Presentation Information
[R8-P-08]U-Pb zircon ages of Ryoke mylonite and tectonic history in the Shinshiro area, Aichi Prefecture
*Miharu Niwa1, Kenichiro Tani2, Katsuyoshi Michibayashi3 (1. TMNH, 2. Nat’l. Mus. Nat. Sci., 3. Nagoya Univ. Env.)
Keywords:
mylonite,Median Tectonic Line,Ryoke belt,fault rock,zircon U-Pb age
愛知県東三河新城地域には日本を代表する中央構造線(MTL)が走り,領家帯花崗岩起源の断層岩と三波川変成帯の黒色片岩が直接接する様子を観察できる露頭が存在している.しかし,MTLの断層岩についての報告例は少なく,マイロナイトの詳細な構造岩石学についてはよく分かっていなかった.筆者らは今までに新城市桜淵公園付近でマイロナイトの露頭を確認し,偏光顕微鏡による微細構造観察及びSEM‒EBSDシステムによる石英の結晶方位測定の結果,石英のc軸ファブリックはY軸集中のパターンを示し,降温期の変形を示す斜長石―石英の残晶組織との組み合わせから,350–450℃の降温期に右ずれの剪断センスを示す塑性剪断変形したと推定されることを明らかにしてきた(Niwa et al., 2025).本研究は,マイロナイトのジルコンU-Pb年代測定を行い,原岩の形成年代を明らかにするとともに,新城地域のMTLの活動時期を考察することを目的とした.桜淵公園の道沿いの露頭から採取したマイロナイト試料のうち1試料(23062108-a)及び田町川沿いの露頭から採取したマイロナイト試料のうち3試料(24021402,24021405,24021407)のジルコンについてU-Pb年代を測定した.CL像による反射累帯構造が発達し,結晶内クラックや包有物が見られない粒子リムの測定を行った.測定は国立科学博物館に設置されているLA-ICPMSを用いて行った.その結果,マイロナイトに含まれるジルコンの結晶化年代として3試料から約80 Maのコンコーディア上にのる年代が得られた.しかし,MTLの直ぐ北側に位置する新城トーナル岩の年代とは一致せず,新城地域では約80Maを示す領家花崗岩類は報告されていない.近年,Takatsuka et al. (2018)などにより,三河地域の花崗岩類のジルコンU-Pb年代は従来知られていた2つのステージではなく,3つのステージがあったとの報告があり,本研究の結果は,約80Maを示す領家花崗岩類の存在を示唆している.これらをもとに得られた年代の意味をMTLの活動と合わせて考察する.