Presentation Information
[R5-18]History of presolar SiC grains in circumstellar space
*Hisayoshi YURIMOTO1, Ken-ichi Bajo1, Tatsuki Izumi1, Yuta Otsuki1, Sachiko Amari2 (1. Hokkaido University, 2. Washington University)
Keywords:
Presolar grain,SiC
シリコンカーバイトSiCは、隕石中に存在する主要なプレソーラー粒子の一つである。プレソーラーSiCの大部分(~93%)はメインストリームSiCと呼ばれ、その同位体組成から、低質量星(約1〜3太陽質量)の晩期星であるAGB星起源であると考えられている。AGB星の周りで形成したSiCは、特徴的大きさがミクロンサイズであり、AGB星の星風に乗り、星周空間から星間空間へと運ばれる。星間空間におけるSiCの滞留時間は、銀河宇宙線照射時間により、400万年から30億年と推定されており,その中央値は2億年である。メインストリームSiC粒子はその化学的固溶限界を超える希ガスを含んでいる。その希ガスは、NeとHeの同位体比より、AGB星エンべロップ由来とAGB星He殻由来の希ガスが混合していることを示している。これらの結果より,SiC中の希ガスはSiC粒子形成後に物理的に注入されたと考えられており、その注入エネルギーは約50 keV/nucleonと言われている。しかしながら、この注入エネルギーは、AGB星の星風やAGB星が進化した星である惑星状星雲中心星の星風の観測値より1桁以上大きく、矛盾があった。今回、我々は、SiC1粒子ごとのHeの3次元濃度分布を得ることに成功し、Heの注入パターンについて考察し、SiC中の希ガスの起源と星間空間に運ばれるまでのSiCの歴史を推定した。
実験:マーチソン炭素質隕石よりSiC粒子を分離したKJG分画中から、SiC粒子をピックアップし、北海道大学の二次中性粒子質量分析装置LIMASにより、SiC粒子1粒中のHeと主成分元素の3次元濃度分布を測定した。
結果と考察:炭素同位体比より、本研究で測定したSiC粒子は全てメインストリーム粒子に分類された。3次元分布より,HeはSiC粒子の極表面(表面下300 nm以浅)から検出された。内3つのSiC粒子からは、深さ50~100 nmの所にHe濃度のピークが検出された。これらの結果は、Heが2~4 keV/nucleonのエネルギーで粒子表面から注入されたことを示している。この注入エネルギー幅は惑星状星雲中心星で観測される星風速度と矛盾しない。測定されたHeフルエンス(1 ×1012 ~ 2 ×1015 atom cm–2)より希ガス注入が起こった場所とSiC粒子形成時期が推定された。測定されたメインストリームSiC粒子は、AGB星が惑星状星雲中心星に進化する前の百万年間の期間にAGB星の周りで形成され、より外側の星周空間へと運ばれていき,惑星状星雲の中心から0.3~30光年の距離のところで惑星状星雲中心星の星風に曝されたらしい。
実験:マーチソン炭素質隕石よりSiC粒子を分離したKJG分画中から、SiC粒子をピックアップし、北海道大学の二次中性粒子質量分析装置LIMASにより、SiC粒子1粒中のHeと主成分元素の3次元濃度分布を測定した。
結果と考察:炭素同位体比より、本研究で測定したSiC粒子は全てメインストリーム粒子に分類された。3次元分布より,HeはSiC粒子の極表面(表面下300 nm以浅)から検出された。内3つのSiC粒子からは、深さ50~100 nmの所にHe濃度のピークが検出された。これらの結果は、Heが2~4 keV/nucleonのエネルギーで粒子表面から注入されたことを示している。この注入エネルギー幅は惑星状星雲中心星で観測される星風速度と矛盾しない。測定されたHeフルエンス(1 ×1012 ~ 2 ×1015 atom cm–2)より希ガス注入が起こった場所とSiC粒子形成時期が推定された。測定されたメインストリームSiC粒子は、AGB星が惑星状星雲中心星に進化する前の百万年間の期間にAGB星の周りで形成され、より外側の星周空間へと運ばれていき,惑星状星雲の中心から0.3~30光年の距離のところで惑星状星雲中心星の星風に曝されたらしい。