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[R6-P-10]Transition process from partial-melting rock textures to plutonic textures: an experimental approach

*Ryoko HIBARA1, Takehiko Hiraga1 (1. University of Tokyo Earthquake Research Institute)
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Keywords:

Plutonic-rock,Petrography,Rock-experiment,Dihedal-angle

天然の深成岩組織の多様性は、部分溶融時の固液平衡構造を反映したものから、完全結晶化したあとの固相平衡組織までの遷移過程が生み出している可能性がある。
天然部分溶融岩組織の記載報告で、部分溶融メルトと鉱物粒子間の固体-液体界面形状から結晶化後の固体-固体界面形状への変化の進行度が二面角のバリエーションで表現できることを報告した(Holness et al., 2012)。また観察から界面全体の形状変化が岩石の辿った熱履歴を反映する可能性があることが指摘された。しかしながら、溶融後に結晶化した粒子界面全体の形状変化を定量できる手法は確立されておらず、地質学的情報を引き出すことは行われていない。
本研究では部分溶融岩組織から深成岩岩石組織への遷移過程を細粒な人工多結晶体を用いた実験で再現した。また、二面角の計測と、新たに開発した形状変化を定量化する手法によって組織の遷移を解析した。
実験では人工多結晶体試料をソリダス以上の温度で短時間部分溶融させた後に、サブソリダス温度で長時間保持することで天然での徐冷過程を再現した。実験後に試料を解析すると、固相化直後に二面角は固相平衡の角度に至っていた。一方で固相化直後の多結晶体の組織は深成岩組織ではなく、固液界面の形状を残していた。しかし結晶化後の保持時間が100時間を超えた試料では、試料全体が深成岩組織に近づいていた。また解析した後退長は、保持時間100 hでは0.4 μmまで増大した。
二面角が結晶化直後に固相平衡な角度に至ったことから、固相-固相界面への遷移の出発点は粒子の三重会合点であり、その駆動力は二面角を釣り合わせている界面エネルギーであると考える。また後退長と時間の間に1/3乗則を認める実験系が存在することから、原子の粒界拡散による物質移動が変形のプロセスであると考える。

Holness, M. B., M. C. S. Humphreys, R. Sides, R. T. Helz, and C. Tegner (2012), Toward an understanding of disequilibrium dihedral angles in mafic rocks, J. Geophys. Res., 117, B06207, doi:10.1029/2011JB008902.