Presentation Information
[R6-P-06]Sinking/floatation of crystals or rock mass in Japanese felsic plutons
*Hiroaki SATO1 (1. Kobe Univ. Sci.)
Keywords:
magma,viscosity,megacryst,mafic inclusion,floatation
マグマ溜り内では、マグマ貫入・混合、対流、発泡、結晶作用等の過程が生じていると考えられるが、これまでの珪長質深成岩体の研究では密度や粘性係数の推定から巨晶等の保持・流動の検討をおこなったものは少ない。この報告では、具体的な例としてカリ長石巨晶を含む屋久島岩体と、苦鉄質包有物を多く含む黒部川花崗岩について、バルク及び液の密度・粘性係数の推定を行い、巨晶や苦鉄質包有物の保持・流動について検討を行った。
屋久島花崗岩体は径20kmに及ぶ大きな岩体で全岩SiO2量が68-73wt.%で、直径4-15㎝のカリ長石巨晶が全域に含まれる(Anma et al., 1998)。カリ長石巨晶は一部では濃集した産状を呈する場合もあるが大半は比較的均一に分布している。800℃での密度は、カリ長石は2520㎏/m^3でメルトの密度2250kg/m^3よりも大きく直径5㎝のカリ長石の沈降測度は12m/年となり岩体の冷却速度(数万年)を考えると十分沈降可能である。カリ長石巨晶には黒雲母、斜長石等が包有されており、カリ長石が晶出した時にはかなりの結晶度であったと考えられる。バルクの粘性係数は0.1GPaでは820℃以下では10^6 Pas以上となりカリ長石巨晶は沈積・移動が困難であったと考えられる。
黒部川花崗岩体は南北15km、東西3-6km、面積約100km^3に広がる。第四紀の爺ケ岳火山岩類に貫入しており、岩体の上面は深さ3.5km程度にあったと考えられる(Wada et al., 2004)。岩体は東に傾動していると考えられている。この岩体の特徴の一つは多量の苦鉄質包有物を含むことで、岩体の下位で35%、上位で55%を占める。この割合は包有物を生じる条件(Sparks and Marshall, 1986)を越えており、別の場所で包有物が形成され選択的に定置した可能性がある。Wada et al.(2004)では、苦鉄質包有物が結晶化で気泡を生じ浮力によって上部に農集した可能性を述べているが、気泡を包有物内の保持できるか疑問であり、浅所での発泡・結晶作用によりバルク粘性係数が大きくなり沈降が難しくなった可能性が考えられる。
屋久島花崗岩体は径20kmに及ぶ大きな岩体で全岩SiO2量が68-73wt.%で、直径4-15㎝のカリ長石巨晶が全域に含まれる(Anma et al., 1998)。カリ長石巨晶は一部では濃集した産状を呈する場合もあるが大半は比較的均一に分布している。800℃での密度は、カリ長石は2520㎏/m^3でメルトの密度2250kg/m^3よりも大きく直径5㎝のカリ長石の沈降測度は12m/年となり岩体の冷却速度(数万年)を考えると十分沈降可能である。カリ長石巨晶には黒雲母、斜長石等が包有されており、カリ長石が晶出した時にはかなりの結晶度であったと考えられる。バルクの粘性係数は0.1GPaでは820℃以下では10^6 Pas以上となりカリ長石巨晶は沈積・移動が困難であったと考えられる。
黒部川花崗岩体は南北15km、東西3-6km、面積約100km^3に広がる。第四紀の爺ケ岳火山岩類に貫入しており、岩体の上面は深さ3.5km程度にあったと考えられる(Wada et al., 2004)。岩体は東に傾動していると考えられている。この岩体の特徴の一つは多量の苦鉄質包有物を含むことで、岩体の下位で35%、上位で55%を占める。この割合は包有物を生じる条件(Sparks and Marshall, 1986)を越えており、別の場所で包有物が形成され選択的に定置した可能性がある。Wada et al.(2004)では、苦鉄質包有物が結晶化で気泡を生じ浮力によって上部に農集した可能性を述べているが、気泡を包有物内の保持できるか疑問であり、浅所での発泡・結晶作用によりバルク粘性係数が大きくなり沈降が難しくなった可能性が考えられる。