで上記条件を満たす結晶を選別し、開口角を計測した結果、選別した粒子群の開口角は全粒子の開口角と比較して数度小さくなることが判明した。選別した粒子は 亜粒壁を含み、亜粒回転再結晶する前の方位を示していると解釈できるため、これは選別した粒子の亜粒回転再結晶により開口角が上昇することと整合的である。以上より、単純な開口角の比較に加え、活動する滑り系と開口角の関係からも本主張が支持される結果となった。
上記の結果は、結晶塑性変形の進行や動的再結晶が開口角に与える影響の精査が、高精度な温度計構築に際し重要であることを示す。粒界移動動的再結晶組織は均質な組織と見なされる場合が多いが、本研究により粒内歪量に応じて開口角が変化することが示された。よって粒界移動動的再結晶組織の粒子分類・選別を行う際は、変形温度推定に大きな系統誤差をもたらす可能性に留意する必要がある。先行研究[2]では、粒界移動動的再結晶組織は亜粒回転再結晶による結晶核形成と粒界移動による粒子消費がバランスした定常状態である可能性が指摘されている。この場合、粒界移動動的再結晶組織の全粒子を用いた開口角やCPOは、外部から受けた歪量に寄らない定常状態に達しているかもしれない。粒界移動動的再結晶組織の利用により、岩石変形の進行に伴う開口角の過渡的な変化を排除した、高精度な温度計を構築できる可能性がある。

参考文献
[1] Law, 2014, J. Struct. Geol., 66, 129–161.
[2] Shimizu, 2008, J. Struct. Geol., 30, 899–917.

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