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[R4-02]Synthesis of high-aspect ratio aragonite and its application in enhancing the mechanical properties of plastic materials

*Hiroshi SAKUMA1, Kenji Tamura1, Masumi Kamon1, Shigeru Suehara1 (1. National Institute for Materials Science)
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Keywords:

Calcium carbonate,Bio-base plastic,Aspect ratio,Carbon dioxide

近年環境問題への対応からカーボンニュートラルを目指した材料開発が必要とされている。世界中で使われているプラスチックには採掘時に二酸化炭素を多く排出する石油由来ではなく、バイオ由来プラスチックへの転換が求められている。しかしバイオ由来プラスチックの一つの欠点は低力学強度である。そこで本研究では、二酸化炭素ガスからアラゴナイトを合成し、バイオ由来プラスチックの力学特性向上を目指す。 
 複合材料の引張強度や曲げ強度は、強化材の弾性率とアスペクト比に依存することがHalpin-Tsaiモデルを通じて理論的に知られている。本研究グループでは、これまで炭酸ガス化合法を用いてアラゴナイトのアスペクト比制御の条件探索を行い、最も効果のある制御因子としてCO2ガス注入速度であることを見つけた。そこで本研究ではCO2ガス注入速度を制御することでアスペクト比の異なるアラゴナイトを合成し、ヒマシ油を原料とする脂肪族ポリアミド(PA11)との複合材料を作製し、アラゴナイトのアスペクト比と複合材料力学強度の関係を明らかとする。 
 アラゴナイトの合成は炭酸ガス化合法を用いた。Ca源としては消石灰(Ca(OH)2)を用いた。温度・添加物(Mg塩)・pH・ガス流量を制御・計測し、沈殿物を光学顕微鏡、XRD、SEM等で分析した。複合材料試料は、PA11ペレットにアラゴナイトを配合し、230℃で溶融混練してペレットとした。このペレットを小型射出成形機によりシリンダー温度210℃、金型温度80℃でダンベル試験片を作製した。複合材料の力学特性は引張試験により評価した。 
 発表では、まず炭酸ガス化合法によるアラゴナイト合成の結果を報告する。CO2ガス注入開始時を反応開始時とする。反応開始前の溶液中の沈殿物としてブルーサイトが確認された。溶液のpHはアルカリ性であり、その値はMg/Ca比に依存した。ブルーサイトは反応時間とともに減少し、ブルーサイトが存在する間は溶液のpHは一定に保たれた。その後ブルーサイトの消失とともにpHは低下した。Mg/Ca比により、析出する炭酸カルシウムの多形が異なり、高pHではカルサイト、低pHではアラゴナイトが生成した。アラゴナイトの外形はウィスカー状であり、そのアスペクト比はCO2ガス注入量により変化した。複合材料の引張試験結果については当日議論する。