Presentation Information
[R6-P-11]Geochronology and petrogenesis of granitic rocks in the Omi serpentinite Mélange, Niigata Prefecture
*Shin-ichi KAGASHIMA1, Shiori OKUYAMA1, Ko TAKENOUCHI2, Takahiko OGAWARA2, Hayato UEDA3 (1. Yamagata University, 2. Fossa Magna Museum, 3. Niigata University)
Keywords:
Omi-Renge,Paleozoic granitic rock,zircon U-Pb age
新潟県糸魚川市の青海川上流には,300 Ma以前の年代を示す変成岩類や交代岩を含む蛇紋岩メランジュが分布する.このメランジュ中には花崗岩質岩を含む現地性の優白質な巨石がある.青海地域に産する蛇紋岩メランジュ中の花崗岩の成因が明らかになることは,古生代における日本の基盤テクトニクスモデルを示すことに繋がる.本研究発表は,花崗岩質岩の年代および成因について論じ,古生代地質体との関連性について議論する.青海川流域において現地性転石である花崗岩質岩を採取し,各種分析を行った.主要造岩鉱物は,石英,斜長石,白雲母,黒雲母,ザクロ石からなる.カリ長石は2試料以外,ほとんど認められない.花崗岩質岩石はペグマタイト質で黒雲母を含むアプライト質な部分が脈状に形成されており,不均質な産状を示す.主成分組成は低K2O量,低K2O/Na2Oの特徴を示し,微量成分組成は試料によってRb,Sr含有量に明瞭な差が認められる.火山弧花崗岩(VAG)に分類され,鉱物のモード比,全岩化学組成のCNK判別図,K2O-SiO2による判別図よりトロニエム岩に分類される.鏡下観察・鉱物化学分析の結果,白雲母の劈開には二次的なアルバイト(Ab100)が形成されている組織が認められる.これはNaの流体が関与した証拠であると考えられる.ジルコンのU-Pb年代では62粒子測定を行い,約500 Ma,450-400 Ma,350-300 Ma,100-90 Maと幅広い年代値が得られた.350-300 Maのジルコンは多くが変成年代を示すと考えられ,原岩年代は500-400 Maの範囲にあると考えられる.日本における古生代(540-250 Ma)の構造発達史では,構造侵食と広域変成帯の隆起運動の関係について議論されている.火山フロント付近にある花崗岩が沈み込みプレート境界付近の蛇紋岩に取り込まれるためには,上盤側のプレートの火山フロント近傍までプレート境界が移動する構造侵食が必要となる.これらのことから,花崗岩質岩石は古生代に形成したパーアルミナスなペグマタイト質花崗岩が構造侵食作用によってプレート境界付近で蛇紋岩に取り込まれ,Na交代作用を受けてアルビタイト化し,100-90 Maに流体が関与して脈状のアプライト質部を形成したと考えられる.