Presentation Information
[R6-04]Zircon U-Pb dating of the San-yo granitoids in Yamaguchi Prefecture, southwest Japan
*Yukiyasu TSUTSUMI1, Kenichiro TANI1 (1. National Museum of Nature and Science)
Keywords:
SW Japan,San-yo Province,granitoid,zircon U-Pb age
西南日本内帯には白亜紀から古第三紀の花崗岩類が広く分布する.それらは当時の火成作用の痕跡と解釈され,北から山陰区(帯)・山陽区(帯)・領家区(帯)の3つの花崗岩区に分けられる(石原, 1973; 金谷・石原, 1973).それらのRb-SrおよびK-Ar年代は西に向かって古くなる傾向があり,白亜紀に海嶺の沈み込みが西から東に移動した結果と考えられた(Nakajima, 1994).一方で,香川県から鳥取県にかけて系統的な花崗岩類のジルコンU-Pb年代は海洋側に向かって古くなる傾向を示し(Iida et al., 2015),沈み込み角度の変化や海嶺の沈み込みが原因と考察された.小倉―田川構造線以東の九州の花崗岩類でもこれと同様の傾向を示す(堤・谷, 2023).一方,北部九州西部の花崗岩は大陸側に向かって古くなる傾向があり,これは朝鮮半島西部と調和的である(堤・谷, 2023).これら花崗岩類が示す年代傾向は,当時のプレート沈み込みと密接に関係しており,白亜紀―古第三紀の東アジアのテクトニクスを議論する上で重要である.近年,中国地方東部,九州および四国の白亜紀花崗岩類のジルコンU-Pb年代データは急激に増加したが,その間に位置する山口県・広島県および島根県のジルコン年代データは未だ報告が少ない.その空白を埋める手始めとして,本研究では山口県の山陽花崗岩類58サンプルのジルコンU-Pb年代の測定を行った.サンプル地点と得られた年代を図に示す.南西部は小串岩体(KGS)・長府岩体(CHF)および宇部岩体(UBE)が93~90 Maを示す一方,鳳翩山岩体(HBZ)は96 Maに集中する.四熊岩体(SKM)および防府岩体(HOF)は中間的な95~93 Maを示す.南東部は徳山(TYM)および須々万岩体(SSM)が93~90 Ma,中山川岩体(NYG)が88 Maを示す一方で,獺越岩体(OSG)・下久原岩体(SKB)・土師岩体(HAJ)は105~99 Maを示した.北部では長門市南方に露出する岩体(NGT)宇田周辺の海岸部で~88 Maであるが,萩市周辺の岩体(HAG・KIB・OOI)では少し古い93~90 Maに集中し,約95 Maの年代も1つ得られた.全体的に見ると岩体ごとにある程度集中した年代を示し,約100 Ma以上,96Ma,95~93 Ma,93~90 Maおよび90 Ma以下の4つのグループに分けられる.年代分布には顕著な傾向はみられないが,100 Ma以上が南東部に集中し,北部は萩周辺以外が90 Ma以下を示すことから,大局的には北向きに若くなっていると思われる.
Iida et al. (2015) Island Arc 24, 205-220.; 石原 (1973) 鉱山地質 23, 1332.; 金谷・石原 (1973) 岩鉱 68, 211-224.; Nakajima (1994) Lithos 33, 51-66.; 堤・谷 (2023) 地質学会要旨 130, S1-O-2.
Iida et al. (2015) Island Arc 24, 205-220.; 石原 (1973) 鉱山地質 23, 1332.; 金谷・石原 (1973) 岩鉱 68, 211-224.; Nakajima (1994) Lithos 33, 51-66.; 堤・谷 (2023) 地質学会要旨 130, S1-O-2.