Presentation Information
[R7-P-07]Water content of olivine in ultrahigh-pressure garnet peridotite from the Pohorje Mountains, Eastern Alps
*Mana Yamamoto1, Taiki Kikuchi1, Tomoki Taguchi2, Tomoyuki Kobayashi 3, Kenta Yoshida4 (1. Waseda Univ. CSE, 2. Waseda Univ. EDU, 3. Nagoya Gakuin Univ. , 4. JAMSTEC)
Keywords:
Ultrahigh-pressure garnet peridotite,Pohorje Mountains,Olivine,FT-IR,Water content
かんらん石はNAMs(Nominally Anhydrous Minerals)の一種であり、結晶構造中に微量の水を含むことができる。かんらん石の含水量は岩石物性に大きな影響を与えることが指摘されており(e.g. Tielke et al., 2017 JGR)、これは上部マントルのレオロジー特性を支配する可能性を示唆する。これまで天然かんらん石の含水量は、キンバーライトやその捕獲岩など上部マントルの情報をよく保存する岩石を中心に研究されてきた。一方、造山帯を構成するざくろ石かんらん岩に対して網羅的な研究例は限定的である。本研究では、スロベニア東アルプス・ポホリェ山地の超高圧ざくろ石かんらん岩を対象に、顕微フーリエ変換赤外分光法に基づきかんらん石の含水量を測定し、その含水特性を検討した。
本研究試料の主要な鉱物組み合わせは、かんらん石(XMg = 0.87–0.90)+ざくろ石+単斜輝石+クロムスピネル+角閃石である。その他副成分鉱物は緑泥石±蛇紋石±方解石である。ざくろ石周縁部にはケリファイトが発達し、かんらん石にはメッシュ組織(クリソタイル,リザーダイト)も観察される。今回、両面研磨試料(厚さ約180 μm)を作成後、かんらん石の赤外分光分析(透過法)を実施した。かんらん石のIRスペクトルには特徴的な水の吸収ピークが複数認められ、特に3572 cm-1と3525 cm-1のOH伸縮振動バンドが明瞭に現れた。含水量はLambert-Beerの法則に従って算出した。なお、積分モル吸光係数はPaterson(1982)で提案される波数依存の式を用いて、かんらん石の含水量は3–18 ppm (μg/g)と見積もられた。
得られたかんらん石IRスペクトルのうち、3572 cm-1と3525 cm-1のOH伸縮振動バンドは微量Tiに伴う欠陥サイト(Ti-clinohumite-like point defect)に起因する(Berry et al., 2007 EPSL)。さらにSi空孔由来のOHバンド(Lemaire et al., 2004 CMP)も確認された。これらかんらん石IRスペクトルの特徴は、高温高圧実験の生成物やマントル捕獲岩で報告されたものと整合的である(e.g. Miller et al., 1987 PCM; Mosenfelder, 2006 AM)。また、かんらん岩の起源深度が深いほどかんらん石含水量が増加するという指摘(Demouchy and Bolfan-Casanova, 2016 Lithos)とも矛盾せず、他地域の造山帯かんらん岩で報告された値とも概ね一致することが判明した。一般に、かんらん石は変質に伴い含水量が増加することは少なく、今回ポホリェ地域におけるかんらん石含水量の代表的な値を取得できた可能性がある。
本研究試料の主要な鉱物組み合わせは、かんらん石(XMg = 0.87–0.90)+ざくろ石+単斜輝石+クロムスピネル+角閃石である。その他副成分鉱物は緑泥石±蛇紋石±方解石である。ざくろ石周縁部にはケリファイトが発達し、かんらん石にはメッシュ組織(クリソタイル,リザーダイト)も観察される。今回、両面研磨試料(厚さ約180 μm)を作成後、かんらん石の赤外分光分析(透過法)を実施した。かんらん石のIRスペクトルには特徴的な水の吸収ピークが複数認められ、特に3572 cm-1と3525 cm-1のOH伸縮振動バンドが明瞭に現れた。含水量はLambert-Beerの法則に従って算出した。なお、積分モル吸光係数はPaterson(1982)で提案される波数依存の式を用いて、かんらん石の含水量は3–18 ppm (μg/g)と見積もられた。
得られたかんらん石IRスペクトルのうち、3572 cm-1と3525 cm-1のOH伸縮振動バンドは微量Tiに伴う欠陥サイト(Ti-clinohumite-like point defect)に起因する(Berry et al., 2007 EPSL)。さらにSi空孔由来のOHバンド(Lemaire et al., 2004 CMP)も確認された。これらかんらん石IRスペクトルの特徴は、高温高圧実験の生成物やマントル捕獲岩で報告されたものと整合的である(e.g. Miller et al., 1987 PCM; Mosenfelder, 2006 AM)。また、かんらん岩の起源深度が深いほどかんらん石含水量が増加するという指摘(Demouchy and Bolfan-Casanova, 2016 Lithos)とも矛盾せず、他地域の造山帯かんらん岩で報告された値とも概ね一致することが判明した。一般に、かんらん石は変質に伴い含水量が増加することは少なく、今回ポホリェ地域におけるかんらん石含水量の代表的な値を取得できた可能性がある。