Presentation Information
[T3-P-14]How do stress condition and yield criterion affect permeability of shear zones induced in the Kazusa Group mudstones?
*Miyu Matsubara1, Shin-ichi Uehara1 (1. Toho University Graduate School of Science)
Keywords:
Permeability,Stress conditions and Yield criterion,mudstone,Pleistocene,Brittle-Ductile Transition,Triaxial Permeability Test
近年、CO₂地中貯留技術が注目されており、例えば千葉県九十九里沖でも上総層群を対象としたCCS事業化調査が進められている (北村ら、2024)。帯水層貯留において、その上位に位置する泥岩等の難透水層は、CO₂漏洩を防ぐシール層として重要である。しかし、難透水層内の既存または新たに生成されたせん断帯が漏洩経路となりうるため、その透水性を評価することはシール層の評価において重要である。Ingram & Urai (1999) は、泥岩中のせん断帯の透水性を、脆性・延性変形挙動と関連づけて議論した。すなわち、有効応力が比較的低い条件では、脆性的な破壊により透水経路が形成されやすく、透水性が上昇する傾向にある。一方、有効応力が比較的高い条件では、延性的な変形となり、透水性は上昇しないと予想される。ここで、脆性・延性変形挙動の遷移に対応する応力条件は、その泥岩の破壊基準に関係すると考えられる。しかし、日本のCCS対象である古第三紀後期・新第三紀(一部、第四紀更新世) (海江田ら、2012) において、破壊基準とせん断帯の透水性の関係は十分に解明されていない。本研究では、上総層群更新世黄和田層の泥岩を対象に三軸圧縮試験と透水試験を行い、破壊基準に対する封圧条件とせん断帯の透水性変化の関係を実験的に明らかにする。これにより、破壊基準からせん断帯の透水性を推定する手法の構築とCCSシール層評価への貢献を目指す。千葉県房総半島上総層群の黄和田層 (更新世) の泥岩を用い、三軸変形透水試験機を用いて2種類の実験を実施した。実験1では、静水圧下での降伏条件を評価することを目的に、静水圧下での封圧増加による空隙体積の変化を調べ、過圧密から正規圧密に移行する封圧(P*)を求めた。直径40 mm、長さ40 mmの円柱形試料を用いて、間隙水圧を0.1 MPa一定に保ちながら、封圧を1.0から25 MPaまで増加させ、空隙体積の変化を測定した。実験2では、実験1で得られた降伏条件 P* よりも低い封圧下での軸変形実験を行った。直径40 mm、高さ80 mmの円柱形試料を用い、封圧1.5、2.5、10 MPaの3種類の封圧下で軸変形実験を実施した。軸歪みに伴う軸差応力の変化および変形後の内部構造から、脆性・延性変形挙動を評価するとともに、変形前後に透水試験を行うことで、せん断帯形成時の応力条件および破壊基準と透水性変化の関係を評価した。実験1の結果、試料の空隙体積変化が封圧15〜17 MPaで過圧密から正規圧密に移行することが確認された。封圧10 MPaの条件では、せん断強度は明瞭な破断面は観察されなかった。一方、封圧1.5および2.5 MPaではそれぞれせん断強度はともに11 MPaで、脆性的な変形挙動を示し、軸方向と25〜45度の角度をなす破断面が形成された。変形前後で透水係数を比較したところ、封圧10 MPaではほぼ変化しなかった (2.2×10-18 m2) のに対し、封圧1.5 MPaでは有意に増加した。以上より、せん断帯の透水性が母岩より明瞭に増加するかどうかを決める封圧条件は1.5〜10 MPa(深さ約0.15〜1 kmに相当)の間に存在すると考えられる。一方、封圧2.5 MPaでは、脆性的な変形挙動を示したのにも関わらず、変形前後で明瞭な透水係数の変化が見られなかった。せん断帯が試料の両端面まで達しておらず、試料端面付近の未破断部分が試料全体の透水性に影響を与えていると考えられる。そのため、本実験ではせん断帯の透水性を直接評価できていない可能性が高い。今後、Uehara & Takahashi (2014)を参考に、30°プレカット面を持つ砂岩で泥岩試料を上下から挟んだ試料アセンブリを用いた実験を新たに実施する予定である。直径20 mm、長さ20 mmの泥岩試料を、30°のプレカット面を持つ砂岩(透水係数は10-16 m2 程度)で上下から挟んだ試料を用いて、実験2と同様の封圧条件下で軸変形実験および透水性の測定を行う。この手法により、砂岩のプレカット面に沿ってせん断帯を形成させ、そのせん断帯の透水性を直接評価することが期待される。また、黄和田層と最大埋没深度及び破壊基準の異なる大田代層泥岩にも同様の実験を実施する。P*で規格化した封圧条件と透水性変化率の関係をそれぞれの層で比較することで、せん断帯の透水性が母岩より明瞭に増加するかどうかを決める封圧条件が、層によらず共通して存在するかどうかを検証する。これにより、地層の最大埋没深度や岩石の破壊基準から、地下に存在するせん断帯の透水性を推定することが可能となり、日本各地の古第三紀後期・新第三紀泥岩(一部、第四紀更新世) をCCSのシール層として評価する際の根拠を提供できると考える。
・Ingram & Urai (1999) Geol. Soc. Lond. Spec. Publ., 158, 125-135
・Uehara & Takahashi (2014) JSG, 60, 46-54
・海江田ら(2012) 電力中央研究所報告, p74
・北村ら (2024) 石油技術協会誌, 89(2), 98 -104
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