Presentation Information
[T1-O-5](Invited) Mountain-building tectonics of volcanic arcs in subduction zones revealed by low-temperature thermochronology
*Shigeru SUEOKA1 (1. Tono Geoscience Center, Japan Atomic Energy Agency)
【ハイライト講演】 本講演は,低温熱年代学を用いた日本列島の山地形成過程に関する最新研究である.熱年代学的データから,火山弧地域の一部では活断層による地塊運動だけでは説明できないドーム状隆起が進行している可能性が示されている.本講演では,沈み込み帯火山弧における山地形成テクトニクスの実態と,その力学的背景について議論する. ※ハイライト講演とは...
Keywords:
low-temperature thermochronolog,exhumation,mountain building,volcanic arc,subduction zone
本講演では,著者らのグループが進めてきた,日本列島を中心とした沈み込み帯の山地における熱年代研究の概要と最前線を紹介する。日本列島は,太平洋プレートとフィリピン海プレートの沈み込み帯に形成された島弧群で,主に鮮新世後期~第四紀の東西圧縮応力によって,山地が隆起してきたと考えられている(米倉ほか,2001)。プレートの定常沈み込みによる変形を直接被る前弧域を除くと,日本列島の山地の多くは活断層で形成された断層地塊山地とみなされてきた(貝塚・鎮西,1986)。しかし,近年の熱年代法による検討に基づくと,火山弧のような地温が高い地域を中心に,地形的に明瞭な長大活断層を伴わず,山地全体がドーム状に盛り上がるように隆起している山地が存在することが明らかになってきた。すなわち,断層でポップアップ隆起している山地では,山頂側から山麓側(断層側)に向かって年代が減少する(削剥速度が増加する)のに対し,いくつかの山地では山麓側から山頂側に向かって年代の減少がみられる。具体的には,奥羽山脈南部(Fukuda, 2020),関東山地(Sueoka et al., 2022),谷川岳地域(Minami, 2025),飯豊山地(福田ほか,2025),飛騨山脈(Sueoka et al., in review)などが,このようなドーム状の隆起をしている可能性がある。このような特異な隆起パターンが生じる原因としては,火成活動に伴う熱や流体による作用で地殻強度が弱化することで,広域応力に起因する変形が地温の高い地域に局在化していることが考えられる。この時,脆性地殻中の変形は,明瞭な地表地震断層を伴わない,一回り小さな断層活動(地震活動)で解消されている可能性がある(末岡,2026)。このような作業仮説を検証するため,著者らは,熱年代法を中心として,地質温度圧力計,地形解析,地下構造探査,小断層の方位解析(応力解析)などを用いた複合的なアプローチや,日本列島以外の火山弧を含めた事例研究を展開中である。
引用文献
貝塚爽平・鎮西清高(1986)日本の自然2 日本の山,岩波書店.米倉伸之ほか(2001)日本の地形1 総説,東大出版.Fukuda, S. (2020) PhD Thesis, Kyoto Univ.Sueoka, S. et al. (2022) Tectonophysics, 828, 229231. Minami, S. (2025) PhD Thesis, Kyoto Univ.福田将眞ほか,FTニュースレター,38,17-21.Sueoka, S. et al. (in review) Earth Planet. Sci. Lett. 末岡 茂(2026)活断層研究,64,印刷中.
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