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[T3-O-16]Improving accuracy of differential stress measurement using solid-medium deformation apparatus: Development of low-softening-point glass liquid cell and application to deformation experiment of marble★2026年度学生優秀発表賞受賞★
*Takaya NAGAI1, Ichiko SHIMIZU1 (1. Kyoto University)
Keywords:
rock rheology,high-PT deformation experiments,solid-medium apparatus,differential stress,Carrara marble
地殻深部やマントルを構成する岩石鉱物のレオロジー特性を解明するために、圧媒体にガスを用いるガス圧試験機や NaCl やタルク等の固体を用いる固体圧試験機による高温高圧変形実験が行われてきた。ガス圧試験機は正確な力学データを得られるものの、封圧が 300 MPa に制限される。一方、広く用いられてきた Griggs 型などの固体圧変形試験機では 1 GPa を超える高封圧を発生できるものの、試料やピストンと固体圧媒体との間に生じる摩擦の影響により、差応力を過大評価してしまい測定精度が悪いことが長年の課題であった。この内部摩擦を低減するため、固体圧媒体の代わりに高温で溶ける熔融塩を用いたアセンブリも開発された。Holyoke and Kronenberg (2010, Tectonophysics, 494, 17-31) では、高純度の金属 (Ni, Mo) を試料とした封圧 300 MPa の校正試験を Griggs 型試験機で行い、 Heard 型ガス圧試験機で得られた結果を比較した。その結果、熔融塩セルを用いても差応力の過大評価は数 100 MPa に及ぶことがあることが明らかになった。そこで本研究では、熊澤型の固体圧変形試験機を用いた校正実験を行い、応力測定精度の検証及び新たな圧媒体の開発を行った。熊澤型試験機は上下二対の荷重計を備え、軸上下の荷重平均から内部摩擦をリアルタイムに補正できる機構をもつ (Shimizu et al., 2026, Review of Scientific Instruments, 97, 065103)。
校正実験は Holyoke and Kronenberg (2010) と直接比較するため、製造元も同じ高純度の金属 (Ni, Mo) 試料を使用し、温度 600℃ または 700℃、封圧 300 MPa、歪速度 1.6×10-4 s-1 で行った。主に内部摩擦が生じる Inner sleeve の圧媒体物質には、タルクや NaCl の他に摩擦が小さく固体潤滑材として利用される六方晶窒化ホウ素 (h-BN) に加え、本研究では新たに高温で軟化して内部摩擦を低減すると期待される低軟化点ガラス(軟化点 415℃ および 600℃)を用いた liquid cell を開発し、その摩擦挙動を比較評価した。
実験の結果、圧媒体にタルクや NaCl を用いた実験では、ガス圧試験機で報告されている降伏応力よりも大きな差応力が測定され、熊澤型試験機の摩擦補正機構でも内部摩擦の影響を完全には排除しきれないことがわかったが、その過大評価分の値は Griggs 型試験機を用いた場合と比較して大幅に低減された。さらに、新たに開発した低軟化点ガラス liquid cell を用いた実験では、600℃ および 700℃ のいずれの温度条件においても、ガス圧試験機で得られた降伏応力とほぼ一致する高精度のデータが得られた。このガラスセルを用いて、封圧 1.5 GPa の高圧条件下での Mo の校正試験も行った。得られた降伏応力は、封圧 300 MPa の実験と大きな差が見られず、降伏応力に封圧依存性がないとする Kido and Muto (2016, Tectonophysics, 672-673, 170-176) と調和的な結果が得られた。
次に、上記のアセンブリの岩石変形実験への適用性を調べるため、Carrara 大理石をもちいた変形実験を行った。Carrara 大理石は炭酸塩岩の標準物質としてよく用いられ、ガス圧試験機による変形実験が数多く行われている (Schmid et. al., 1980, Tectonophysics, 65, 245-280; De Bresser et al., 2005, JSG, 27, 265-281; Rybacki et al., 2021, JGR, 126, e2021JB022573)。今回、これらと比較可能な封圧 300 MPa、温度 600℃、歪速度 1.0×10-5 s-1 の条件で、圧媒体を NaCl にした実験ではガス圧試験機での報告に近い降伏応力が得られた。発表では、低軟化点ガラスで行った実験と、その課題についても報告する。
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