Presentation Information
[R6-P-04]Field occurrence and whole-rock chemical compositions of mafic rocks intruded into the Kikuchi Granite, Chikuhi area, central Kyusyu
*Masaki YUHARA1, Yoshinobu KAWANO2 (1. Fukuoka University, 2. Rissho University)
Keywords:
Kikuchi Granite,syn-plutonic mafic rocks,major and trace elements,rare earth elements,central Kyusyu
白亜紀花崗岩類のマグマ生成やマグマだまりにおける諸現象を考える上で,同時期に活動した苦鉄質岩は非常に重要である(柚原・眞﨑,2013など).我々は,北・中部九州に分布する白亜紀花崗岩類とそれに伴われる苦鉄質岩の野外調査を進める過程で,菊池花崗岩中に苦鉄質岩体と同時性苦鉄質岩脈を見出した.本報告では,それらの産状と全岩化学組成を報告する.
菊池花崗岩は,筑肥地域に分布する白亜紀花崗岩類の1岩体で,周防変成岩および玉名花崗閃緑岩に貫入し,新生代の火山岩類に被覆される.主に中粒の黒雲母花崗閃緑岩〜花崗岩から構成される.本花崗岩からは,106.6±0.9 Maおよび105.7±1.2 MaのU-Pbジルコン年代が報告されている(Tsutsumi, 2021).
苦鉄質岩が見出されたのは,菊池花崗岩露出域東部の鉾ノ甲川上流部である.本地域では,菊池花崗岩が泥質片岩に貫入し,火山砕屑岩に被覆される.菊池花崗岩には,黒雲母の定向配列による面構造が認められる.細粒の黒雲母花崗閃緑岩〜花崗岩に貫入される.さらに,菊池花崗岩中には,厚さ350 mに達する苦鉄質岩体と厚さ20 cm〜3.3 mの苦鉄質岩脈が認められる.苦鉄質岩脈には,周縁部が崩壊し包有岩化している産状や,分断化している産状が認められる.したがって,これらは同時性苦鉄質岩脈である.苦鉄質岩体は菊池花崗岩の岩脈に貫入される.苦鉄質岩体と類似した岩相および化学組成を有する崩壊岩脈が認められることから,苦鉄質岩体も菊池花崗岩に貫入したと考えられる.
菊池花崗岩は,中粒の黒雲母トーナル岩〜花崗岩からなる.苦鉄質岩体は,中粒の黒雲母-普通角閃石石英閃緑岩からなり,苦鉄質岩脈は細粒の黒雲母-普通角閃石石英閃緑岩〜トーナル岩からなる.苦鉄質岩体を構成する石英閃緑岩の普通角閃石には,透角閃石が伴われる.
菊池花崗岩,苦鉄質岩体ならびに苦鉄質岩脈のSiO2含有量は,63.8〜73.8 wt.%,44.9〜50.7 wt.%および46.7〜60.8 wt.%である.主成分ならびに微量成分元素の変化図では,苦鉄質岩体,苦鉄質岩脈,菊池花崗岩と連続的に変化している元素が多いが,Na2O,K2O,Rb,Sr,Y,Zrでは組成変化傾向が異なる.FeO*/MgO-SiO2図では,いずれもカルクアルカリ岩系の組成変化傾向を示す.MgO-Fe2O3*図では,苦鉄質岩体と苦鉄質岩脈の組成変化傾向は異なる.
C1コンドライトで規格化した希土類元素パターンは,いずれも軽希土類元素に富み,重希土類元素に乏しい右下がりのパターンを示す.菊池花崗岩と苦鉄質岩脈および苦鉄質岩体の一部は,重希土類元素でフラットになるパターンを示す.菊池花崗岩と苦鉄質岩脈には負のEu異常が認められるが,苦鉄質岩体には正のEu異常が認められる.
菊池花崗岩は,筑肥地域に分布する白亜紀花崗岩類の1岩体で,周防変成岩および玉名花崗閃緑岩に貫入し,新生代の火山岩類に被覆される.主に中粒の黒雲母花崗閃緑岩〜花崗岩から構成される.本花崗岩からは,106.6±0.9 Maおよび105.7±1.2 MaのU-Pbジルコン年代が報告されている(Tsutsumi, 2021).
苦鉄質岩が見出されたのは,菊池花崗岩露出域東部の鉾ノ甲川上流部である.本地域では,菊池花崗岩が泥質片岩に貫入し,火山砕屑岩に被覆される.菊池花崗岩には,黒雲母の定向配列による面構造が認められる.細粒の黒雲母花崗閃緑岩〜花崗岩に貫入される.さらに,菊池花崗岩中には,厚さ350 mに達する苦鉄質岩体と厚さ20 cm〜3.3 mの苦鉄質岩脈が認められる.苦鉄質岩脈には,周縁部が崩壊し包有岩化している産状や,分断化している産状が認められる.したがって,これらは同時性苦鉄質岩脈である.苦鉄質岩体は菊池花崗岩の岩脈に貫入される.苦鉄質岩体と類似した岩相および化学組成を有する崩壊岩脈が認められることから,苦鉄質岩体も菊池花崗岩に貫入したと考えられる.
菊池花崗岩は,中粒の黒雲母トーナル岩〜花崗岩からなる.苦鉄質岩体は,中粒の黒雲母-普通角閃石石英閃緑岩からなり,苦鉄質岩脈は細粒の黒雲母-普通角閃石石英閃緑岩〜トーナル岩からなる.苦鉄質岩体を構成する石英閃緑岩の普通角閃石には,透角閃石が伴われる.
菊池花崗岩,苦鉄質岩体ならびに苦鉄質岩脈のSiO2含有量は,63.8〜73.8 wt.%,44.9〜50.7 wt.%および46.7〜60.8 wt.%である.主成分ならびに微量成分元素の変化図では,苦鉄質岩体,苦鉄質岩脈,菊池花崗岩と連続的に変化している元素が多いが,Na2O,K2O,Rb,Sr,Y,Zrでは組成変化傾向が異なる.FeO*/MgO-SiO2図では,いずれもカルクアルカリ岩系の組成変化傾向を示す.MgO-Fe2O3*図では,苦鉄質岩体と苦鉄質岩脈の組成変化傾向は異なる.
C1コンドライトで規格化した希土類元素パターンは,いずれも軽希土類元素に富み,重希土類元素に乏しい右下がりのパターンを示す.菊池花崗岩と苦鉄質岩脈および苦鉄質岩体の一部は,重希土類元素でフラットになるパターンを示す.菊池花崗岩と苦鉄質岩脈には負のEu異常が認められるが,苦鉄質岩体には正のEu異常が認められる.