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[R2-P-02]Differences in the effects of Mg and Mn on the calcitization of vaterite.

*Noboru FURUKAWA1, Ruito EGUCHI1 (1. Chiba University)
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Keywords:

vaterite,calcitization,magnesium,manganese

発表者らは,合成vateriteが溶液媒介転移でcalciteに変化する速度が,超純水に比し構造破壊型イオン(負の水和)であるK+イオン,Cs+イオンでは増加し,構造形成型イオン(正の水和)であるNa+イオン,Li+イオンでは減少し,特にLi+イオンは55時間程度ではほとんどcalciteには変化しない結果となった。一価のイオンは水溶液中の水和状態でカルサイト化の傾向を説明出来ると考えられるが,2価のイオンでは不明である。そこで,二価のイオンとしてMgとMnで同様の実験を行った。vateriteの合成方法はFernández-Díaz et al.(2010)の方法に従って調整した。Vaterite合成時の出発物質としてCaCl2とK2CO3の水溶液を用いた。0.5mLのマイクロチューブに,合成したvateriteと溶液を入れ,30℃の恒温槽に設置し338時間後まで定期的に回収し,XRDでcalcite化した量を求めた。MgおよびMnの溶液は,それぞれの炭酸塩が水にほとんど溶解しないため,塩化物(MgCl2, MnCl2)の溶液を用いた。反応に使用した溶液の濃度は,超純水,及び 0.1, 0.2, 0.5, 1 M/kgである。vateriteからcalciteへの変化量は,Rao(1973)の方法を用いて求めた。 Mnの実験では,すべての濃度で338時間後でもvateliteから変化しておらず,溶液中のMnはvateriteの溶解に強く抑制的に働くことがわかった。 VateriteにMn溶液を反応させた実験はいくつかあり,三宅ら(1989)では合成vateriteと0.0125M/LのMnCl2溶液を反応させた場合,24hですべてrhodochrositeのみに変化したとしている。一方Nassrallah-Aboukaïs et al.(1998)では,合成vateriteと0.01M/LのMnCl2溶液を反応させ,24hに rhodochrositeとわずかなcalciteが生成するが,72hにはcalciteの生成量の方が逆転する結果となっている。MgCl2の実験では,48hまでにvateriteはcalciteもしくはcalcite+dolomiteに変化し,反応に用いた溶液のMg濃度の増加にともなってcalcite に対するdolomiteの比率が増加した。したがって,Mgはvateriteの溶解を促進する傾向を示す。