Presentation Information
[R2-15]Layer expansion process of layered-calcium phosphate during phase transformation
*Yuuki SUGIURA1, Etsuko Yamada1, Masanori Horie1 (1. National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST))
Keywords:
calcium phosphate,phase transformation,metastable phase,layered compound
近年の地球規模でのエネルギー及び環境問題解決のため、新規触媒及び、それの担体材料の創製の重要性はますます増大している。アパタイトは、脊椎動物の主要無機成分であり、高い生体親和性、低環境負荷材料である上に、多くの化合物を吸着することから、触媒の基盤材料として着目されている。事実、酸化チタンとの複合化による吸着・光分解プロセス、生体内有機分子吸着材料などが実用化されており、低炭素、低環境負荷社会実現に向けてその重要性は益々増大している。触媒は表面反応であるため、如何に表面積を増大させるかが、重要な課題であり、多くの試みがなされている。これまで、多くの表面形状付与、表面積増大が、試みられていた触媒分野で、有望視されている技術は、層間の剥離反応である。バーミキュライトや、モンモリロナイトなどの粘土鉱物、MoS2などの層状化合物に適応可能なこの手法は、結晶構造中の弱い部分、すなわちファンデルワールス力においてのみ結合している部分を加熱膨張、引張力など、何らかの方法で、強制的に広げることで、二次元的な層を得るものである。この方法は、1000m2/gという非常に高比表面積の材料の創製も可能にする。 さて、アパタイトの場合、アパタイト自体は層状化合物ではない一方で、その前駆体であるリン酸八カルシウム(OCP)は、層状化合物のため、剝離反応によるアパタイトナノシート構造の創製が期待される。しかしながら、これまでの研究において、OCPがアパタイトへの相転移プロセスにおいては、層間の含水層と呼称される構造が脱離すると同時に、その両側のアパタイト構造が結合してしまい、乾式、湿式いずれにおいても、ナノシート構造にはならないことが分かっている。これは、含水層にジカルボン酸等、別の化合物を入れた場合でも同様であった。 我々は、この相転移プロセスにおけるアパタイト構造の結合を阻害する手法として、予めOCP層間にジスルフィド結合を直鎖内に持つジカルボン酸を担持後、このジスルフィド結合を強制酸化させることにより、OCP層間を一気に広げ、アパタイトナノシート構造の創製が出来ないかと考え、検討を行ったので報告する。