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[R7-04]Metamorphic temperature of 'PGE skarn' in the northern limb of the Bushveld Complex

*Sakuya Kubota1, Takuya Echigo1, Yasushi Watanabe1 (1. Akita University)
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Keywords:

PGE mineralization,Bushveld Complex,Contact metamorphism

南アフリカ共和国のBushveld Igneous Complex (BIC)中の主なPlatinum Group Elements (PGE)鉱化帯は東縁,西縁にみられるMerensky reef,UG-2クロム鉄鉱層と,北縁にみられるPlatreefである.このうちPlatreefでは,花崗岩岩体,苦灰岩層,縞状鉄鉱層,苦灰岩・頁岩層,泥岩・珪岩層で構成されるTransvaal累層群にBICが貫入しており,マグマと堆積岩が混成あるいは反応したことが確認されている.Platreef中のマグマと堆積岩が反応して生じるNi-Co-PGE鉱化作用については多くの研究がされているが,下位の堆積岩中の鉱化作用については明らかではなかった.Platreef南部のIvanplats鉱山周辺では苦灰岩や珪岩など多様な堆積岩が分布しており,マグマと反応した堆積岩の岩相によって異なるNi-Co-PGE鉱化作用が認められ、一部では’PGEスカルン’といえる鉱物組み合わせが確認された.本研究では,Ivanplats鉱山で得られた試錐試料の鉱物の産状と化学組成をもとにザクロ石単斜輝石岩温度計を使用し、’PGEスカルン’の形成過程を議論する.本試料には堆積岩と火成岩が混ざった組織を持つ岩石が見られ,混成岩と呼称する.主な岩相は苦灰岩質混成岩,珪岩,頁岩質混成岩,Platreefの粗粒輝岩と輝岩である.苦灰岩質混成岩,頁岩質混成岩において,一部PlatreefのPGE鉱化作用と異なるPGE鉱化作用がみられた.苦灰岩質混成岩では,2種類のPlatinum Group Minerals (PGM) の産状がみられる.一つは溶解した透輝石から晶出した他形のアンドラダイト[Ca3Fe3+2(SiO4)3]中に他形の黄鉄鉱とともにPGMが共生する産状,もう一つはPlatreefの産状と類似し,PGMが磁硫鉄鉱、ペントランド鉱などと共生する産状である.頁岩質混成岩では,PGMは自形の (Co, Ni, Fe)AsSに内包される.この(Co, Ni, Fe)AsS中のPGEの含有量は,Ptが最大で5250ppm,Pdが8290ppm含まれており,共存するBase Metal Sulfideの含有量の10倍以上を示す.INAAで測定したPlatreef中のヒ素濃度は最大5ppmであったが,頁岩質混成岩では最大68ppmであった.以上の結果から,苦灰岩質混成岩,頁岩質混成岩においてともにPGE鉱化作用が認められた.苦灰岩質混成岩では,マグマと苦灰石との反応により透輝石と二酸化炭素が生成し,二酸化炭素はマグマを酸化させ,アンドラダイトや黄鉄鉱と共にPGMが晶出したと考えられる.硫化物メルトから磁硫鉄鉱などと共にPGMが晶出したことを示す.観察された鉱物組み合わせとMeinert (1982) の相図を検討した結果,早期スカルン化作用が約500℃から400℃で生じたのち,約400℃から300℃に温度が低下すると共に酸素フガシティーが減少して後期スカルン化作用が生じたと結論付けた。