Presentation Information
[R2-11]Analysis of Antigorite in cleavable olivine by low dose high-resolution observation using OBF-STEM
*Gen Koinuma1, Kohei Sato1, Ichiro Ohnishi1, Naotaka Tomioka2,4, Jun-ichi Ando2,3 (1. JEOL, 2. Hiroshima Univ., 3. Hiroshima Univ., HiPeR, 4. JAMSTEC)
Keywords:
Antigorite,olivine,Scanning Transmission Electron Microscope (STEM),Optimum Bright-Field (OBF),Atomic Resolution Obsevation
蛇紋岩化した超塩基性岩体中に存在するcleavable olivineには、(100)、(010)、(001)に平行な劈開が顕著に認められ、その劈開中には、蛇紋石の一種であるアンチゴライトが存在している。偏光顕微鏡、SEMやTEMなどを用いた先行研究[1]により、cleavable olivine中のアンチゴライトはその(001)がホスト・オリビンの(100)とトポタキシャルな関係にあることが報告されている。Cleavable olivine中のアンチゴライトの晶出過程や蛇紋岩化作用の詳細なメカニズムを解明するためには、オリビンとアンチゴライトの界面のさらに詳細な観察が必要であり、近年発展が著しい球面収差補正装置を用いた走査透過電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope; STEM)法による原子スケールでの結晶構造観察が有益であると考えられる。しかしながら、アンチゴライトなどの含水鉱物は電子線によるダメージを受けやすく、通常の電子線照射条件での原子分解能STEM観察は困難である。
一方、近年開発されたOptimum Bright-Field(OBF)-STEM法は、分割型検出器で得られた各検出器のSTEM像に対して最適なフィルター処理を行い足し合わせることで、STEM像のS/N比を最大化する手法である。これにより、従来法ではノイズが多く不明瞭となっていた低い電子線照射量でも、高コントラストな像を得ることができ、これまでは困難であったゼオライトや有機金属構造体(MOF)などの電子線敏感試料の原子分解能観察に成功している[例えば、2]。本研究では、OBF-STEM法を用いてcleavable olivine中のアンチゴライトおよびオリビン-アンチゴライト界面の原子スケールでの直接観察を試みた。
試料はマリアナ前弧北部の雷神海山から産出した超塩基性岩(ダナイト)に含まれるcleavable olivineを使用した。偏光顕微鏡により、劈開が生じている個所を確認し、その個所からFIB(日本電子製JIB-PS500i)を使用して、TEM観察試料を作製し、収差補正STEM (日本電子製JEM-ARM300F2)を使用して、加速電圧300kV、収束半角14mrad、プローブ電流量0.4 pA以下の条件でOBF-STEM観察を行った。
観察の結果、アンチゴライトを構成するMg、Si、Oの原子サイトの可視化に成功し(図1)、OBF-STEM法がアンチゴライトの結晶構造の直接観察に有効であることが分かった。また、アンチゴライトの100方向の周期構造が局所的に変化している様子が観察された(図1)。アンチゴライトの100方向の周期構造は温度や圧力条件で変化することが報告されている[3]が、ユニットセル・オーダーでの局所構造変化を観察した例はこれまでになく、収差補正STEMによる直接構造観察の有効性を示す結果となった。発表では、さらにcleavable olivine中のオリビン-アンチゴライト界面のOBF-STEM観察結果からアンチゴライトの生成過程を議論できればと考えている。
一方、近年開発されたOptimum Bright-Field(OBF)-STEM法は、分割型検出器で得られた各検出器のSTEM像に対して最適なフィルター処理を行い足し合わせることで、STEM像のS/N比を最大化する手法である。これにより、従来法ではノイズが多く不明瞭となっていた低い電子線照射量でも、高コントラストな像を得ることができ、これまでは困難であったゼオライトや有機金属構造体(MOF)などの電子線敏感試料の原子分解能観察に成功している[例えば、2]。本研究では、OBF-STEM法を用いてcleavable olivine中のアンチゴライトおよびオリビン-アンチゴライト界面の原子スケールでの直接観察を試みた。
試料はマリアナ前弧北部の雷神海山から産出した超塩基性岩(ダナイト)に含まれるcleavable olivineを使用した。偏光顕微鏡により、劈開が生じている個所を確認し、その個所からFIB(日本電子製JIB-PS500i)を使用して、TEM観察試料を作製し、収差補正STEM (日本電子製JEM-ARM300F2)を使用して、加速電圧300kV、収束半角14mrad、プローブ電流量0.4 pA以下の条件でOBF-STEM観察を行った。
観察の結果、アンチゴライトを構成するMg、Si、Oの原子サイトの可視化に成功し(図1)、OBF-STEM法がアンチゴライトの結晶構造の直接観察に有効であることが分かった。また、アンチゴライトの100方向の周期構造が局所的に変化している様子が観察された(図1)。アンチゴライトの100方向の周期構造は温度や圧力条件で変化することが報告されている[3]が、ユニットセル・オーダーでの局所構造変化を観察した例はこれまでになく、収差補正STEMによる直接構造観察の有効性を示す結果となった。発表では、さらにcleavable olivine中のオリビン-アンチゴライト界面のOBF-STEM観察結果からアンチゴライトの生成過程を議論できればと考えている。