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[R6-P-03]Petrological study of lamprophyre dikes in Cretaceous granite in Kugushima, the Amakusa region

*Satoko ISHIMARU1, Jun Fukushige1, Masako Yoshikawa2, Bidisha Dey2,3 (1. Kumamoto Univ., 2. Hiroshima Univ., 3. Kanazawa Univ.)
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Keywords:

lamprophyre,Kugushima,Kami-Amakusa,mineral assemblage,trace-element composition

ランプロファイアーは揮発性成分に富む苦鉄質マグマが地表にまで至らず,地殻内浅所で固結した,斑状組織を示す超苦鉄質〜苦鉄質の半深成岩である.アルカリ元素(特にK2O)や揮発性成分に富むことから,斑晶鉱物として主に黒雲母や角閃石で構成されていることが大きな特徴である.その成因としては,沈み込むスラブ由来流体/メルトや炭酸塩に富むメルトによって交代作用を被ったマントルカンラン岩の低程度の部分溶融などが示されており(Giri et al. 2021とその引用文献参照),マントル内でのメルト/流体との相互反応過程やマグマ生成過程を考える上で重要な情報を与えてくれる.
 本研究では,熊本県,上天草市椚島に露出する花崗閃緑岩に貫入するランプロファイアー岩脈(以降,岩脈と呼ぶ)試料を採取し,その形成過程について考察をおこなった.
 上天草市椚島では基盤岩として白亜紀の花崗閃緑岩体が分布しており,ジルコンのU-Pb年代測定により109.1±1.1~108.8±2.4Maが得られている(例えば,Tsutsumi, 2021).岩脈はホストの花崗閃緑岩を不整合に覆う約85Maの姫浦層群下部の堆積岩類 (Tsutsumi et al., 2017) には貫入していないことから,109~85 Maに貫入したと考えられる.岩脈と花崗閃緑岩の境界部はシャープなものから壁岩の花崗閃緑岩を融食しているように見えるものまで様々で,幅1mを超える岩脈中には花崗閃緑岩がレンズ状に取り込まれている.本研究に使用した試料は,複数観察される岩脈のうち4本からそれぞれ2試料ずつ,合計8試料とホストの花崗閃緑岩3試料である.合計11試料について広島大学理学部設置のXRFを用いて全岩化学組成を,岩脈4試料について熊本大学理学部設置のFESEM-EDSを用いて鉱物化学組成を,それぞれ測定した.
 岩脈試料は斑晶として角閃石と斜長石,カリ長石,アパタイトを含み,二次鉱物として緑泥石,緑れん石,チタナイトが観察される.黒雲母,単斜輝石,カンラン石は観察されていない.斑晶鉱物組合せで分類すると,岩脈はスペッサルタイトとなる.岩脈の全岩SiO2含有量は53.1-54.4 wt.%であったが,1岩脈(2試料)で高いSiO2含有量を持つ(57.1-67.2 wt.%).岩脈のK2O,Na2O含有量はそれぞれ 2.1-3.6 wt.%,2.8-4.0 wt.% で 玄武岩質粗面安山岩 (ミュージエライト)に分類される(高SiO2の試料を除く).講演では,鉱物化学組成・全岩微量元素組成の結果をもとに,椚島の岩脈を形成したマグマの形成過程について考察をおこなう.