Presentation Information
[R6-P-07]Magma chamber processes deduced from the crystallization conditions of quartz in the Tono plutonic complex, Kitakami mountains, northeast Japan
*Yasuhiro OGITA1, Takenori Kato2, Takashi Yuguchi3 (1. Yamagata Univ., 2. Nagoya Univ., 3. Kumamoto Univ.)
Keywords:
Quartz,Cathodoluminescence pattern,Ti concentration,Tono Plutonic Complex,Magma chamber process
珪長質マグマの地殻への貫入から定置,固化の間に生じるマグマ溜りプロセスは,マグマ中で結晶化する鉱物の結晶成長の履歴として記録されうる.石英は珪長質岩に普遍的に含まれる鉱物であり,そのカソードルミネッセンス(以下,CL)パターンやチタン(以下,Ti)濃度等の微量元素組成に基づき,石英の結晶成長プロセスが論じられている(例えば,Yuguchi et al., 2020).本研究では,東北日本の北上山地に分布する遠野複合深成岩体を対象として,石英の結晶化条件に基づいてマグマ溜りプロセスの解明を目指す.
遠野岩体は,中心部にアダカイト質岩(中心相)を,その周縁に非アダカイト質岩(主岩相)を有する累帯深成岩体である.このような累帯構造は,起源の異なるマグマが立て続けに地殻へ貫入して形成されたと考えられているが(土谷ほか,2015),それぞれのマグマの貫入・定置や固化に至るプロセスの相違は明らかにされていない.そこで,遠野岩体のアダカイト質マグマと非アダカイト質マグマそれぞれの貫入・定置時の温度条件を明らかにし,岩相ごとの温度・時間履歴に制約を与えることを目的として,それぞれの岩相に含まれる石英の成長様式の区分や結晶化温度の推定を行った.遠野岩体の空間的,時間的な変遷を追うために,中心相,主岩相からそれぞれ6地点のサンプルの石英を用いた.薄片中の石英に対して,カソードルミネッセンス(CL)像観察に基づく内部構造の把握を行い,電子プローブマイクロアナライザ(JEOL JCXA-733, @名古屋大学宇宙地球環境研究所)を用いてTi濃度の定量分析を実施した.また,議論に際して,岩体形成時の年代情報は,日本原子力研究開発機構・電力中央研究所(2024)のジルコンのU-Pb年代データを用いた.
遠野岩体の石英のCLパターンとして,コア部で高輝度、リム部に向かって輝度が低くなるゾーニング(zoning)や高輝度領域が局所的に不規則に分布するパターン(patchy),輝度が一様なパターン(Homogeneous)の3パターンが主に認められた.また,1粒子の中に複数のパターンを有する複合パターンの粒子も認められた.中心相では岩石サンプルによって卓越するCLパターンに相違がある.一方,主岩相ではいずれの岩石サンプルでもpatchyパターンが卓越する.本報告では,Ti濃度とCL輝度の関係,およびTi濃度と3つのCLパターンの関係について議論する.岩相や岩石サンプルごとのCLパターンやTi濃度の相違は,石英が晶出した際のマグマ溜り内の温度やメルト組成の相違を反映していると考えられることから,得られた結果に基づいてマグマ溜り内の冷却速度の不均質性を議論可能である.
遠野岩体は,中心部にアダカイト質岩(中心相)を,その周縁に非アダカイト質岩(主岩相)を有する累帯深成岩体である.このような累帯構造は,起源の異なるマグマが立て続けに地殻へ貫入して形成されたと考えられているが(土谷ほか,2015),それぞれのマグマの貫入・定置や固化に至るプロセスの相違は明らかにされていない.そこで,遠野岩体のアダカイト質マグマと非アダカイト質マグマそれぞれの貫入・定置時の温度条件を明らかにし,岩相ごとの温度・時間履歴に制約を与えることを目的として,それぞれの岩相に含まれる石英の成長様式の区分や結晶化温度の推定を行った.遠野岩体の空間的,時間的な変遷を追うために,中心相,主岩相からそれぞれ6地点のサンプルの石英を用いた.薄片中の石英に対して,カソードルミネッセンス(CL)像観察に基づく内部構造の把握を行い,電子プローブマイクロアナライザ(JEOL JCXA-733, @名古屋大学宇宙地球環境研究所)を用いてTi濃度の定量分析を実施した.また,議論に際して,岩体形成時の年代情報は,日本原子力研究開発機構・電力中央研究所(2024)のジルコンのU-Pb年代データを用いた.
遠野岩体の石英のCLパターンとして,コア部で高輝度、リム部に向かって輝度が低くなるゾーニング(zoning)や高輝度領域が局所的に不規則に分布するパターン(patchy),輝度が一様なパターン(Homogeneous)の3パターンが主に認められた.また,1粒子の中に複数のパターンを有する複合パターンの粒子も認められた.中心相では岩石サンプルによって卓越するCLパターンに相違がある.一方,主岩相ではいずれの岩石サンプルでもpatchyパターンが卓越する.本報告では,Ti濃度とCL輝度の関係,およびTi濃度と3つのCLパターンの関係について議論する.岩相や岩石サンプルごとのCLパターンやTi濃度の相違は,石英が晶出した際のマグマ溜り内の温度やメルト組成の相違を反映していると考えられることから,得られた結果に基づいてマグマ溜り内の冷却速度の不均質性を議論可能である.