Presentation Information
[R4-08]Influence of clay minerals on permeability as revealed by comparison of heating experiments on granite and natural weathering
*Tadashi YOKOYAMA1, Yumi Mizuno3, Masahiro Kaibori2 (1. Hiroshima Univ. Adv. Sci., 2. Hiroshima Univ. Resilience Res., 3. Hiroshima Univ)
Keywords:
Granite,Porosity,Permeability,Weathering
花崗岩は鉱物粒子どうしが堅く結合した岩石である。花崗岩が風化すると,鉱物の粒界の分離や鉱物自体が割れることで全体としてクラックが増えて,間隙率も増大する。この過程が著しく進行して全体が砂状になったものは“マサ”と呼ばれる。一方,花崗岩を人為的に加熱・冷却することでも,似たようなクラックの生成や間隙率の増大が起こる。ただし,室内実験における花崗岩の加熱・冷却では基本的に温度変化によるクラック生成のみが起こるのに対し,天然における花崗岩の風化では,除荷,温度変化,鉱物の溶解,粘土鉱物生成など複数の過程の相互作用の結果としてクラックが生成する。このような違いがあるため,室内実験と天然とで,クラックの生成や関連する諸物性の変化の特徴を比較することにより,天然試料について調べただけでは読み取ることができない情報が得られる可能性がある。そこで,本研究ではクラック生成に伴い大きく変化する因子として間隙率と浸透率に着目し,天然での風化によってこれらの値がどう変化するかのデータが得られている花崗岩を用いて,加熱・冷却を行った場合のこれらの値の変化を調べ,天然の結果と比較した。広島大学キャンパス内のががら山で掘削されたボーリングコアから未風化の花崗岩ブロックを多数切り出し,5段階の加熱実験を行い(未加熱,500℃,600℃,700℃,800℃),室温に冷却後,間隙率と浸透率を測定した。その結果,加熱温度が高い試料ほど,間隙率と浸透率は大きな値を示した。間隙率に対して浸透率をプロットすると,加熱実験試料と天然試料のいずれでも間隙率の上昇と共に浸透率が増大するが,同じ間隙率での浸透率は加熱実験の方が大きく,天然の15~21倍程度となった。SEMを用いた観察によると,未加熱(未風化)試料と比べて,加熱実験試料や天然の風化試料では明らかなクラックの増大が見られた。また,加熱実験試料には流路に明確な生成物は確認されなかったが,天然の風化試料中では粘土鉱物が確認された。これらの結果から,天然では風化により生成した粘土鉱物が流れを阻害する効果を持ち,1桁程度は浸透率の低下を引き起こす可能性があることが読み取れる。