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[R1-P-11]Dulanggouite, ehrigite, and atelestite from the Honzawa mine, Yamanashi prefecture, Japan

*Takahiro TANAKA1, Daisuke Nishio Hamane2 (1. Nittetsu Mining Consultants. Co., Ltd., 2. ISSP, Univ. of Tokyo)
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Keywords:

Dulanggouite,Ehrigite,Atelestite,Honzawa mine,Yamanashi prefecture

本沢鉱山は,山梨県大月市真木に位置する昭和の初期に小規模に開発された金鉱床であり,白亜紀~古第三紀の付加体に貫入した中新世の花崗閃緑岩に胚胎する割れ目を充填する鉱脈型の鉱床である(資源・素材学会,1994).本鉱床の鉱脈は,白色を呈する塊状のquartzからなり,arsenopyrite,pyrrohtite,pyrite,scoroditeなどを含む.金は,金銀比75:25程度のelectrumの形で,arsenopyriteなどに伴われて産する他,富鉱部では上記の鉱物はほとんど認められず,多量のBi-Te系鉱物に伴われて産する.本研究では,そのBi-Te系鉱物についてSEM-EDS及び透過型顕微鏡を用いた検討を行った結果,日本初産となるdulanggouite,ehrigiteが見出された.また,それらに伴う二次鉱物として,同じく日本初産となるatelestiteも見出されたので報告する.  
 Dulanggouiteは,三方晶系(空間群:P-3m1)でBi6Te3の理想式を持つ鉱物,ehrigiteは,三方晶系(空間群:R-3m)でBi8Te3の理想式を持つtetradymite族の鉱物,atelestiteは,単斜晶系(空間群:P21/b)でBi2(AsO4)O(OH)の理想式を持つatelestite族の鉱物である.なお,Dulanggouiteについては,2024年にIMAのCNMNCにより承認されたばかりの鉱物であり,記載論文が出ていないため物理的性質などを含め詳細については不明である.
 本沢鉱山では,dulanggouiteは最大6 mm,ehrigiteは最大3 mmの一方向に完璧な劈開を示す多形~半自形結晶としてquartz中に埋まって産する他,quartzの空隙中にも産する.また,本産地では,dulanggouiteに比べてehrigiteは稀である.Dulanggouiteは,銀白色不透明で金属光沢,一方,ehrigiteは褐色身を帯びた錫白色不透明で金属光沢を呈する.Atelestiteは,それらの鉱物に伴う黄色~黄褐色を呈する被膜~自形結晶として認められる.
 SEM-EDSによる定量分析の結果,dulanggouiteは,Bi 77.44,Te 23.57,合計101.00 wt%という分析値が得られ,総原子数を9とした時,Te6.00Bi3.00という実験式が得られた.Ehrigiteは,Bi 83.28,Te 17.18,合計100.46 wt%という分析値が得られ,総原子数を11とした時,Bi8.22Te2.78という実験式が得られた.Atelestiteは,Bi2O3 77.79,Fe2O3 1.59,As2O5 15.21,H2O (calc.) 1.36,合計95.95 wt%という分析値が得られ,O原子数を5とした時,(Bi2.07Fe0.13)Σ2.20(As0.88O4)O(OH)という実験式が得られた.
 透過型電子顕微鏡による電子線回折図形については,dulanggouiteはP-3m1の三方晶系を示し,a=4.45,c=18Å,ehrigiteはR-3mの三方晶系を示し,a=4.4,c=64.5Åで指数付けが可能であった.